2013年3月9日土曜日

ゲッサン27号(2011年08月号)

  • 『あいどるA』 (6話)圭太と入れ替わったあずさは、絶好調の鳥羽島率いるスワローズをノーヒットノーランで仕留め、あずさのそのありえない力の秘密が圭太にあるのではないかと、あずさの父親が気づく、という話。

    連載が不定期なせいか、いつになく説明的な台詞が多かったと思う。 そのせいでか、読むスピードが前に読んだ数話より時間がかかったような変な感じがした。 圭太が、あずさの父親に今の夢は何か聞かれてはぐらかしたり、威勢の良い抑えのピッチャーが結局出る幕なく終わったりするのがあだちらしいと思った。


  • 『ハレルヤオーバードライブ!』 (26、27話)愛葉の妹である若葉のギターが上手かったことから、小雨は自分のバンドへの加入を誘うが、姉や自分の髪へのコンプレックスや、以前のバンド仲間とのトラウマがある若葉はその勧誘を断ってしまうが、優秀な年上の兄弟を持つ苦労という共通点を若葉に見い出した冬夜は、自分の身の上を彼女に話しつつ、それとなく若葉に自分達の次のライブでやる曲の音源と譜面を渡すのだった、という話。

    26話の方は、生徒会役員の動きやしつこい勧誘にページを割いて、若葉自身が断った精神的な背景が描かれなかったので、若葉の内面が描かれた27話と、2話続けて読めたのは良かった。

    小雨達の部が生徒会に潰されようとしている危機的状況や、未だにどういう思惑があって現れたのか分からない楓の存在も平行して描かれていて、話に膨らみがあって良いのだけど、小雨以外が動いてる方が話が面白いなと相変わらず思う。 なくてはならない存在になりかけている楓はゲリラライブ当日に来なくて若葉が代役で出るって展開になると予想。


  • 『よしとおさま!』 (27話)よしとおの義理である葵のお庭版になったシロ子の服が、鼠皇との戦いでボロボロになったので、よしとおとサビ丸、葵とシロ子の4人で服を買いに行く、という話。  美形のシロ子がレギュラーに加わり、よしとおとの恋愛関係が発生しそうな事から、やっと、少年漫画的なラブコメになってきたなという感じ。 まあ今回よしとおは空気も同然だったけれども。

    エピソードの中で、シロ子の体と葵や百舌の服のサイズが合わないっていうのが、ある種のユーモア表現として出てくるのだけど、これが少し分かりづらくて、特に最初に出てくる葵の服のサイズが合わないってのが、どの部位がシロ子と合わないのかもっと説明的な絵の描写があって良いと思った。

    最終的に百舌のスカートのウェストサイズが合わなかった事と、その直前の百舌の(葵の服とは)「逆の意味でサイズが合わない」って発言から、葵の服がシロ子にとってバストの部分が合わなかったようだと分かるけれども、服は普通に胸以外の体の大小で合わなかったりもするるわけだし。 葵のサビ丸への思いやシロ子の気遣いがクドい位説明的な描写をされているので、服合わせの部分の分かりづらさが余計気になったのかも。

    あと、そもそもよしとおの父親は金持ちなはずなので、葵が服を借りに来るという事に違和感があった。 葵もよしとおと同じで親の金を使うのを避けてる設定ってあったっけかな。まあその辺は葵がサビ丸に会いたいからという事で片付けられるか。 今回はラブコメっぽくなったけど、また何もなかったように葵もシロ子も暫く出てこずにBLっぽい話になるんだろうな。


  • 『ちろり』 (2話)久しぶりに来た喫茶店の馴染み客が、マダムらと世間話をしつつ、初対面したちろりの人間性を値踏みする話。

    今回初登場した馴染み客の老人の生活感が薄いと思う。 もう少し店主との何気ない会話の中で、どういう仕事や生活をしてるのかにじみ出てる方が、今回の話に説得力が出るように思う。 奥さんが死んだ以上の情報がないってのは、ふとした人間味の味わいを楽しむ漫画の描写として弱いのでは。

