2013年3月9日土曜日

ゲッサン25号(2011年06月号)

  • 『Waltz』 (20話)蝉と、首折り男に扮した苺原と、チクタクの3組が、それぞれの思惑によって隠れ家にいる帽子卿の元に集まろうとしていた、という話。  蝉が、自分が殺し屋だと自覚したのに続いて、今度は自分にとって岩西が特別な存在であると気づきつつあるのが重要なポイントかな。 あと、岩西の依頼主であるコンビニの店長が、電話口で岩西に扮して蝉を騙して呼び出したけど、なぜ岩西の口癖を知っていたのかが気になった。

    作品中で「最後の舞台」というキーワードが出てきたし、応募者全員プレゼントも今回が最後との事で、そろそろこの作品が終わるのだなという事が分かる。 でも売り上げが芳しくないゲッサンの中で人気があるはずのこの作品はすんなり終われるのだろうか。 個人的には無駄に引き伸ばさずに、終わって欲しいけど、一部完という可能性もあるか。


  • 『鉄楽レトラ』 (2話)高校に入っても回りになじめない鉄宇は、ある日の体育が自習になった時に、クラスメイトと揉めてしまうのだが、それを切っ掛けに仲良くなれそうな知り合いが2人できる、という話。

    今回登場したマフラーをして髪を白っぽく描かれた登場人物は、漫画では居がちな人物で、この手の回りから浮いてるような人物が出てくると、大抵その人は特別な人間で主人公よりも能力があって主人公を食うような活躍をしたりするし、主人公より人気が出たりもする。 すぐ思い出せる最近の漫画ではやまむらはじめの『神様ドォルズ』に出てくるアキとか。 マフラーの少年はそこまで浮いた存在ではないけれども。

    今回はちょっとした勇気が良い方向へ転がったという話だったけど、母親の息子への心配の仕方が説明的で違和感があった。 あと、鉄宇と市川がバスケのゴール前に立ってるコマの。ゴールと人物の距離感やパースが変だった。 今回の2話目はいまいち楽しめなかったかなあ。 次号は休載で次々号に3号が掲載とのことだけど、この連載も休載が多くなったり休載したままになったりして。


  • 『QあんどA』 (25話)庵堂家で犬を飼うことになったいきさつが語られた回。 死んだ兄の良い人エピソードと小笠原のずるい性格が交差したって展開で、どっちも裏で工作活動してるけど方向が真逆っていう対比した見せ方がちょっと面白かった。 小笠原が忍に更に距離を取られた以外は特に話の進展はなかった。

  • 『ぼくらのカプトン』 (43~45話) 主将が後輩の女の子に言い寄られてると思ったら、その子は主将の妹で、サッカー部のマネージャーとして入部希望してるだけだった話と、主将と妹が同じ部屋だとか、エロ本をみんなどこに隠してるかを話し合う計3本。  前に主将の妹が突然出てきたなと思ったけど、このためだったのかな。 しかしこの作品の下ネタ話はいつも面白からずだ。 というか、主将以外の部員に魅力がないから何をやっても面白くなりづらいのではないだろうか。

  • 『素敵な面倒さん』 (読切)メデューサの血を引く女の子が、先祖の怨みと呪いを解くために、ペルセウスの子孫に復讐をしようとする、という話。

    とよ田みのるの作品を読むのは初めてな気がするけど、絵柄や雰囲気がとり・みきや植芝理一っぽい所があった。 なんだろうな、腹の立たない面白く無さというか、嫌いな所は特にないけど特に何の引っかかりもなく読み終えてしまった。 ヒロインの、呪いで感情が顔に出せないという設定が、いまいち面白い要素になってなかったかも。 っていうか、感情を顔に出せないという呪いと、嬉しいのに怒ったりしてしまうツンデレ的設定がごっちゃになって分かりづらかった。


  • 『マコトの王者』 (25話)大地と天道のタイトルマッチ直前に2人がそれぞれボクシングに出会った理由と環境によって培った価値観の違いが語られた回。  マコトそれぞれの過去が語られたわけだけど、このタイミングで入れたのは、月並みでありつつも試合を盛り上げる要素として効いていたと思う。 特に大地の過去とそこから得た人生観が、熱血少年漫画的で凄く良かった。

    この作品は2人の主人公の中身が入れ替わり、毎回二話づつそれぞれの視点で話が進むというややっこしい設定の漫画だけど、シンプルに大地のような熱い主人公の漫画も期待したくなる。 っていうかサンデー本誌で勝負できる漫画家だと思うのだけどなあ。 今回大地の妹の台詞的に、大地が死にそうな予感もあって、試合の決着が付いて2人がただ元に戻って終わりじゃなさそうな感じもしてきたので、凄く先の展開が気になったのだった。


