2013年3月9日土曜日

ゲッサン26号(2011年07月号)

  • 『ハレルヤオーバードライブ!』 (26話)冬夜と青葉が、それぞれ小雨達のバンドの新メンバー候補を連れてくるという話。  これからこの2人を中心に波乱が起きそうな展開で、主人公を軸にするよりは話が面白くなりそうだけど、周りの人にお膳立てされないと動けない主人公のままなのは良くないなと思う。

  • 『FULL SWING』 (14話)最初のエピソードに出てきた眼鏡の女の子とサッカー選手が、バーベキューパーティーを切っ掛けに付き合う、という話。  今まで出てきた人物達が大勢登場して、最後のページの煽り文のように、更に話が発展していくのか、数話続いて最終回になるかまだよく分からないけど、この作品で既に出てきたその後を見たくなる登場人物っていうのはあまりいないので、再登場されても特に何も感慨深いものはなかったかな。 あと、表紙とその次のページの柱に今までの物語が今繋がる的な煽り文を載せているのが、クドいと思った。 それは読めば分かるしネタバレだし、2ページ続けて知らせる事じゃないっていうか、もうちょっと読者の読解力を信じても良いような気がする。

  • 『QあんどA』 (26話)遊歩と陣野の父親の話を通して、陣野の内面や人物像が語られていくという回。  久しぶりに庵堂兄の死を真面目に扱って、あだちらしいさりげないユーモアも冴えてたし、通常のような数ページで終わりそうな話を楽屋落ちのくり返しで薄く引き伸ばしたような緩い感じもなく、久しぶりに読んで充実を感じられる内容だった。 まるであだちがやっと本気を出したかのような回。 次回はまた緩いのに戻るのだろうけど、こういう充実したものを毎号読みたいのだよなあ。

  • 『ぼくらのカプトン』 (46~48話)高校総体の埼玉大会で順調に勝ち上がってくサッカー部の悲喜こもごもって感じの話。  46話は、進学校なのに試合にガッツリ参加してる3年生と2年で引退するつもりの控えの部員達、という設定だけが面白かったけど、残りはありきたりな下ネタや、他校の有名選手が大げさなあだ名を付けられてるといういまいちピンと来ない話だった。 46話の俯瞰や引きの試合シーンや、48話の最後の優勝記念の写真の絵のタッチがかなりラフだったけど、前からこんな絵柄だったろうかと気になった。

  • 『よしとおさま!』 (26話)前回暗殺者集団?の鼠皇と出会ったことで、いつのまにか暗殺対象であるよしとおと馴れあってる自分に疑問を感じた綿貫が、よしとおと距離を取ろうとする話。  何度も書いてると思うけど、この作品の友情の描き方が苦手だ。 男同士の距離感って感じじゃない。

  • 『ちろり』 (1話)着物と洋服が混在した時代を背景に、妙齢の女性がオーナーを務める喫茶店?で、住み込みで働いている女の子の朝の行動を描いた話。  以前読み切りで掲載された漫画の連載1回目。 開店前の準備を、無駄なくキビキビ動いている女の子を見せたい、ってのは伝わるけど、ちろりやその仕事風景にいまいち魅力が感じられないのは、構図やコマ運びが気持ちよくないからだろうか。 別に凄く悪く感じたりはしないけど、アングルの寄ったり引いたりがちょっと雑に思える。 あと、手洗いを省略しているのかも知れないけど、ちろりが掃除をした後で、手を洗わずに食器棚や食器をいじってるのがすごく気になった。

  • 『アオイホノオ』 (38話)庵野達が武田に連れられて岡田斗司夫の家に行く話。  岡田も庵野達のように変わり者だったというエピソードに過ぎないな。 後半出てくるホノオが、相変わらず他人の描いた漫画の重箱の隅をつついては叫んだりするわけだけど、無理に変な所を見つけてはギャグにしようとしてるように思えてしんどい。 ワンパターン過ぎるのでは。

  • 『リンドバーグ』 (26話)狙われたプラモを見つけたジャンゴが咆哮すると、仲間のリンドバーグ達が一斉に黒薔薇七銃士隊の船に攻撃を始めたのだった、という話。 前回の感想で、ニットとプラモが揉めてニットの成長が描かれる的な事を書いてたけど、プラモが素直に言うこと聞いて大した事も起こらずにあっさり終わりそうだった。 人間とリンドバーグとの関係をシャークとニットのリンドバーグへの関わり方の失敗を含めた同一性で語ると思っていたら、エスペランサ側とシャーク側という対立軸に組み込まれているだけで、ニットの成長などは掘り下げられなかった。