    なんだか存在感の薄い登場人物が、ちろりというヒロインを無理に持ち上げてるように受け取れてしまった。 この老人はストレートに淋しいと言ったけど、べらんめえ口調だし、もっと強がらせても良かった気もする。 なによりちろりにいまいち魅力を感じられないのが残念。


  • 『鉄楽レトラ』 (3話)主人公と妹との過去のいきさつが語られ、鉄宇が妹と和解しつつ、前向きになるために、まずフラメンコをやってみようと決意する、という話。 表紙込みで74ページ。

    短期集中連載のせいか、妹のエピソードの語り口や和解が急な感じがした。 早く解決したわりに妹との関係とフラメンコをやることになる展開がいまいち上手く絡めてないっていうか、スムーズじゃなかったと思う。 妹の台詞が雑に思えたし、兄を持ち上げるためにしか存在していない人物にしか見えないのだよなあ。 今後別の役割があるかも知れないけれども。 自分のせいで妹がいじめられてたと今頃気づくのも妹の設定を後付けっぽく感じさせるし。

    あと少年の心の機微の描写が少年っぽくないかな。 面白くはあるのだけれども少年漫画ではないと思う。 主人公が自信を持てるようになってからヒロイン役と再会してENDかな。


  • 『ぼくらのカプトン』 (49~51)御幸高校サッカー部のインターハイ出場が決定して、雑誌で特集されたり、1回戦が始まったりする、という話。  49話の、商店街の人が、主将が雑誌に小さく写っていたのを無理に拡大してブロック状になってる写真をポスターにしたのは少し面白かった。 50話の宿泊先でのアダルトチャンネルの話は、相変わらずこの作品の下ネタはリアリティが無くて取って付けたようだなと思ったし、51話の女マネージャーが、チームを応援して少し涙をこぼすシーンは、この女マネージャーに魅力を感じないのでピンと来なかった。

  • 『Waltz』 (22話)岩西が依頼した殺し屋の活躍によって形勢は逆転し、岩西はチクタクに帽子卿との殺しの契約を破棄させる事に成功する、他方で、帽子卿に閉じこめられた蝉と、首折り男に扮した苺原が殺し合いになりそうになった途端、岩西の依頼主であるコンビニの店長が、チクタクの女リーダー?の首を持って登場するのだった、という話。

    岩西の方はあっさり片が付いて岩西自身も蝉のいる所へ来るから、結局最後の舞台は帽子卿の別荘ってことか。 萌えキャラの殺し屋である蜂がノーパンである事の必然性が全くないように感じたが、編集から女性キャラとファンサービスを出せと言われて仕方なく出したのだろうか。 蜂はチクタクにあっさり掌底を食らって完全に使い捨てっぽい扱いだった。

    色々忘れてることがあるので数号前をチラチラ読み返したけど、2011年05月号の19話で、岩西に殺しを依頼したコンビニの店長は、自分を人殺しだと言い、愛のために人を殺し、最も軽蔑する行為は愛を金に変えること、と言っている事から、コンビニの店長は殺しを金に変える殺し屋という家業を嫌っているという事になる。 だから、岩西や蝉を含めた殺し屋全員がこのコンビニの店長の殺しのターゲットになっているという事になりそうだ。 

    ただ、本物の首折り男は、無償の身勝手な善意によって人殺しをしていたフシがあるので、なぜこのコンビニ店長が殺したがってるのかが謎だ。 岩西はコンビニ店長に全ての責任を被せて逃げる予感。


  • 『BULLET ARMORS』 (14話)セレナが人間ではなかった、という展開の続きで、セレナは元人間だったのだけど、ブリーダー率いるトレマ軍に殺されかけた後に改造されたのだった、という話。

    セレナの悲しみが伝わってくる過去の描写は悪くなかったけど、イオンの腕のバレットが巨大化するのは、ワンピースのルフィの手がギガント化して大きくなるのと変わらないし、ただでさえワンピースの影響が見られる作品なのだから、もと違う方向のアイデアやひねりが欲しかった。