  • 『ハレルヤオーバードライブ!』 (24話)小雨達のバンドに愛葉がサポート代わりに入って練習していたのだが、自分に相談もなくサポートした事が気に入らないタンポポは愛葉と喧嘩してしまうのだった、という話。  愛葉の巨乳ネタ続けてるなあ。 愛葉とタンポポの友情が疑似恋愛っぽくて友情に見えないのが気になった。 あと、ヒロインのハルの描き方が珍しく全体的に緩かった気がする。 今回のハルはほとんどギャグキャラだったからかな。 でも違和感があった。

  • 『よしとおさま!』 (25話)鼠皇とサビ丸達の戦いは、鼠皇が撤退したことで終わったのだった、という話。  久々にまともなバトルになったけど、鼠皇の本来の目的であるよしとお暗殺は放置して、ただサビ丸達とちょっと戦っただけで撤退したのが肩すかしだった。 まあでも、この作品の通常回でよくある、よしとおとサビ丸のキックオフのようなラブコメっぽい見つめ合いよりも、こういうバトル中心の方向の方がまだ読みやすいかな。 しかし、シロ子は胸が強調されたり破かれたりその下にスクール水着を着ていたりと、完全に男性読者へのファンサービス要員になっているけど、もうちょっとあざとくないやり方はないのだろうか。

  • 『アオイホノオ』 (37話)ホノオが、電話をかけてきた編集者に、描いていると嘘をついた漫画を見せる約束をしたり、勝手にライバル視しつつ貶している原秀典が、週刊少年サンデーに連載を始めた事に危機感を抱いたりする話。  今回もホノオはあまり不快じゃなかった。

    今回ホノオは原秀典の漫画を内容がないと貶すのだけど、それに関して作者の島本和彦が巻末のコメント欄で、「この漫画は「主人公、わかってないなあ」と読んでくださいね!」と書いていた。 だけど、あだちの「ムフ」やアニメに関する考察とか、ホノオのセリフが作者を代弁してるとしか思えないものもあるので、それらも含めてホノオの行動や台詞を全部「わかってないなあ」と思うのもまた違うのではないだろうか。 


  • 『BULLET ARMORS』 (12話) イオンと謎の男とのバトルにエイブロックも参戦することになった、という回。  一応盛り上がってるし、大駒や見開きを使ったハッタリの見せ方も上手いなと思ったけど、誰がどこからどういう位置に行って回り込んで、みたいな空間の中のそれぞれの人物の配置が読んでいて分かりづらいのでバトルにのめり込めなかった。 イオンとエイブロックが協力することになるのも、筋としては分かるけど、2人の格好のつけ方が読んでいて恥ずかしかった。

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  • 『まねこい』 (49、50話)新学期も始まり、ハルはホンチーとの仲が進展したと思っていたが、ホンチーの方では自分の歌声に疑問を感じ、自分の歌を褒めていた人間と距離を取り始めていたのだった、という話と、奈波がハルに好かれるために、努力して痩せて?登校してきた、という話。

    前回のホンチーの思わせぶりなセリフから、音痴のことでハルと関係がおかしくなることは予想できたけど、ホンチーが、自分が歌が下手なのを薄々気づいてるらしいって設定は急に入れてきたなあと思った。

    合宿は前回で終わって帰宅後から話が始まったけど、事件に巻き込まれた事に関する引率者の責任とか、事件後地元の悪ガキ達はどうなったかとかを曖昧に切り上げたのには納得がいかないな。 そもそもホンチーは親に無理を言って頼み込んで合宿に来た結果事件に巻き込まれたわけで、嘘を付きたくないホンチーなら、流れからいって、合宿での事件のことも親に話して歴史研究会と父親がまた揉めるのではないだろうか。 ハルも、ホンチーの父親に対して申し訳ないと感じている描写が合った方が良かったと思う。

    それに、結局引率の先生の合宿の参加は、美少年好きキャラをアピールさせるためでしかなくなってて、教師として機能していないし。 これからもシリアス方面に展開していきそうだけど、シリアスな話を描くにはこの作品は設定も描写も大味過ぎると思う。

    あと、50話の方だけど、エッチなネタの出し方がやっぱり下品だと思った。 作品自体が最初から下品な内容なら良いけど、なんか流れや作品の雰囲気を壊すようないびつな出し方なのだよな。 それと、合宿行くまで長々話数書けたわりに合宿本編をあっさり切り上げたり、リアが奈波家族に馴染むまでの描写を略したり、急に奈波を細身の美形に?したり、色々話を急いでるようにも思えるけど、テコ入れなのかな。  最後に出てきた女の子が本当に奈波で本当に痩せたのかはまだ続きを読まないと分からないけれども、奈波は美形にしたら作品のバランス的にまずいんじゃないかなあ。


  • 『ここが噂のエル・パラシオ』 (25話)桜花は忠輔を賭けてアズミと戦うことになった、という話。  桜花とアズミ達のバトルを忠輔が止めに入ったりするけど、読んでいて忠輔が邪魔にしか思えなかった。 レフェリーとしても全然未熟な人間がレスラー二人に格好良い事を言ったり行動しても、説得力がないって感じで。 あと今回は、キャラクターの目鼻の大きさやバランスに違和感を感じた。 前からこんなだったっけ?

