2013年4月19日金曜日

ゲッサン31号(2011年12月号)

  • 『ハレルヤオーバードライブ!』 (31話)ハルは浅緋に奪れた曲よりも良い曲を作ろうと思うのだが、その方法が分からず、小雨の方は、なぜハルが曲を取り戻すのをやめて新しい曲を作ろうと思い立ったのか分からず悩むのだった、という話。

    結局、奪われた曲は、自分が父親を思う気持ちが詰まっているから気持ち良いのだとハルは気づいて、一方で、小雨は曲を奪われたハルの悲しい気持ちを忘れさせるために曲を作ることにするのだけど、ハルと小雨の気持ちの重なりとか、他の仲間の恋愛感情をあちこちで描いて、ラブコメ要素が強くなってきた。 今回はハルの思いを麗に丁寧に代弁させたり話運びが良かった。


  • 『よしとおさま!』 (31話)よしとおの命を賭けた熾烈な戦いの最中、サビ丸は黒彦の口から、自分が次の里長に選ばれていると知らされるのだった。

    闘っているシーンで、誰がサビ丸側の人間だったか自分が少し忘れてたというのもあるけど、分かりづらかった。 あと、敵側の人間が綿貫と友達になりたがるのだけど、男が男に対して感じる情の描き方が粘着的で相変わらず読んでいて気持ちの良いものではなかった。


  • 『Waltz』 (26話)苺原と首折り男は、ビル内でさらに入れ替わっていて、本物の首折り男が背後から蝉を狙ったのだが読まれて失敗し、蝉は戦いに有利な場所へ移動するために苺原を人質にするのだった。

    苺原自体はあまり魅力のある人物ではないので、苺原の身の危険は次回への話の引きとしては弱いと思った。 首折り男は結局苺原を自分の目的のために見捨てないんじゃないかなあという気もするし、苺原が自分の考えで蝉と闘うかなという気もする。 なんだが全員死亡ENDという気もしてきた。


  • 『時坂さんは僕と地球に厳しすぎる。』 (3話)車をアイドリングさせる事によって出る二酸化炭素が、地球の温暖化に影響を与えると知った時坂は、大型スーパーの駐車場の車を悉くアイドリングさせるのだった、という話。

    説明台詞は前回よりはマシだけど相変わらずやたら多い。 前回は不法投棄されたゴミがどんな危険物質を排出するかの説明回で、今回は車のアイドリングの説明回。 でも、言うまでもなく地球の環境が破壊されても人間にとって住みづらくなるわけで、未来が過度な環境保護のせいで住みづらくなっているとしても、現在の地球の環境を破壊し過すぎては意味がないわけだし、そのさじ加減をどうするのかが曖昧なまま、時坂さんに環境破壊させるから、そこが気になって話に入り込みづらい。 その話の核を曖昧にして、環境破壊でポイントがもらえるみたいな細かい設定やアイドリングの仕組みの説明を出してこられても、装飾過多に思えてしまう。


  • 『QあんどA』 (31話)庵堂弟をしごく陸上部の鬼コーチは、優秀な選手を指導してきた実績があると同時に故障者も多数出している人間だった、という話。  遊歩が鬼コーチに、自分のしごきのストッパー役を頼まれるという発想も面白かったし、ストッパーになると思いきや一緒に鬼になって庵堂弟をしごくという展開も面白かった。

    遊歩が庵堂弟の専属マネージャー役みたいなポジションに簡単になって、そのいい加減な展開の軽さが良い方向に転がってると思う。 そう言えば忍が庵堂弟を好きという設定はもうあってな無いような感じになっているな。


  • 『アサギロ』 (31~32話)沖田の弟子として薪割りや風呂抱きをやらされていた藤堂は、疑問を感じつつも続けるうちに、ヘソの下に力を入れるとはどういうことか、持っているものが自分の体の一部になるとはどういうことかを体得し、沖田に再戦を挑むのだったが、試合中、ボロボロになって雑念が消えた状態になった時に剣の冴えを見せたものの、またもや沖田に完敗するのだった。

  • 2話続けて読めて良かった。 31話で終わったらどうなるか気になり過ぎてた。 

    今まで沖田は剣の天才ではあるものの、考え方や情緒に問題のあるいびつな人間として描かれてきたけれど、この2話では、相変わらず剣以外にはうといものの、剣術に関して、単に感性だけでやっているのではなさそうな、実践で学んだ経験を知識としても蓄積している、賢い人間として見えるのが良い。

    前回だったか、沖田が藤堂に薪割りや道場の水拭きをやらせていたのを、剣の基礎を学ばせるためにやらせてるのだと山南は心の声として語っていて、それは山南のかいかぶりすぎじゃないかと思っていたけど、どうもそうではなくて、本当に剣の修業としてやらせていた節があるのが今回分かったのだった。

    剣術が向上した藤堂は、藤堂を舐めるのをやめた沖田に完敗したが、このまま自分の剣の上達が沖田のおかげだとは思わず行って欲しいかも知れない。 今回の試合は藤堂が真剣で沖田が竹刀で闘ったのだけど、沖田の強さだけではなく、斬り合いにおける刀の重さやちゃんと持たない事、剣を手放してしまうことの危険性も伝わってきて良かった。 面白いけど、話の進みがゆっくりだし、新撰組の話をどの辺まで続けるプランなんだろうか。

  • 『ぼくらのカプトン AEASON 2』 (7~9話)学園祭の映画でサッカー部主将が下手すぎて涙を誘ったり、サッカー部員達がスカートの中を覗こうとしたり、主将が不良に絡まれたマネージャーを助けたりする話。

    サッカー部を少し離れて、学園の出来事を話の軸にして、そこにに少しサッカー部員を絡ませるという展開は、サッカー部のみで話を進めるのに煮詰まったからな気がするけど、この方向の方がまだ面白くなりそう。


  • 『リンドバーグ』 (31話)マティアスの策略により瀕死となったシャークは、心配して飛び出してきたニットに自分と友人の夢の話を、遺言のように語り出すのだった。

    今回シャークの口から語られた、失われた翼を甦らせし者を待つという、この世の果てにいるリンドバーグの王の話は、ニットに父親探し以外の目的を与えたのだと思う。

    今まではエスペランサが作中で圧倒的な存在感を放っていたのに、結局決闘からシャークが死ぬ時までただの脇役に成り下がってて勿体なかった。 ティルダも一応人質の体なのに存在が薄かったし、結局エスペランサとシャークの愛憎を描ききれなかったなという感じ。  でも、ニット達がシャークの死体をエスペランサの元に置いて脱出するというのは、シャークが実は生きてたとか、改造人間にされたとかいう展開の可能性を残してるかな。