  • 『バレてるよ!ジャンボリーヌ』 (15話)ひな子争奪戦の続き。 挑戦者達は二人の金剛力士像の妨害に苦戦するのであった、という話。  正直この話を何話もかけてする必要を感じないわけだけど、もしかして、ネタ切れで話を引き伸ばしてるのだろうか。

    阿像が神経質ですぐ叫びがちで、吽像が窃盗癖のある最低の性格という設定は、この作品の中ではマシな設定の部類だったと思う。


  • 『FULL SWING』 (15話)定時制に通っている溶接所の社長が、会社での社員教育と別れた自分の息子の教育とのずれに悩みつつ、受験を失敗してやる気を無くした息子に道を示すために、自らも大学受験を決意する、という話。

    さわやかな感じで終わってるけど、今回の主人公の社長の決意が見えただけで、社長の生活はほとんど何も変わってないのだよな。 一話完結物にしては今回はちょっと完結してないって言うか緩かった。 工場に新しく入ってきた内気な女の子と同僚の関係にもページを使ったので、その分主人公の話が短くなったのだろうけど、でも話としては、大学受験に失敗した息子を励ましつつ、父親の学歴が低いせいだという言い訳をできないようにするために、息子が落ちた大学自分が受験する、という設定が面白かった。

    平行して語られる内気な女の子のエピソードもありがちだったけど、悪くなかった。 この漫画家の、短編ではないオリジナルをまた読んでみたいなあ。


  • 『QあんどA』 (27話)遊歩の兄が美人編集者とデートするプランを徹夜で考えたり、庵堂弟が偶然人助けをしたり、遊歩と庵堂兄の関係がうっすら分かったりした話。  ちょっと散漫だったかな。 でも遊歩の兄に対する内面を掘り下げていて面白かった。

  • 『アサギロ』 (27話)前回の終わり際で、他流試合に来た宇八郎に山南があっさり一本取られたのは、宇八郎の戦い方に勝負とは別の意図を読み取ったからだった。 しかし、宇八郎を負かした山南は、自分を北辰一刀流の免許皆伝と見切った永倉に警戒していたのに簡単に完敗してしまう。 永倉はその次に、噂で聞いた近藤と手合わせ願おうとするのだが、その前に急遽手合わせする事になった沖田を舐めてかかり、沖田の突きの一撃で気を失ってしまうのだった。

    久しぶりに山南の解説力が発揮された回だった。 あらすじで書いたけれども、沖田が永倉に勝つまでの戦いの積み重ねが面白い。 宇八郎、山南が負けたのも、理由があって真剣勝負をせずに負けたのだと描いていて、勝ち負けを単純な強い弱いに還元させなかった事で、負けた側の価値をあまり下げさせない構成が素晴らしい。 ただ、試合の描写自体はあっさりしていて物足りなかった。

    山南は永倉の剣に自分が学ぶべき何かを感じ取ったわけだけれども、次回永倉がまた試合しに現れた時にその答えが出てくるのだろうか。


  • 『まねこい』 (53、54話)音痴のホンチーが学校のカラオケ大会に出ることになって、ハルは初めてホンチーの信用を裏切って、歌が上手いと嘘をつき続けて来た事の責任の重さを知るのだったが、それでも本当のことを話したくなくて、猫太郎に助けてもらおうとしては失敗をしたりするのだった、という話と、奈波の事を好きなクラスメイトが初登場したり、荒場木が楓先輩を好きなのは、過去に楓先輩に似た女性を好きだったかららしいというのが分かる話。

    なんかホンチーに対するハルの行動が急にドタバタな感じになったし、迷走している。 今までハルはホンチーに嘘を付いてきた事を何とも思っていなかったのに、一気に状況を把握し過ぎじゃないかなあ。 そういう、自分のずるさに気づいたりの心の機微を丁寧に見せて欲しかった。 ハルはホンチーに本当のことを言う事から逃げ続けて、現状はただの嫌な奴に思えるけど、結局音痴なのがホンチー本人もハッキリ知る所となって誠心誠意謝って終わりかな。