    今回、ギャロー空佐のリンドバーグが改造されていたことが発覚したけど、この改造された姿も、ニットが衝撃を受けたほどには見た目が非道いって感じがしなかったのは、リンドバーグが仮面を付けていたからもあると思う。 改造されたリンドバーグを目にしたニットが泣くのにもピンとこなかった。 ただこれでニットにもエスペランサと戦う理由が出来たってことで、この対立構造はニットが結局シャークの過去をなぞってるだけの存在とも言えるけども、ニット自身も今後能動的に動くようになっていくのかな。

    あと、前回書き忘れたけど、ギャロー空佐の取った陣形は、リンドバーグ同士の後部を繋いでしまうので機動力が消えて狙われやすくなるだけではないだろうか。 後ろに飛べるとも思えないし、四方八方に攻撃態勢を取るのなら後ろ同士を繋ぐ必要もなかったと思う。


  • 『8月の面影』 (読切)幼なじみのお姉さんの結婚式に参加するために故郷に戻って来た青年が、もう1人の幼なじみにも久しぶりに出会う話。

    小川 麻衣子の読み切り。 悪くはないけど、主人公の青年と幼なじみの子の存在が希薄というか、いまいちそこに生きてるって感じがしなかったのが残念。 話が性急で間を感じられなかったからそう感じたのだろうか。 あと、主人公の青年と、お姉さんじゃない方の、もう1人の幼なじみの年齢や、主人公との年齢差が分からないけど、2つの初恋を描いてる以上、年齢ははっきりした方が良かったと思う。 作風的に、大人と子供の描き分けがハッキリしてないから余計にそう思う。

    あと、起動エレベーター的なものを出さなくても成立する話なので、そういうSF要素を入れてる理由が分からなかったけど、この設定で連載する予定でもあるのだろうか。


  • 『神さまと。』 (読切)女子高生が土地神と契約して邪鬼と戦う話。  坂ノ睦の読み切り。 土地神と人間が逆だったというミスリードは良かったけど、やはりこの漫画家の描く男が苦手だなと思った。 どこが苦手なんだろうと考えてみるのだけど、造形的には剃って整えたような眉毛や面長な所だろうか。 あと男のノリもイライラさせる何かがあるのだけど、自分の好みの問題なのかなあ。 二枚目がわざと三枚目演じてるようなわざとらしい感じに近い違和感だろうか。 読み切りとしては無難にまとまっててこの作品も連載する気満々なものを感じるけど、連載準備中の作品ってこれなのかなあ。

  • 『ここが噂のエル・パラシオ』 (26話)忠輔を賭けてアズミと戦うことになった桜花は、自分の忠輔への気持ちをまだ素直に認められないのであった。

    今回最後に、桜花の何気ない言葉から、忠輔が自分の記憶を思い出しそうになっていたけど、結局また記憶は封印されるような気がする。 ここで記憶が戻って桜花が忠輔に対して素直になれば最終回になるだろうと思う。


  • 『いつかおまえとジルバを』 (35話)記憶喪失と回復を繰り返すジルバは、記憶が回復した時には、拾い主に隠れて連れ去られた猫達の行方を捜しているのであった、という話。 猫探しを引っ張るなあ。 ジルバが人間に飼われるのに慣れてきたけど、飼い主の人格に問題があるし、このまま飼われて終わりにはならないだろうな。 しかし考えてみるとジルバを慕うマリーという猫を出してきた意味が全くないな。 行き当たりばったり過ぎる。

  • 『Waltz』 (21話)帽子卿のいる別荘へ向かう、首折り男に扮した苺原と、別荘で待ちかまえるチクタクの抗争が始まると思いきや、チクタクの前に現れたのは岩西で、岩西の雇った蜂という殺し屋とチクタクの抗争が始まり、苺原はチクタクのいたのとは別の別荘に隠れているはずの帽子卿を、さも居場所が分かっているかのように見つけたのだった、という話。

    今回は謎の展開をいきなり提示して、次号でその謎を明かすってやり方をして盛り上げてたけど、蜂の正体がいわゆる萌えキャラな少女だったのが、話が終わりに近づいてるここに来て萌えなのかと驚いたけど、でも考えたらこの作品に足りないものがあるとすれば、萌えはともかくとして女の子キャラなのだよな。 セクシー要員は情報屋が一応いるし。 この蜂が、ゲスト的な使われ方なのか、蝉と組む殺し屋になるのかは少し気になる。 あと、フロイラインの寺原の息子が出てきたけど、この作品は何の理由もなく脇の人物を出したりしないので、今回の事件にどう関わってくるのかも楽しみ。