  • 『FULL SWING』 (13話)幼なじみの警官とやんちゃな女子高生との恋人未満な関係に事件が起きる、という話。  今回のヒロインに起きた事件に対して、どう主人公は動くのか、が話のキモだったわけだけど、主人公の警官が受身で、回りにフォローされ過ぎで、いまいち自分の力でフルスイングしたと思えなかった。 彼女に送った手紙の言葉も物語として説得力を感じられなかったし、犯人を見つけたのも偶然でしかないように思えたし。

      ところで、今までは原作の古い話を漫画家がたまに上手く調理して古くささを気にさせない作品に仕上げているいると思っていたけど、漫画家の演出の未熟さのせいで、より古く感じさせる作品になってるのではないかと考え直した。 間の使い方は上手いとは思うけど、涙の描き方や見せ方、感情が爆発した人間の描き方が上手くないように思う。 


  • 『バレてるよ!ジャンボリーヌ』 (13話)城ノ内の妹争奪戦に中嶋が巻き込まれる話。  特に目新しくもない極端な出来事の連鎖でしかないなあ。 登場人物の全てが脇役にしか見えないし話に興味が持てないのが残念。 

  • 『アサギロ』 (25話)薪割りで出会った近藤から、剣にも通ずる薪割りのコツとも言えないコツを聞かされた新八は、要領を得ぬまま、自分で実際に何度も割ってコツを体得した後、それ以上の剣の極意を求めて宇八と共に近藤のいる道場へ向かうのであった、という話。  新八が、薪を通して何を斬るのかという事を学んだり、近藤らの仲間に加わる切っ掛けが描かれたものの、読んでいて面白いという感じではなかった。 年を取り人格が少し変わってからの新八にいまいち魅力を感じないからかも。 むしろ不気味に言葉少ない宇八の方が怪しさがあって魅力がある。

  • 『イボンヌと遊ぼう!』 (26話)お客が少なくなった昔ながらの駄菓子屋でイボンヌが楽しむ話。  今回はいつものような現実とは少し違った光景ではなく、実際にあるような駄菓子屋を舞台に、駄菓子などが背景や小物として細々描かれていたのだけど、空想的な世界を描くよりはこういう実際にあるものを細かく描いた方がこの作者には合ってるように思えた。 想像力がいまいち豊かではないように思うので。 といっても、そんな細かく描いてはいないけども。 ところで、イボンヌが単独で行動する事が増えて通訳役のまじめの存在が軽くなってるなあ。

  • 『いつかおまえとジルバを』 (34話)前回すぐに記憶が戻ったにもかかわらず、今回話が始まった時にはまた記憶喪失になっていたジルバが、保護された家で記憶喪失と復活を繰り返す話。  本当にあらすじのままで、後は家主の青年がジルバのタバコを吸う写真をブログにUPして炎上したくらいか。 記憶が戻ったりなくしたりのくり返しが特に面白いわけでもなく、ページを埋めるために引き延ばししてうような印象だった。

  • 『妹先生 渚』 (10話)新人剣道部員の日高達と強豪校の柔道部員達との練習試合が始まった、という話。  短期間ではあるけど猛特訓をして足にマメが出来た状態で試合に出場し、渚の作戦通りに動きつつも必死に試合する右来田達と、その試合の熱気に乗せられて、試合を潰す気でいたはずの梶も気持ちが高揚してくる、という展開が、不良の心境の変化としてはありきたりではあるけど、熱く描かれていたと思う。 でも渚のキメ顔とかやっぱりちょっと苦手。 今回は32ページ。

  • 『よろこんでキャット』 (読切)主人公達が初デートに猫とふれあえるカフェに行くと、その店は高額な上に人間のような頭身の変な猫だらけだった、という話。 

    『妹先生 渚』が少ページになる可能性を見越してなのか、かんばまゆこの短編が『渚』の後に掲載されていた。 結局今回の『渚』は少ページにはならずに済んだけど、この読み切りは目次にも載っているので早い時期から載せるつもりではあったのだろう。