    あと奈波の事を好きなクラスメイトが出てきたけど、この青年が、奈波が痩せる前から好きなのだろうか。


  • 『アオイホノオ』 (39話)岡田の家へ行った庵野達が、岡田の言葉の魔力に心を動かされたり、ジャンプ編集部にもうすぐ漫画の原稿が出来ると嘘を付いてしまったホノオは学園ラブコメに実際に取り組もうとして、自分が女性を全く描けないことに今更気づいて、女性漫画からキャラをパクろうとする、という話。

    岡田の親が偽ブランド品を作って金儲けしてたって話は事実なのかフィクションなのか分からないけど面白かったけど、ホノオはただただ愚かにしか思えず、魅力を感じられなかった。 この漫画はどんどん主人公のホノオが魅力ないものになっていくなあ。


  • 『ここが噂のエル・パラシオ』 (27話)桜花とアズミによる、ベルトと忠輔を賭けた試合が近づき、試合の準備をハードに続けるエル・パラシオのみんなだったが、その中で忠輔は、エル・パラシオのみんなが自分を大切に思ってくれていると実感するのだった、という話。

    前回思い出しかけた忠輔の過去の記憶は、結局よく分からないままになってしまい、ある程度予想通りの展開だった。 忠輔は自分が記憶喪失なままエル・パラシオで生活してることに疑問を感じていないので、エル・パラシオのみんなに大切にされてると知るって展開も、特になにも思えない。 忠輔の行動がこれを機に変わらないだろうし。


  • 『妹先生 渚』 (22話)強豪校との練習試合が終了。二勝三敗で渚の剣道部は負けたが、渚の思いは問題児の梶に届いたのだった、という話。

    岡持の藤井が出てくるくらいまではかなり面白かった。 ひびの入った左手を使って日高がなんとか勝ち、試合を見に来た元部員の三年生に、渚の自分への思いを聞かされ、梶の気持ちが動く辺りまでは本当に熱血漫画って感じで良かったと思う。

    でも梶をスカウトに来た暴力団と光路郎や藤井のドタバタな絡みが、熱血の流れとずれていて違和感が強かった。 暴力団が出てきた事象を上手く収めるためには、プロレスチックでドタバタな展開にするしかなかったのかも知れないけど、読んでいて熱く盛り上がった気持ちを削がれてしまったし、光路郎や暴力団を出さなくても成立させられた話のような気もする。 あと渚の泣き顔のアップとかは押しつけがましい感じで苦手だった。 38ページ。


  • 『マコトの王者』 (27話)2人の試合は、大地の若く健康な肉体の中に入った天堂マコトが、試合運びで完全に優勢に進み、勝利は目前といった所で、天堂の父親がリング前に現れ声援を送る。 すると大地の中に入った天堂の動きが止まり、その隙を突かれて、天堂の中の大地にクロスカウンターに持ち込まれた、という話。

    今回も1話だけの40ページ。 試合が一方的で天堂の中に入った大地の良い所がなさ過ぎた。 作品の途中でテーマが、天堂の家族や人間の絆を否定する生き方が、大地にによってどう変わるかになってしまい、話が天堂寄りになっているのも自分には物足りない。 

    リング前に天堂の父親が車椅子で現れ声援を送ったのだけど、それは自分の息子を声援したのか、また、大地の中に入った天堂が一瞬動きを止めて素直な表情になるのだけど、これは天堂の表情なのか、入れ替わった中身が元に戻った大地の表情なのか、がぼかされて続きが気になる。 もうゲッサンでの連載は終わってるようだけど、盛り上がる展開だったのかなあ。


  • 『ココアの思い出』 (読切)主人公の女の子が、かつて、相手を傷つけるような事を言ってしまい疎遠になった小学生時代の初恋相手と同窓会で再会する話。  今までゲッサンに短編や付録で、『レバー』『博士の愛した人造人間』『少年と人魚』が掲載されている佐伯幸之助の作品。 16ページ。 