    なんだかんだシャークの死は、周りの反応があっさりだったように思うし、最後にニットが故郷のエルドゥラと遭遇したのは強引過ぎると思ったけど、新章に進むための区切りとして必要だったのかな。 でも次回最終回なら、今回の強引なまとめ方や展開は腑に落ちるのだけども。


  • 『バレてるよ!ジャンボリーヌ』 (19話)ひな子とシンイチの新婚生活が始まったのだが、ひな子の面倒くさがりな性格のせいでシンイチは苦労が続き最悪の結末を迎えることになるのだった。

    ひな子がひたすら嫌な感じに描かれているが、ひな子を溺愛している父親が一切出てこないのはやはり不自然だと思う。 今回は城ノ内も一切出てこなかったけど、次回完結というのは、この作品が終わるのかひな子のエピソードが終わるのかどっちなのだろう。コミックスの収録話数のせいなのか、無理に話を引き伸ばしてた感じがあったし、次回最終回でも問題ないとは思う。


  • 『アオイホノオ』 (43話)学園物を描くためには、今までのような適当でもごまかせた架空の星の世界とは違い、校舎など実際の建物をちゃんと描かないといけない、という事に悩むホノオは、原秀則の漫画を読み返して、背景を略して描くだけで済ませても良いと気づき安堵するのだった、という話。

    津田さんが久しぶりに登場した。 津田さんはトンコさんと違って、ホノオの独りよがりに厳しいツッコミをし過ぎることはないけど、がっぷり四つにホノオと向き合うこともないし、普通に話を聞き流したりするし、トンコさんほど重要な人間としては扱われないけど、ホノオを気遣いつつも、自分にとって重要な人間として扱ってない態度がリアルな人間って感じがする。 でも前は違ったんだっけかな。 以前は恋愛感情が少しあったけど愛想を尽かしたという表現かも知れない。

    校舎の外で延々石を削り続けてる学生は、地味に努力を続ける人間としての、ホノオとの対比で、いずれ完成させるのだろうけど、こういうシチュエーション前にどこかで見た気がする。 この作品かな。


  • 『まねこい』 (61~62話)荒場木は、トラウマになっている昔の彼女と再会して、自分や沖田は昔の彼女やその彼氏と生き方の違う人間なのだという事を実感し、関わり合うのをやめようと思うのだった。 一方で、風邪で学校を休み続けるハルを心配して家へお見舞いに行った奈波は、ハルとホンチーの間に何かがあったと知るのだった。

    荒場木と沖田が椛達と一波乱ありそうな展開だったけど、ここまで煽っておいて結局相手があっさり引き下がって肩透かし。 好意的に解釈すれば、何も起こらない純粋なサスペンスだけど。 ただ、荒場木と沖田をくっつけるためだけの話にしては大げさだったと思う。 あと荒場木の楓への恋心を、双子の椛に似てたからってだけで片付けてもう何も思ってなさげなのはなんか釈然としなかった。 ハルの方は、これで奈波がハルに呆れたらひたすら陰惨な漫画まっしぐらだし、奈波はハルを励ますかキスするかになるのだと思う。


  • 『FULL SWING』 (19話)大学卒業を控えた野球部の寺内は、ドラフトにかかることを条件に子持ちの女性にプロポーズするのだが、その彼女は、別れた夫やその母親からよりを戻さないか打診されて2人の間で気持ちが揺れるのだった、という話。

    今回の話は設定は面白かったけど、子持ちの女性と主人公の関係が希薄な感じで、別れも深刻さが伝わってこなかったのが残念だった。 あらゆる事が綺麗に片付きすぎというか、主人公の青年は、ドラフトで呼ばれず振られもする羽目に遭ったんだし、もっと悪あがきしたり醜態晒した方が人間味が感じられたのになと思う。


  • 『これが噂のエル・パラシオ』 (31話)桜花が試合に負けたことで、約束通り、素人レフェリーの忠輔はヒートへ移籍しようとするのだが、ヒートのオーナーに雇うのを拒否され、なぜかアズミの言われるまま、うだつの上がらない練習生と一緒にエル・パラシオへ返されるのだった、という話。

    今後もずっとエル・パラシオとヒートの対立軸で話を進めるのだな、という感じ。 長々とヒートとの抗争やってたのだし、よく考えたら分かることだったかも知れない。 ヒートで伸び悩んでいた練習生をエル・パラシオで育てさせることで、なぜアズミがエル・パラシオを抜けたのか本当の理由が分かるようになってくのかも。 自分がいたら他の選手が伸びないとかそういう理由かな?


  • 『ココロ、デッサン』 (3話)ロボットだから人の感情を理解できない田中は、そのせいで失恋したクラスメイトと仲がこじれてしまうのだった、という話。

    そうか、田中を感情のないロボットとして描く方向なのか。 最近漫画などでロボットが擬人化されて感情表現が当たり前なのに慣れ過ぎてたせいか、さらに作中で多少は感情があるような感じだったせいか、ロボットに感情がないっていう基本的なパターンを全く考えてなかったな。 当たり前のことに気づかなかったのは反省しないといけない。 ただ、感情がないロボットとして描き切れてないのではないか?とは思う。

    っていうか、前回の幼なじみの先生の話はあれで終わりか! 続くと思っていたのでかなり拍子抜けだった。 これは最終回もぶつきりで何も起きずに終わりそうだな。

    ただ、生徒達が野球やってる光景とか、取材や資料を基に描いたのか、ガヤガヤした感じがリアリティがあったし、友達の前では同情しつつ裏では笑ってるような人間の裏表のある感じとか、ありがちなパターンだったけどそれなりに話に収まりよく描かれてたし、瀬戸ミクモは思っていた以上に力あるのかなと思った。 でも話を動かすのがいつも主人公以外なのが気になる。


  • 『月の蛇』 (31話)戦に参加しなかった飛虎は王進から、翠華が飛虎に頼らずに自ら一兵士に紛れて戦に参加したことを知らされるのだった、という話。  圧倒的な力の差で宋国が負けてる最中に飛虎が参戦するのだけど、物語としていまいちピリっとしない感じ。

  • 『BULLET ARMORS』 (18話)イオン達は、セレナやバレットを取り戻すために何とかベイカーの基地へ潜入したのだった、という話。

    イオンの父親を気にしてるのがイオンじゃなくてカルトの方なのが微妙。 あとブリーダーを殺す異常者みたいのが出てきたけど、悪の描き方が極端でこの異常な男の絵柄も含めて作中から浮いてる。 

    近年の漫画でツッコミや悪い奴の表現が妙に極端なのがある気がするのは、話や演出で怖く見せるのが上手くない人が増えてるということなのか、世の中が刺激が強くないと伝わらなくなってるのかなんなんだろう。