    ところで、この作品の掲載位置が真ん中辺りになるのは始めてじゃないだろうか。


  • 『BULLET ARMORS』 (13話)イオン達が3人がかりで謎の男と戦うがそれでも勝てない。  そんな中、その謎の男はセレナが人間ではないと明かすのだった、という話。  セレナがトレマだったというのは一応衝撃的な展開ではあった。 謎の男はセレナを最初兵器と呼んでいたから伏線はあったわけだけども。 まあこれで高いところから落ちても無事だった理由だけはついたと言える。 でも今回はまたちょっと絵が雑だったり、視点がころころ変わって空間や登場人物達の位置関係がよく分からなかった。

  • 『バレてるよ!ジャンボリーヌ』 (14話)ひな子争奪戦の続き。  登場人物みんながしゃべりすぎだし特に面白いことを言ったりしないし、読んでいてしんどかった。 殺されかけるってシチュエーションが頻出するけど、緊張感が一切無いので殺されかけてるように受け取れないのだよな。 だから助かっても開放感もないし。 もっと絵や演出に説得力が欲しいかも。

  • 『月の蛇』 (26話)飛虎と花栄との戦いが始まろうとした矢先に林沖が現れ、飛虎は林沖と戦うのだが全く歯が立たずに、ついには右眼を斬られてしまう。 その一方、青磁は翠華の元へ行く道中で謎の集団に出くわすのだった、という話。  もう1つの蛇矛を持つ男との一騎討ちが始まったけど、あっさり終わってしまった。 これで仲裁する人が来て飛虎は修業し直しって感じだろうか。

  • 『まねこい』 (51、52話)奈波がリアのアドバイス通りに自分の恋愛相談をハルにして仲を深め、自分を可愛いと言ってもらって喜ぶ話と、ホンチーがカラオケレッスンしなくなった事を怪しむハルの話。

    なんか、奈波が思い切り美形になったことや、ホンチーの変化をあっさりハルに気づかせたりとか、話運びが雑になったように思う。 そこら辺を面白おかしく描くべきだったのではないだろうか。 打ち切りの危険があったとかでテコ入れしたのかな。 前も書いたと思うけど、自分の中では歴史研究会以降は初期に感じられた細かい心の機微を読める面白さは無くなったように思う。 シリアスに進めていくと思ったホンチーの音痴話を軽めに捻ったのは少し良いなと思ったけれども。


  • 『アサギロ』 (26話)新八と宇八郎が、女郎屋の薪割りで知り合った近藤のいる試衛館へ他流試合を申し込みに来るという話。

    話の筋としては他流試合がメインなのだけど、今回の話で細かく人柄を描写されているのは近藤の妻だ。 料理が下手で愛想も悪い武家の娘がなぜ近藤に嫁いだのか。 野良猫が近藤に懐いてるのが手がかりなのかも知れないけど、この女性の器量の悪さや無愛想さは地なのか演じているのか、まだよく分からない。 どこかの女スパイであってもおかしくない気もするくらい、一癖ある魅力的な人物だと思った。


  • 『姉妹だけに?』 (読切)ずぼらで頭の悪い姉と賢く良くできた妹の、いつもやっていそうな家庭内でのコミュニケーション、的な話。

    2011年4月号に掲載された『ハート ディスペンサー』という読み切りを描いた斉藤ゆうの2作目の短編。 相変わらず絵は拙いし、吹き出しの置かれた場所に違和感を感じる。 姉妹は大学生と小学生の設定だけど、姉が高校か中学生でも問題ないくらい設定が生きてないと思う。 上着はセーラー服着てるし。 姉が駄洒落好きなのも含めて魅力を感じられなかったので、妹も対比されて引き立ったという感じがしなかった。 前回の短編の方が面白かったかな。


  • 『マコトの王者』 (26話)天堂と大地の2人のマコトの再戦の始まり。  絵に迫力があるし作者も気合いが入っているのだと思うけど、2人のマコトの気持ちが表情が固くてやや伝わりづらいように思った。 どのコマでも少しハンコみたいに似た表情ぎみになりがちだったのが残念。 叫び声以外2人のセリフを一切廃した試みは、緊張感を感じさせるし上手く行ってるように思った。 どちらかが死ぬような空気を感じる。