    相変わらずキャラクターを描くのはこなれてるのに背景が上手くない。 あと、ショックを受けた時に物を落としたり、恥ずかしさのあまりベッドに俯せになって足をバタバタさせたり、相手が勘違いしてると気づいて大声で笑ったりとか、新人なのにやたら使い古された表現をするのが気になる。 でも、ココアの使い方も含めてこの作者の今までの作品では一番面白かった。


  • 『いつかおまえとジルバを』 (36話 最終回)人間に飼われる事の心地よさや窮屈さを感じつつも、ジルバは連れ去られた野良猫たちと再会し、野良猫へと帰っていくのであった。  今回で最終回なわけだけど、まるで打ち切りのような雑然とした感じだった。まず、話の繋がりが所々分かりづらくて、野良猫を連れ去った姉妹の家が、ジルバを拾った青年の家からどれくらいの位置にあるかとか、ジルバが姉妹の家から出て行った後、次のページで急に野良猫たちが犬に出くわしてて、いつ家から出てきたのか、とか、よく分からないし、野良猫を保護した姉妹もすぐいなくなって出す意味あったか分からないくらいだし、マリーのジルバへの恋心も話として全然生かせず終いだったし、最後まで本当に行き当たりばったりな作品だったなあ。

  • 『月の蛇』 (27話)林冲に完敗した飛虎は、翠華や扈三娘らによって助けられ何とかその場を脱出したが、みんなを逃がすために一人残った扈三娘は、林冲によって、その能力を惜しまれつつも斬られて死ぬのだった、という話。

    前回、翠華を助けに向かう青磁の前に現れたのは、かつて飛虎と同じ牢屋にいた老人で、その正体はこの国の大尉だった事が明らかになるけど、昔の中国軍や政治家の組織を知らないせいか、いまいちピンと来なかった。  飛虎は全く良い所無く敗走したけど、話自体は怒濤の展開で一気に読めたし面白かった。 毎回こういう熱い展開だといいのになあ。


  • 『イボンヌと遊ぼう!』 (28話)以前現れたパンダが再びイボンヌ達の学校へ現れ、イボンヌ達はパンダの行方を必死に追う、という話。  パンダが学校のあちこちを歩き回りイボンヌ達も探し回って、その先々で、特に意外でもない色んなアクシデントが起こるわけだけど、アクシデントにハラハラさせる何かが足りない気がする。 ほんわかしたのは好きだけど、毎回展開が似ていてノリも同じだと読んでいてしんどい。 

    あと、パンダが自分のジャグリングに自信を持っていて褒められたがってるという設定は嫌いじゃないけど、設定が特に面白く生きることもなく、出来事が順番に描かれただけという感じ。 今回パンダがメインでイボンヌは脇役も同然だったし、イボンヌとはじめは会話しないどころか、一切出会わなかったな。


  • 『リンドバーグ』 (27話)ギャローの乗る改造されたリンドバーグが暴走して崩壊し、その隙にシャークはギャローを撃ち殺し、シャーク一行は何とか難を逃れるのだった、という話。  

    改造されて異形の姿になったリンドバーグは、ただ異形の形を絵として見せただけで大した活躍もせず、勝手に暴走してボロボロ崩れてしまうというかなりの肩すかしだった。 あと、ニットがシャークの気持ちを安易に理解し過ぎというか、騙されて連れてこられたニットの葛藤や、シャークを理解する切っ掛けを、これまで作中ほとんど描かなすぎだし、目の前で今人が死んでいるのに、そっちを驚いた顔だけで済ますのにも違和感があった。 ニットも一応主人公ではあるのだから、もう少し感情の機微を丁寧に描いて欲しいなあ。


  • 『信長協奏曲』 (27話)浅井長政に裏切られ、退却途中でで朽木元綱に立ちはだかれた、サブロー扮する信長一行であったが、松永久秀による説得と、サブローが少し前に助けた女児が朽木の妹であったことから、朽木に手厚く保護され無事京へと就いたのであった、という話。