    この作品ではないけど、目つぶししたり刃物や棘のある危険な武器で半殺しにするのがツッコミとして扱われるのには違和感がある。 そういうのは昔もあったと思うけど、当たり前のように見かける表現ではなかったような。


  • 『ちろり』 (6話)一緒に月見をするはずだったマダムが、急遽お客の忘れ物を届けることになり、マダムが帰るのを待つ間、ちろりは手持ち無沙汰にお店の中でうずくまるのだった、という話。

    店の中の、月明かりの影が差す静かな光景は悪くはないけど、相変わらず外の自然の風景に魅力がない。 あと、人を待つ、退屈ながらも味わいのある時間を見せるのが今回の目的だと思うけど、ちろりがマダムに依存し過ぎてるように思えてあまり好意的には受け取れなかった。


  • 『僕の友達は魔法少女』 (読切)主人公の俊には空を飛びたいという夢があって、その夢を同じクラスの魔法少女に叶えて欲しいと思っているのだった、という話。

    前回の四コマに引き続き、今回はストーリー物の斉藤ゆうの読み切り14ページ。

    空を飛べたかどうか分からないまま途中でギャグのオチがついたみたいに終わったけど、話としてオチてないし投げっぱなしにしか思えなかった。

    空を飛びたいという夢を、学校へ行く坂道を歩きたくないからって事のみに還元できてないから、作者が主人公の夢を踏みにじって終わったように受け取れるんだと思う。

    魔法少女は空を飛ぶ約束をした日にほうきを持っていなかったし、俊との約束を破ったと受け取れるわけで、そういうのも含めてただのギャグとしては読めなかったなあ。 後味があまり良くなかった。

    あと、テイストがバタアシ金魚時代の望月峯太郎っぽいかも。


  • 『妹先生 渚』 (14話)かみきり虫は、閉園して放置された甘夏農園から大量にやってきたものらしかった。 原のみかん農園は大打撃を負ったが、原や渚達はあきらめず駆除を続けるのだった、という話。

    珍しく2号続けて連載されていたが、次号は休載らしい。

    諦めない渚と諦める令嬢との対比は予想通りだけど、この恋愛編?が今回ですぐ終わったのは意外だった。 渚が主人公ってよりも群像劇の中の一人になってしまったな。 次回からまた新展開らしいが、展開が行き当たりばったりに思える。


  • 『第三世界の長井』 (28話)博士の娘が縛られて倒れているのが発見され、発見当時は死体のようだったのに、長井や帽子の男達が来ると生き返り、そして火山噴火星人が現れたのだった、という話。

    よく覚えていないけど、博士の娘は前に他の役で出てこなかったっけか。 今回はここ数回のような、登場人物の考えや関係性で話が進まずに、また台詞の言葉遊びみたいのだけで話が展開されていたし、ここ数回に比べていまいちだった。


  • 『信長狂想曲』 (31話)信長一行は、尾張津島の天王祭りに出かけたのだが、途中咳が止まらずに座を離れた明智の様子を見るよう帰蝶に言われたおゆきは、林の中で、サブロー扮する信長とそっくりの明智の素顔を見てしまうのだった、という話。

    信長を狙撃させたのは、秀吉だったことが発覚したり、帰蝶の美しさを明智が再確認したり、サブローと明智の顔がそっくりなのがばれたりと、話が大きく動いた回だったが、特に面白いという感じでもなかったかな。 ところで、登場人物が何かにハッとするような時に、目や顔のアップで背景を黒く塗りつぶして目の近くを斜線で白く抜いたりする表現を前回や今回やっているのだけど、これって前からやってたっけかな。 こういう古い漫画的な表現はあまりやらない作品だった気がするのだけども。



巻末の「ゲッサンしてみる。」では、ツール・ド本屋さんの第二弾を開始したけど、今回の話の山場である、編集のワタナベが、自転車では大変な箱根の登り坂を、車で荷物を運んで横山を手助けするはずが失敗、という展開が読んでいて分かりづらかった。 ワタナベが中腹で横山と落ち合うはずが、渋滞のせいでタイミングが合わず、もっと先の頂上を越えた関所で会うのだけど、その関所が頂上からどの位置にあるのか自分には全然分からなかったので。 

あと、次号の新年号から新連載攻勢が始まるとの事だけど、連載を予定しているゲッサンルーキーの人選が、自分が期待してる漫画家達のいない面子だったので残念だった。 良い意味で裏切られる事を期待したい。

というわけで、2011年度のゲッサンはこれで読み終えた。 実際には、2011年度内に2012年1月号も発売されてはいるけど、雑誌に表記された年号のキリということで。

読むのを中断する期間がたびたびあったというのも理由だけど、ゲッサンを読むのがしんどいことが多くなった。 今まで読んできて、普通に楽しめる作品は、『QあんどA』、『アサギロ』、少し落ちて『信長協奏曲』くらいだな。 といっても、『QあんどA』は悪ふざけが過ぎるような回が多くて、この連載をどうしても読みたいと思わせる作品とは言えなかったけれども。 週刊誌に比べて、月刊誌では、一話分ののページ数も多いから、つまらなかった時の読むしんどさも週刊誌以上な感じだけど、2012年はもう少し面白い連載漫画が増えてくれるとありがたい。

ところで、今月号には、「漫画作品が勝手にスキャンされている!!」と題して持ち主に変わって有料で漫画をスキャンしてデジタル化をする代行者を批判する文章が掲載されていた。 

自分の感覚では、スキャン代行業の料金は、その本や雑誌の持ち主の代わりに作業をやる手間賃という感覚なのだけど、出版社にとっては、他人の権利のある作品を使って金儲けをしてるという解釈になるらしい。

どれくらい需要があるのか知らないけど、時間や体の都合で自分で出来ない人もいるだろうし、一律全面禁止にするのは隙間産業の可能性としてもったいないと思う。 代行業者がスキャンデータを悪用する可能性もないとはいえないけど、最初から業者を犯罪者扱いする態度は違うだろう。 というか、出版社自らがデジタルスキャン代行業をやったらいいのに、と思ったけど、それならデジタル漫画を直に売った方がいいのか。 

この件とは直接関係はないけど、出版社は、人気漫画が本棚を圧迫するくらい何十巻を続刊を出している事に疑問を感じないのだろうか。 

2013年4月18日木曜日

ゲッサン30号(2011年11月号)

  • 『鉄楽レトラ』 (6話)カルメン部が女性の嫉妬を作品に生かそうとしていたのは、部員の富永が仲の良かった子にいじめを受けていて、そのいじめている彼女の気持ちを理解したいからだった。 そして同時期に、鉄楽の妹も同じく仲の良かった友達に厭がらせを受けていたのだった、という話。