    ところで、今回タイトルに"Last Match"という副題が追加されて、今までそれぞれ違う視点から描かれた2話掲載だったのが、今回は1話になっていた。 今回は40ページで、前号は2話合わせて40ページだからページ数自体は2話掲載時と同じなのだけど、このまま最終回になるとして、今後最終エピソードが1話づつ掲載になるのだとすれば、コミックスで、赤編と青編に分けて発売したのはやはりミスだったのではないだろうか。 最終刊はそれぞれどうするのだろう。 この漫画は赤と青を続けて読んだ方が良いと思うから、もしコミックスを出し直す事があれば全部1つのシリーズにまとめて欲しい。


  • 『第三世界の長井』 (24話)前回現れた謎の女の子に長井が攻撃される話。  7ページ。 女の子が放った麺が長井の手足に突き刺さったのが意外な残酷さだったけど、この漫画はなんでもありで危険や生死の基準が分からないのでどう受けとって良いか困る。 色んな要素が多過ぎな事に気が散って、笑えそうな部分に集中できない気がする。 最後のページの「何かが起きようとしている。」という長井のセリフは少し面白かった。

  • 『イボンヌと遊ぼう!』 (27話)イボンヌと谷口さんが、仲間の夢の中に入って一緒に遊んだり、はじめにちゃんとした夢を見せようと頑張る話。 いつもの装飾的な世界でイボンヌが遊ぶ的な展開だったけど、はじめがいきなり白い夢しか見ないとか笑えないことを言い出したので少しビックリした。 最終回で、今まで全ての出来事が、事故で意識不明だったはじめの夢物語でイボンヌは存在しないとかそんな事になってもおかしくない気がしてきた。 最期のコマで、イボンヌがはじめに小説の『罪と罰』を投げて渡していて、このオチが全く分からないのだけど、白い夢と何か関係があるのだろうか。

  • 『信長協奏曲』 (26話)サブロー達が逃走中に、農家の悪ガキを懲らしめたり、溺れた謎の女性を助けたりしてる間、しんがりを務めた秀吉は、明智達の見張る中、本気で浅井軍と撤退戦をさせられていたのだった、という話。

    前回の、逃走中に農家に立ち寄ったサブロー達が農民に襲われる怪しい展開は完全に肩すかしだった。 ただの話の"引き"でしかなかった感じだけど、最終話でサブローが現代へ戻ったら、襲おうとした農民達は、サブローの変な影響のせいで偉人になってそうな気もする。 川に溺れたのを助けた身分の高そうな女性も含めて伏線の感じもするのだよな。 まあ女性の方は確実に伏線だろうけども。

    で、今回の最後も、ピンチに陥りそうな終わり方をしたわけだけども、次回もまた特に何も危険な事はなく展開していきそう。 同じような安易な引きを使って欲しくはないのだけどなあ。 そういうことをしなくてもそれなりに面白いから。


『妹先生 渚』はまた休載。

今号の「ゲッサン編集こぼれ話」には、編集者の新人を見守る喜びや励まし、それと遠回しに読者へ新人を大目に見て欲しいという願いが書かれていた。 正直いって、ゲッサンには小学館の漫画雑誌の中でも面白い連載がそれほどあるわけではないと思うけど、現状支持できる点があるとすれば、それは新人にチャンスを与えて育てようとしている所だ。 だから、安易に人気作家を他所から呼んでくるのには、雑誌やコミックスの売り上げや、連載漫画の底上げが必要なのは分かるけれどゲッサンのカラーとして違和感がある。 あと、休載なままの西森博之の『いつか空から』はもうこのまま連載再開しないのではないだろうか。

「仕事場見たいし!」は『ちろり』の小山愛子。 普段から着物を着たり、アンティークな物を集めたりしているとのことで、アンティークフェチなのかな?という感じ。 漫画絡みの話は、以前描いていた卓球漫画は自分が運動が苦手で苦労したって事くらい。 「ぼくの!わたしの!もぐもぐ一週間。」はイボンヌの荒井智之。 朝は甘食か鯛焼きをいつも食べているようだ。 鯛焼きをよく食べているのは、漫画の影響なのか、普段がそうでそれを漫画のイボンヌのキャラに生かしたのかどっちだろう。あと、カツとサブウェイのサンドイッチも頻繁に食べていた。

今回はこの号の感想を書いている途中で1ヶ月くらい空いてしまって、再びゲッサンを途中から読んで感想を書く感覚を戻すのに少し苦労したのだった。 といっても、まだ7月号の感想だし、どのみち全然はかどってはいないのだけれども。

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