    朽木元綱の妹が、お市のように活発でほがらかな人物で、それ自体は魅力があるのだけれども、作者は兄を慕う活発な妹っていうキャラクターが好きなんだろうか。 小山ゆうもこういうキャラクターは出てくるけど、小山ゆうが描くと、もっと喜怒哀楽が大きくなるだろうな。 この作品は、脇役のちょっとした表情や言動が魅力的でいい。



今月は『第三世界の長井』は休載。
巻末の「ゲッサンしてみる。」は全面横山裕二の新企画の経緯漫画のみ。 四国の書店巡りをして自作のゲッサンのPOPを置いてもらい、そのレポを漫画にするらしいけど、正直、巻末の読者コーナーをこの漫画で埋めるのはやめて欲しい。 多少なりとも連載作家陣の事が分かる「仕事場見たいし!」の方が、まだ読みたいし、そもそもレポ漫画でこの漫画家を重用し続けてる理由が分からない。 話を短くまとめるのがうまいわけでもないし。

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サンデーGX人気作品ためし読み別冊付録

  • 『神様ドォルズ』(1、2話)故郷との関係を絶つべく東京の大学へ進学した匡平の周辺で、連続した殺人事件が起こり、そして、それらの事件はどうやら匡平を追ってやってきた妹や幼なじみと関係があるらしい、という話。

    この作品は読んだことがあるけれど、この2話までの頃は、匡平の妹である詩緒はまだ、大人びた感じに描かれていて子供子供してないし、コミカルなデフォルメ化もそんなにされてないな。 今回改めて読むと、酷い遺体を見てしまったのに、台詞で心境を説明されててもそんなにショックを受けてるようにも見えない日々乃の描き方に違和感を感じた。 あと、アクションシーンが、何がどうなっているか分かりづらかった。 同じ作者の『天にひびき』はかなり面白いのだけど、『神様ドォルズ』は自分にはいまいちピンとこない。


  • 『正義警官モンジュ』(6話)ロボット警官のモンジュが、書店の店先に設置された成人雑誌の自動販売機に恋をする、という話。

    モンジュが恋をする自動販売機が、スクラップ工場で潰される寸前に意志を持っていたらしいことが分かって、その直後結局潰されるのだけど、そもそも電源を外されてるはずの自動販売機がしゃべった事がおかしいと思う。

    モンジュが何で動いてるかは知らないけど、この自動販売機もコンセントを使わない機械だとするなら、スクラップ機で潰す前に電源なりバッテリーなりは爆発や火災対策で外してるはずでなのでは?と思って話に入り込めなかった。 設定が緩くて残念。


  • 『ジャジャ』(1話)中古バイク屋の女店主と下宿人のバイク乗りとのラブコメで、自分がレストアしたバイクを感じの悪い客に売ってしまった事に落ち込む女店主の話。 

    この作品は、今回の別冊の中で唯一初めて読んだ作品だと思うけど、この1話では、主要人物の性格や人間関係などの紹介に焦点を当てて描かれたせいなのか、バイクの魅力がいまいち伝わってこなかったな。 面白くないわけじゃないけど可も不可もないという感じ。


  • 『ヨルムンガンド』 (1話)親が殺され戦争や兵器を憎む少年兵が、武器商人に雇われ、早速自分の兵士としての能力を見せる、という話。 

    普段は無口で大人しいけど、戦闘が始まると的確な行動をしてココを守り、かなり戦争慣れしてることをうかがわせるという、ヨナがどういう人物か1話で分かりやすく描かれてると思った。

    作品自体は面白いんだけど、ただ、引きの画が少なくて風景がほとんど描かれないってこともあって、戦闘描写がこれまた自分には分かりづらいのだよな。 斜線と爆発エフェクト多めで画が荒いし。 同じ小学館の、画の荒々しいアクション漫画という事で藤原芳秀を思い出してしまった。

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