    前回の感想で、鉄楽に靴をあげた女の子の話を少し書いたら早速登場してきて焦った。 今回鉄楽は、その女の子を妹の学校で偶然見かけて驚いていたけど、前に、体育祭か何かの交流試合で既にニアミスしてなかったっけかな。 あの時はすれ違いで気づかなかったんだっけかな。 思い出せない。 ただ、今再会しても鉄楽はまだ何もしてないも同じなので、相手の頑張りを見て自分も頑張ろうと思う的な事以外何も起きなさそうだし、今回は遠くから見てるだけと予想。

    ところで、鉄楽の妹のいじめへの対処法は相手との我慢比べみたいなものだったけど、それで解決しないから鉄楽が何とかしようとしてたわけで、要するに、妹の対処法は失敗していたのではないだろうか。


  • 『ハレルヤオーバードライブ!』 (30話)校内でのゲリラライブ後、先生達に捕まらずに済んだ小雨達だったが、その後にライブを敢行した浅緋の歌を目の当たりにして、自分達との圧倒的な力の差を思い知らされるのだった、という話。

    最後の方の小雨の叫びとか、生徒会長の口の悪さとか、なんか登場人物達の感情と台詞と表情がバラバラで噛み合ってない感じで、話にノれなかった。  あと、ゲリラライブも、計画が杜撰だし犯人が先生達にバレないとおかしいわけで、大味な設定や展開をなし崩しにするくらい勢いがある作品でもないし、バレて部が解散とか大問題になるとか作中で言っているのに、描かれる展開にリアリティが薄いから、浅緋の、ゲリラライブをやったのが小雨達だというのが先生にバレる事を天秤にかけた、バレない代わりのハルに対する自分のバンドへの勧誘も、特に緊張感も感じられず白々しく思えた。 加入しかけたハルも浅慮で安易な感じがしたし。


  • 『時坂さんは僕と地球に厳しすぎる』 (2話)時坂さんが未来から現代へ来た理由は、未来では地球の環境を保護しすぎた結果、人類が生きづらくなっているので、過去へ戻って環境保護を止めさせ逆に環境破壊するためだった、という話。

    後のエピソードで掘り下げるのかも知れないけど、物語の肝である、未来がどう大変になっているかとか、現在の地球で環境保護をどう止めさせるかとか、そこを簡単な説明で切り上げておきながら、SFやら科学やらの説明的な台詞や単語の羅列を長々といまいちかみ砕かれていない状態で展開させるから、細かく説明すべき所がずれてるように感じたし、肝心の話の筋の印象が薄くなったように思えた。 なによりも説明台詞を読むのが面倒だったし。

    時坂さんの話を主人公が受け流し過ぎだし、色々な事が起こるわりには特に物語の起伏もなくどんどん話が進んでくだけのような感じ。 もっと未来の事や主人公がどう未来と関わってるのかを、気にさせる程度には掘り下げてからドタバタ話を展開させて欲しかった。


  • 『ぼくらのカプトン SEASON 2』(4~6話)先輩達を超えるための練習メニューの増やし方が変だったり、谷口主将が補欠な事を他校のチームに良いように誤解されたり、パンストの蘊蓄を語り合ったりする話。

    相変わらず落ちが緩すぎて面白くなりかける前のさざ波で終わってるし、蘊蓄のやり取りの中の、それぞれのこだわりが大してこだわってるようには思えない大ざっぱなものだったりしていまいちだったけど、他校の人間を通して、御幸高サッカー部が語られる5話は落ちがすぐ分かる展開ではあるけどまだマシだった。


  • 『Waltz』 (25話)首折り男はなぜ生きていて、今までどうしてたかの種明かし編。  あらすじの通り、ほぼ全ページに渡って首折り男が生きていたトリックと、今まで語られなかった首折り男の裏での行動が開陳されていた。 ちょっと冗長かとも思ったけれど、種明かしをキッチリ描くことで、首折り男が生きてたことに説得力を持たせるのは悪くないと思ったし、虐められっ子だった苺原の意識の変化も同時に描いていたので、納得は出来た。 ただの高校生の苺原が殺し屋を演じるのは無理があったし。

    ただ、苺原が自分の意志でやってると思っていた今までの行動が、首折り男に自発的に協力していたとはいえ、他人の作戦に従ってたわけだから、苺原の成長物語という部分では少し弱くなったかな。

    それにしても、首折り男の獲物だった帽子卿をあっさり蝉が殺してしまい、殺し屋三つ巴のクライマックス感がなかったのは少し肩透かしだった。

    今回の最後で、コンビニ店長と岩西が、蝉を殺す契約をしてる事が発覚したけれども、前回の、岩西が蝉を信頼し、蝉がやたら岩西に懐いてるような2人の愛情表現を描いておいた事が、今回の岩西の裏切りの逆説的な伏線のように扱ってたのには唸らされた。 まあ、BLっぽい要素は前回だけじゃなく何度もあったけど、そういう要素をただのファンサービスだけにしてないで物語に生かすのは上手いと思う。


  • 『QあんどA』 (30話)庵堂弟に陸上競技の才能があるようだと言うことが、鬼島監督によって発覚する話。  やっと庵堂弟の才能の発露が見られたけど、ちょっと急でこじつけを感じなくもない。 このまま庵堂弟が自分の目標を見つけ努力して兄は消えて終わりだろうか。

  • 『アオイホノオ』 (42話)ホノオがトンコさんから性的に誘われてるようないないような状態に陥っている一方で、庵野達は、岡田から制作を頼まれたアニメの内容について、いまいちどう違っているのか分からないが、意見の相違から武田と揉めているのだった、という話。

    ホノオがメインの話なのに久しぶりに面白いなと思ったのは、トンコさんがホノオ達に対して距離を置いた批評的なポジションにいるからなのだと思う。

    ホノオ達おたくに対するニュートラルな距離にいるのは、トンコさん以外にもホノオが柔道を習いに行ってる道場?にいる子達もそうだけど、その子らは、ホノオにとって、無垢というか、ちょっと馬鹿にすべき無知な存在のように描かれていて、トンコさんのような、意見を言って、その意見をホノオが素直に聞き入れるという立ち位置にいないので、ホノオとの考えや意識のずれのある存在として描かれはいても、扱いが軽いしホノオに鋭い意見を言わさせてもらえるポジションにはいないのだよな。

    あと、ホノオの出てこないガイナックス黎明期の話の面白さは、暴走するおかしな人達しか出てこないカオスな面白さなのだけど、ホノオが中心の話だと、暴走はするけど、空回って暴走の熱が冷めるというか、その空回り具合が、同じ事の再生産みたいなことばっかりで飽きてきた。