    で、この短編は、変な猫、という『ジャンボリーヌ』の城ノ内の大きな頭と同じで、変なルックスのキャラを作っとけばなんとかなるみたいな安易さを感じてしまった。 何かが起きそうで何も起きないし、持ち味の一つではあると思うけど説明的なセリフだらけでクドいし、なにより猫がどう変なのかビジュアル以外にいまいち伝わらなかったな。 8ページ。


  • 『リンドバーグ』 (25話)シャークとジャンゴが仲直りをして、攻撃をしかけてきた黒薔薇七銃士隊と戦う話。  シャークの過去話は、シャークが今こういう行動をしてる理由のほんの片鱗を見せただけで終わってしまっいかなりガッカリ。

    シャークを助けるために、ニットが、前に出した光る翼をもう一度出せとプラモを急き立てるのだけど、その理由が争いを止めるためではなく「シャークの手伝いをするため」ってのに違和感を感じた。 ニットが戦争を安易に肯定してしまっているのは空賊に感化されたって事で片付くだろうし、プラモを身勝手に急き立てるのもニットがプラモの気持ちを考えてないって事で、ニットとプラモの関係性を、シャークとディエゴの関係性と比較してニットの失敗と成長を描いていこうという事だとは思うけど、作中ニットのした良い活躍というものを全然読めていないので、ひたすらニットにイライラしかしなかった。


  • 『第三世界の長井』 (23話)長井の過去が語られたり新しい登場人物が出てきたりするのだけど、セリフと設定を変にこだわった今までと特に違わない分かりづらい話だった。 今回は7ページ。 『渚』が30ページ超えたと思ったらこっちが少ページになっていた。

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  • 『月の蛇』 (25話)扈三娘が翠華を助けるために梁山泊を裏切り花栄と対峙するが、花栄は仲間を2人引き連れていて苦戦を強いられるのだった、という話。  なんか戦いがピリッとしないなあ。 青磁もあっさり飛虎に翠華を託しすぎると思ったし、翠華も梁山泊を殺しまくってる事をすっかり忘れてるかのような危機感の無ささだと思えた。

  • 『信長協奏曲』 (25話)浅井に裏切られた信長に扮するサブローは即座に退却し、羽柴はそのしんがりを申し入れ、浅井は信長が退却した事を知る、という話。

    サブロー達が退却してる途中に数人の山賊に出くわしたのだけど、なぜここでこんなエピソードを入れたのかが分からないのだよな。 山賊は簡単にいなされただけだし、今まで作中省略されてきたサブローの前で人が殺されるというシチュエーションも、このタイミングで出してきたし、おそらく無意味なシーンではないはずなのだけど、サブローが、同じくタイムスリップしてきた元ヤクザの松永にピストルで助けられ、自分も昔警察の人にもらったというセリフを出してきたので、今後サブローの持ってるピストルが重要なモチーフになるので、今一度サブローが持ってるということを情報として提示したかったのかなあ。

    今回、話の最後で、宿泊してるサブロー達を誰かが襲おうとしてるような展開になってたけど、山賊はこの伏線なのかな。 それにしても目の前で自分の仲間が人を殺しても気に留めてない現代人のサブローにはやはり違和感を感じた。 何年も戦国時代で生きてるから感覚が変わったのかも知れないけれども。


今号の「仕事場みたいし!」はマツセダイチ。 編集のワタナベと野球版対決をしていたけど、相変わらず対象が漫画家じゃなくてもいいようなレポ漫画だった。

「ぼくの!わたしの!もぐもぐ一週間。」の4回目は福井アシビの食生活。 ほとんど1日2食でいなり寿司が多め。 あと鍋を3日続けて食べたりしていた。 細い食生活のようなのはやはり新人漫画家なので経済的に苦しいからだろうか。 福井の『マコトの王者』や『まねこい』は毎月2本立てなのが不思議だったのだけど、速筆な漫画家には2本立てにした方が毎月の原稿料が増えて経済的に楽になるから、という理由もあるのかなと思った。

ネットのニュースでチラッと読んだのだけど、小学館以外の複数の漫画雑誌で小説が連載されるようになるらしい。 ゲッサンも創刊から暫くは小説が連載されていて、最近の漫画誌では珍しいし面白い試みで、自分はありだと思っていたのに、その連載終了後は小説の新連載の話は全然なさげだし、結局ゲッサンは何がしたかったのだろうか。 この数年の創刊された漫画誌で先に小説を連載させていたというのにもったいない。 編集部的には小説の連載は意味がなかったという解釈なのかも知れないけど、一つの漫画雑誌を読み進める上でのアクセントとして小説はそれなりに機能していたと思うのだけどなあ。

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