  • 『ちろり』 (5話)ちろりが、仕事で着ている和服の、古くなった掛け衿?を取り替える話。  今回は台詞を一切無しにして、就寝前に、自分の部屋で、仕事中の出来事を思い起こしながら掛け衿?を外して新しいのを縫い付ける、というちろりのしぐさが描かれるのだけど、正直、掛け衿を外してるのが視覚的に分かりづらかった。 分かりづらい理由は、着物から掛け衿?を外す過程を、糸を外したり、外した後の掛け衿?を見せるだけで、着物から外している過程の状態を省略して描いてないからだと思う。

    この作品は、作者が、ちろりを可愛く描いて、描きたいフォルムや構図で描ければそれでいいみたいな所があるのではないだろうか。 ちろりは可愛く描けているけど、仕事の細かい描写を描く、見せる、というのが上手くないなと思う。


  • 『アサギロ』 (30話)近藤から沖田の弟子になるよう命じられた藤堂は、沖田に雑用を押しつけられながらも、試衛館の人達と交流を深めていくのだった。

    今回で、藤堂らの話の中でしか出ていなかった、沖田と藤堂の試合の経緯が描かれたり、山南が伊東道場に行って藤堂が試衛館へ来た理由を調べたりと、伊東甲子太郎や鈴木三樹三郎が近藤達と合流する前の下準備といった展開だった。

    最終ページの煽り分に次号は大人気御礼で2話同時掲載と書いてあったけど、単に次号は「妹先生 渚」が休載でその穴埋めにもう1話掲載するだけじゃないのだろうか。 今回はいつになく顔芸が多かったな。


  • 『リンドバーグ』 (30話)シャークとの戦いの最中、マティアスは野心剥き出しに本性を現し、ティルダや空賊を人質にシャークの命を奪おうとするのだった、という話。  シャークは仲間を守るために自分の命を捨てるわけだけど、まあ、ほぼ前回の予想した通りかな。 マティアスが汚い手を使いグラナロッサを手に入れようとしてる位野心家だとは思わなかったけども。

    これは、数年後成長したニットが、空賊を率いてマティアスが王になったグラナロッサと戦う展開だろうか。 シャークは本当はエスペランサを殺そうとは思っていなさそう。 あと、シャークとニットの関係はアニメのグレンラガンでのカミナとシモンの関係のように描こうとしているのかな。


  • 『ここが噂のエル・パラシオ』 (30話)桜花が試合に負けた事で、エル・パラシオのベルトはアズミに渡り、もう一つの賭の対象だった忠輔も、アズミのいる団体へ行くことになり、忠輔は桜花達の家から去るのだった。

    桜花を試合に負けさせてどう話を進めるのかと思ってたけど、桜花が失ったもの(ベルトや昔の仲間・団体の繁栄、忠輔)を取り戻すという事と、忠輔が失った記憶を取り戻す、という事が重ね合わされたのは上手いなと思った。

    これで桜花やエル・パラシオと忠輔の失ったものが同時に取り戻せたら良い最終回になりそうだけど、安易な理由で忠輔がエル・パラシオに戻ってだらだら話が続きそうな予感。


  • 『FULL SWING』 (17話)兄を電車の事故で亡くした弟は、兄のいた大学の野球部のセレクションテストを受けに行ったのだが、そこには兄が死ぬ原因を作った青年も来ていたのだった、という話。

    兄の死を乗り越えようとしている青年と、人を死なせてしまった事の罪滅ぼしをしようとする青年が出会ってどうなるか、という難しい設定で、死なせた側の青年が、試験管の人に、相手が受かるよう懇願するのはやりすぎと思ったし全体的に古くて大味な話だったけど、それなりに熱い展開になって面白かった。 正直片方の青年の妹はいなくても成立しそうな気もするけど。


  • 『マコトの王者』 (30話(最終話))大地が国民栄誉賞をもらうくらい活躍し、天童は父親の仕事を手伝いつつ結婚し、小さい子供もいる、という境遇で再会した2人のマコトは、再戦することを約束するのだった。

    結局最終的に天童の改心話に落ち着いてしまったし、天童のその後を掘り下げるだけじゃなくて、大地が結婚したかどうかとからへんも描いて欲しかったけど、一応これからもライバル関係は続くように見せつつの大団円だった。 読んでいて乗れない回もあったけど、熱血要素があって良作ではあったと思う。


  • 『ココロ、デッサン』 (2話)ロボット高校生田中とヒロインの小泉には、共通の幼なじみであり教師でもある小泉という男がいるのだが、その小泉は、密かに小泉を自分の物にしようと機会をうかがっているのだった。

    前回の1話もそうだったけど、悪意ありげな間男?の不穏な顔つきなどの描き方が、あざとくて露骨な描き方のまねこいよりは悪目立ちせずに上手く話の展開になじんで描かれていると思った。 ただ、三角関係の恋愛をシビアに描くなら主人公がロボットなのは逃げなのではないかという気もする。

    今回のエピソードは次回にも続くようだけど、この作品は毎回田中と小泉の仲を裂くライバルが現れてそれにどう対処するかっていうパターンなのだろうか。 三角関係の一極になる人間がヒーロー物の怪人や、ウルトラマンの怪獣のように毎エピソード登場するって展開だとしたらちょっと面白いパターンかも。 でも恋愛物って基本そんなもんだっけか。


  • 『BULLET ARMARS』 (17話)カルトと闘って力尽きかけた体をなんとか動かし、ベイカー軍団からセレナを助けようとしたイオンだったが、ギリギリの所で助けられずバレットもろとも奪われてしまうのだった、という話。

    イオンが単にセレナと離ればなれになったり、あっさり助けたりするよりは、バレットごと離ればなれになる展開は面白いと思うけど、結局大した策もなく力押しで取り返しそうな感じがする。 でもイオンって、セレナを奪われ命を狙われてるとはいえ、死なせそうな位人間の顔面をパンチするようなキャラクターだったっけかなあ。

    あと、ずっと探してた父親の消息が前回初めて分かったにもかかわらず、今回父親のことを一切気に欠けないのは、セレナやバレットを失って大変になってるとはいえどうかと思った。 結局父親探しはただの物語の味付けでしかないという事を作者が体現させてしまった感じ。


  • 『まねこい』 (59~60話)ホンチーに風邪をうつしてカラオケ大会を休ませる作戦の最後のチャンスとして、ハルは、夜中にホンチーを呼び出すのだが、ついに自分が音痴という本当の事を話してくれると信じて現れたホンチーに対して、ハルは何を勘違いしたかキスをしてしまうのだった、という話と、浮気性の椛の彼氏を罠に掛けようとした沖田が一枚上手の相手に良いようにあしらわれる、という話。

    ハルのごまかしがバレて、ほんちーとハルの関係が最悪の展開になったけど、ハルに限らず恋愛のゴタゴタを上手くコメディタッチに落とし込めずにシリアス一辺倒になりすぎだと思う。 猫太郎の設定をほとんど生かせてないし。 あとみんなで海に行った時といい、軟派な人間を嫌な奴として描き過ぎて読後不快感が残ってしまう。 シリアスな恋愛物は別の作品でやってみた方が良かったのでは。


  • 『舌鼓を滅多打ち』 (読切)調理部の顧問と生徒3人の織りなす、何度か読み切りを掲載されている斉藤ゆうのコメディ四コマ漫画。12ページ。  この人は妙な緩いユーモアがあるから四コマには合ってるかも。 ただ、女性キャラは可愛いけど、絵がやっぱり上手くなくて、付け髭と口の違いが分かりづらかったし、題材として出てくる料理ネタも、漫画を書くために調べた事をそのまんま使ったかのような、こなれてない感じがあったのが残念だった。 顔のアップだけは上手いのだよな。

  • 『イボンヌと遊ぼう』 (31話(最終話))宇宙に3年滞在の予定を1年で終え帰還したイボンヌとはじめは、学校のみんなと無事再会し、イボンヌはこれから、高校の教職に復帰せずに動物園で働くと伝えるのだった。 予想に反して恋愛要素が一切無く戻ってきたなあ。 一応大団円という形で終了。 決して面白いとは言えない作品だったけど、読んでも不快感のあまりない妙な味わいの作品だった。 絵も、イボンヌの顔は最初は定規で引いただけのような固い味気ない線だったのが、今は相変わらず上手くはないけど線に生気があって悪くはない感じ。 話を作るのが上手くなさそうなので、次チャンスがあるなら原作付きで何か描いて欲しい気がする。

  • 『よしとおさま!』 (30話)黒彦に連れ去られたよしとおは、自分を殺そうとしている黒幕の人間と対面するのだった、という話。

    結局サビ丸が助けに来て次回へ続くのだけど、黒彦によしとおを褒めさせたり、よしとおのイメージアップ回という趣。 自分や黒幕であるよしとおの叔父の内面をよしとおが見透かしてそのことに黒彦が動揺しつつ関心するっていうのは、前回自分がした、黒彦がよしとおの言葉に心動かされる、という予想とあまり違わなかった。 ただ、その見透かす言葉に、いまいち説得力を感じられなかったかな。 あと、前も書いたと思うけど、時々出てくる不良っぽい言葉遣いが、よしとおのキャラクターに合ってないように思えて違和感がある。


  • 『妹先生 渚』 (16話)渚には付き合ってるような付き合ってないような相手である、原という夏みかん農園の跡取り息子がいるのだが、原に恋をする別の女性が出現しても相変わらず二人の仲は進まないのだった。 渚の恋愛編?突入。 32ページ。 渚と原のウブな会話や素振りが昔懐かしい漫画のテイストで逆に新鮮な感じがした。 原は夏みかん栽培を無農薬で作ることに挑戦していて、今回かみきり虫が大量発生してしまったわけだけれども、これで無農薬栽培を失敗して、横恋慕してる女性が別の案を出すか諦めさせようとして、渚が続けるのを応援するって展開と予想。

  • 『バレてるよ!ジャンボリーヌ』 (18話)色々あったが、結局突如現れた高収入のイケメンとひな子が結婚する事でひな子争奪レースは終了したのだった。

    ギャグ漫画では急に新キャラが出てきて全てかっ攫ってくような展開はわりとあると思うのだけど、ひな子争奪戦は特に盛り上がりもなくやっと終わったかという感じで、散々レース前に登場していた、気軽に結婚させなそうなひな子の怖い両親を出さずに終わったのも話を投げてる感じがした。


  • 『月の蛇』 (30話)宋国と梁山泊の戦いの直前に、宿元景は、策略によって討伐軍最高司令官の座から降ろされ、飛虎は、まだ立ち直れず矛の声も聞けないまま、戦いへの参加を拒否するのだった、という話。

    北風のような玲綺の励ましや誘いは飛虎の胸に届かずに太陽のような翠華の言葉が届くという構図は分かりやすかった。 しばらく出てこなかった青磁が出てきたり、飛虎が今まで戦った梁山泊の面々が総登場したりしたので、今月号でで戦いはこれからだエンドになるんじゃないかと一瞬焦ったけどまだ続くようだ。

    すっかり忘れてたけど飛虎って、梁山泊を倒すために翠華に雇われてたのだったな。 ここ数話の飛虎の行動原理が完全に黒い蛇矛を倒す事のみになっていたので忘れてた。 宿元景が司令官から外された展開も面白いし、決戦に向けて盛り上がってきて良い感じ。


  • 『第三世界の長井』 (26話)長井が落とした物を本人に返しに行った帽子の男は、出かける前に自分が読んでいた設定と同じような話を、長井から聞かされるのだった。

    前も出てきたけど、紙に設定の羅列が書いてあって、その通りに世界が進んでいるという事だな。 その設定には投稿者名のようなものが括弧内に書いてあるので、色んな人から意見を募って作られた世界が、この作中の世界という事になる。

    5W1Hゲームみたいな、いつ・どこで・だれが・なにをしたを個別に書かせてそれをランダムに組み合わせて話を作るっていうのを複雑にした感じ? 紙に書かれた設定は数字が飛び飛びになっているので、全ての意見が採用されてるわけではなく、前にこの紙が出てきた時にいた謎の集団が取捨選択をしているのだろう。

    帽子の男が、本人の発言通りに神だとすると、つまりこの「第三世界の長井」という作品の作者という意味での神なのかも。 今はその立場を降りて、世界の設定を読む傍観者なのだから、この作品の物語を作る事をやめて他人任せにしてるってことで、作者の出てくるメタフィクション漫画という事になるのか。

    ということは悪魔として出てきた、帽子の男を見つめる女は編集者? 仮に世界観が分かったとしても、この作品はそんなに面白くはならないけれども。


  • 『信長協奏曲』 (30話)帰蝶の世話係をしている敵方のくのいちのおゆきは、故郷へ帰り、上杉謙信に信長が狙撃された事などを報告の後、姉ともしばしの歓談をするのだが、その話しぶりからおゆきの姉は、妹が信長に好意を寄せていると気づくのだった。

    そういうそぶりがあるようには読めなかったので、おゆきが信長に好意を持つ展開になるとは思わなかったな。 この漫画は、無言だけど何か心に一物もってるっていう表情をよく描いていると思うのだけど、あれは企みの表情じゃなくて、普通に何らかのストレートな感情表現のつもりの事もあったのかなあ。 好きで見つめているとか。

    今回は、浅井家のエピソードもあって、長政に浅井家当主としての自覚や人間としての成長があるのを父親の久政や妻のお市とのやり取りを通して描かれていた。



今回も、「ゲッサンしてみる。」はツール・ド・本屋さんのみで、今回は書店巡りから脱線して、まんが甲子園というイベントのレポートをしていた。  相変わらず特にどうということもない漫画だったけど、島本和彦の話を元に描いたという、去年の小学館だったかの謝恩会1ページ漫画(ネーム)だけは、構成がしっかりしてるし落ちもちゃんとあって面白かった。

野球甲子園編はWEBに載っているとのことだけど、まだUPされてるのか分からないし全く見に行く気が起きないなあ。

今号の「編集部こぼれ話」に、ゲッサンは多くの若き才能にチャンスを与えることを使命としている漫画雑誌です、と書いてある。 それはゲッサンを購読してきた人なら誰でも分かっていることではあるんだけど、 新人に連載の場を与えて育てるのは良いが、その育つ前の未熟な作品を毎号お金を払って読まされている雑誌購読者に対する責任を編集側がいまいち感じてなさそうなのが引っかかる。

読者に対しては、以前、長い目で見守って欲しいとか言うことも書いていたとは思うけど、読者に対する編集者の責任は、面白い漫画を届けることであって、漫画家の成長過程を見守らせることではないはずだ。 新人の漫画が面白くないと言うことは、作者の未熟さももちろあるだろうが、それを面白くさせられなかったり、面白くないまま雑誌に載せてしまう編集にも問題があると思う。

たとえば、かんばまゆこの連載は、既に大したアイデアもなくただ引き伸ばしてるだけのような状態なのに連載を続けさせる必要があるのだろうか。 ベテランも、『いつか空から 』は休載したままだし、『妹先生 渚』は何度も休載したあげく隔月連載の状態だし、中堅のまねこいは当初の設定無視して陰惨な方向に突き進んでるし、編集の仕事が上手く行っていないのではないだろうか。


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別冊付録 ゲッサンルーキーズ

  • 『処刑人の精度』 母親を延命させるために作った借金の返済をするために、金を回収したり人を殺してきたものの、母の死を切っ掛けに目的を喪失した男と、その男に自首を進めるナースとの悲喜こもごもの話。

    自分が撃った拳銃の音が切っ掛けで病床の母親がショックを起こし、それが死に繋がったという設定を生かせてないのが勿体なかった。 あの日病室で撃った銃弾は、同じ病院にいた母親の心臓も打ち抜いていたも同じだという不条理をあっさり片付けて、自首しろ/しないという話に収斂させるのは、本当に勿体ないと思う。

    あと、母親のためとはいえ人殺しをした男に対してナースに「ある意味、不可抗力とはいえ」と言わせたのは人の死を安っぽくさせたと思う。 というか、全体的に話の作りが安っぽいし、前回の読み切りの『ドナー&レシピエント』もそうだったけど、設定が緩いと思う。


  • 『アルシエルの心臓』 貧血になっては学校で倒れている輪日郎は実は、代々悪霊退治をしている家系の人間だった、という話。  自分自身の事を名前で呼んだり、口調やリアクションが甘えるようだったり、主人公の青年がナルシストっぽくて読んでいて気持ちが良くはなかった。  主人公が、よしとおさま!に出てくるサビ丸みたいな女性的な所のある青年なので、この漫画家が女性だったとしてもおかしくはないなと思うし、女性読者受け狙いのキャラ造形なのかな。

    あと、悪霊の姿も、悪霊を退治する輪日郎の姿も可愛らし過ぎて、シリアスさの欠片もないから、悪霊退治が闘ってるという感じがしなかった。 絵は上手いけど表現があまり上手くないという感じ。


  • 『DIRTY CARNIVAL』 神の予言を覆すために天使を殺す2人組の悪魔の話。  大味なバトル漫画という感じ。 天使と悪魔って言う設定にしてるけど、どっちも粗暴なモンスターとしてしか描けてないし、神と悪魔という設定じゃなくても話として成立しているのでは。 前回の『ヴァラドラ』もだけど、絵は荒いけど少女漫画っぽいキャラデザと思う。

  • 『オバスケ・サマー』なぜか自分だけ女生徒の幽霊が見えてしまったことから、その幽霊と因縁のある同じバスケ部の先輩を倒すために、幽霊からバスケを教わる青年の話。  作者にある程度キャリアがあるせいか、この別冊で唯一気兼ね無く普通に読める作品だった。 そもそもプロではある意味当たり前のことではあるけど、読みやすかったし。 主人公と幽霊の女の子、そして先輩や脇役の他のバスケ部員が、出しゃばりすぎず上手く話に収められていたと思う。

    あえていえば、先輩に対する女の子の思いがあっさりし過ぎかなという気もするけど、恋愛物ではないし悪くはなかった。 できるなら、ゲッサンで即何か新作を連載して欲しい。

2013年3月9日土曜日

ゲッサン29号(2011年10月号)

  • 『時坂さんは僕と地球に厳しすぎる。』 (1話)一人暮らしをする高校生の宗也が毎朝出している分別ゴミが、何者かによって分別を混ぜ合わされ、ゴミ収集車に回収されないという事件がくり返されるようになり、犯人を見つけるべく宗也がゴミ置き場の側で待ち伏せすると、そこには最近転校して来て、いつも主人公に微笑みかけていた少女が現れたのだった、という話。

    この人の漫画は初めて読むかも。 幼なじみの女の子のいる少年の元へ宇宙から謎の少女がやってくる、というありがちなラブコメの始まりなのだけど、今後どうなるだろうか。 主人公にはまいち魅力を感じないものの、幼なじみと、ヒロインは可愛く描かれていてそれなりに魅力を感じたし、今後の展開を見守りたい。


  • 『QあんどA』 (29話)幽霊である庵堂兄の姿が、弟の学校の霊感の強い少女に見られて、会話をしたり、遊歩が自分の幼い頃の気持ちを思い出そうとして何か思い出せない事があったりする話。

    今回大きな筋みたいのはないけど、今後に向けての伏線みたいのが幾つか張られたネタ振りの回って感じ。 庵堂兄が寝ている時に見た昔の記憶の中に、弟の姿がなかったのが気になる。 喧嘩をして勝った記憶なのだけど、今までのパターンだと弟のために喧嘩をしていたのが、今回なぜ喧嘩したのか明示されてないなくて、これも伏線なんじゃないかと思ったりする。  案外、死んでいるのは実は庵堂弟の方だったりして。

    もしかして、最終回は遊歩の兄にも庵堂兄の姿が見えて、その体験を元に書いた小説が売れたりするのかなとか思った。


  • 『鉄楽レトラ』 (5話)前回登場して、鉄宇にフラメンコを教えてくれる事になったダンススタジオのオーナーの孫はフラメンコ部で、彼が女装していたのは、女性がメインのフラメンコの振り付けを考えているためだった。 で、そのフラメンコ部の3人と鉄宇が出会うという話。

    男の子同士の恋愛物の導入部を読まされてるかのような感じで、読んでいて困った。 このオーナーの孫が女装をしてた理由は説得力に無理があると思ったし、そもそものこの物語の始まりは、主人公の少年が少女と靴を交換して、女性物のフラメンコの靴をもらいそれをきっかけに、ある意味自分の殻を破るためにフラメンコをやってみようと思う、という話だけど、その最初の、もらった女性物の靴を自分で履いてフラメンコをしようと思う事自体にも無理があったし、今回の話の中でも、主人公が助けるのはオカマの人だし、作者は女装男子を描きたがっているのではないだろうか。

    現状だと鉄宇が最初に出会った少女と恋愛関係になりそうな展開はなさそうだし、最初に出会った少女が心は男だったという展開があっても全然おかしくないと思う。

    最終ページの煽り分に「スタートラインへ」と書いてあったから、このカルメン部や鉄宇の学校での友達2人が中心に話が動いていくのだろうけど、この作品に興味が持てなくなってきたな。 『まねこい』の話の軸が主人公と猫太郎から歴史研究会へ移った時と同じくらい興味が持てない。

    あと、鉄宇の友達の市川が倶楽部の女生徒と揉める描写が出てくるのだけど、どういう理由で関係が悪くなってるのか分かってる事前提で、説明を略して描かれているので、忘れてる自分的には思い出せなくて困った。 まあ分からなくても読めるけど、月刊誌連載で、続きを読む期間が開くわけだし、もうちょっと説明台詞とかあった方が自分的にはありがたかったかも。


  • 『ちろり』 (4話)海岸で花火があるので、お客がたくさん来てちろりのいる喫茶店が忙しい、という話。  海の絵が上手く描けてなくて全く海にも美しくも見えないのは気になったけど、今回は花火に沸く人々の喧噪や、ガラスコップに入った水の冷たそうな感じとか、うまく絵に出ていて良かったと思う。 作品の出来も、読み切りも含めて今までで一番良かったのではないだろうか。 ちろりの顔のアップも今回はどれも可愛かった。

  • 『ハレルヤオーバードライブ!』(29話)ゲリラライブに参加した若葉は、曲の構成変更にとまどいつつも、小雨達のフォローによって何とか挫けず、失踪していた楓も途中参戦しライブは無事終了したのだった、という話。  若葉が加入してバンドが完成したって事を示すためにやたらライブを見てる生徒や冬夜にバンドを褒めさせていたけど、褒めすぎな気がしたな。 若葉が立ち直る描写は悪くなかった。

    ただ、作品タイトルが、見開きの決めシーンで出るというパターンは何度もやっているので、扉や最初のページに話数とタイトルが無かった時点でまたかって思った。 ライブに浅緋が見に来ていたが、バンドにハルを誘うという展開は予想通り。


  • 『Waltz』 (24我)全ての黒幕であるコンビニの店長と岩西が話し合った結果、協力して帽子卿を殺すことになった、という話。  大詰めな展開であるけれども、ページのほとんどを快楽殺人者であるコンビニの店長が、今までの殺し依頼の種明かしに使ったせいか読んでいて盛り上がらなかったなあ。 本物の首折り男が生きてたって事以外面白みを感じられなかった。 あと、蝉が岩西に色々言われて顔を赤らめるというのが相変わらず読んでいて苦手だ。 今回の話はいまいちだったけど、こういうBL要素を入れなくても読ませる漫画になるだろうに。

  • 『アサギロ』 (29話)間者となって試衛館へ潜り込めと伊東にそそのかされた藤堂は、試合で源さんに完敗した後、近藤に試衛館の食客として入る事を許されるのだった、という話。

    藤堂を源さんと戦わせることで、試衛館では弱い部類の源さんでさえ、剣術を剣道の試合程度に思っているだろう藤堂よりも遙かに強い事を示しつつ、藤堂に裏があることを見透かしておきながら試衛館入りを受け入れる事で近藤のただ者じゃ無さを示しつつ、見透かされていると気づく程度には藤堂が愚か者じゃない事も示しつつ、藤堂に裏があることを気づかせたり、源さんは弱いけれども、努力をしてることを語らせることで、山南が源さんを弱いと軽んじてるだけではないことも示す、という、登場人物達を引き立てる連鎖が素晴らしい。 この作者は人物同士の関係を描くことによって人物の魅力を引き立てるのが上手いなあ。 剣の重さというキーワードで試衛館の剣術を語らせたりするのも小気味良かった。 ゲッサンで今一番面白い漫画が『アサギロ』だと思う。というか、『アサギロ』以外の連載作品がいまいちすぎる。


  • 『よしとおさま!』 (29話)犬飼グループのパーティーで、よしとおが父親と顔を合わせる寸前に刺客が現れ、よしとおは連れ去られてしまうのだった、という話。  よしとおは簡単に誘拐され過ぎだし、最後のページのコマで、サビ丸と綿貫が格好を付けた決め台詞を言うのだけど、守るべきよしとおが既に誘拐されてるからただのまぬけに見えてしまった。 よしとおを連れ去った黒彦は、よしとおの言葉に心動かされる展開がありそうな気がする。

  • 『アオイホノオ』 (41話)矢野健太郎にSFヒーローパロディギャグ漫画を先に雑誌に描かれたホノオは、その作品を読んでさらにショックを受けるのだった、という話。 ホノオが自分で描きたかった漫画を、現実にある作品を例にしつつ解説する、という展開が長々続くわけだけど、引用された作品のその部分もホノオの話もピンとこなかったなあ。 ホノオがメインの展開の場合、ホノオの語る漫画話よりも大学生活の悲喜こもごもを読む方が自分にとっては面白いのだと思う。 

  • 『ここが噂のエル・パラシオ』 (29話)桜花とアズミの試合は、忠輔の怪我に気を取られたりアズミへの気持ちが空回りした桜花がフォール負けして決着するのだった、という話。

    アズミがエル・パラシオを去った理由には色々因縁があるのかと思いきや、より沢山の観客を求めてというわりと普通の理由のようだった。 だから、なぜ桜花はアズミと今まで戦おうとしなかったのかが、ただの感情的なわだかまりでしかないって感じで少し肩透かし。

    あまりにもあっさり負けすぎたので、桜花が反省しさらに強くなってアズミと再戦的な展開になるのだろうか。 試合後に乱闘があるのかな。 ドラマ化もされるし簡単には連載が終わらないのだろうけど、話の山場が山場に見えないっていうか盛り上がり所がないのだよなあ。


  • 『FULL SWING』 (17話)高校野球の県大会決勝で落球してしまい、それで甲子園を逃した事を切っ掛けに転校し野球をやめた少年が、先輩が自分を許していることを知って、たま野球を始める、という話。

    この話は、トラウマを抱えた少年を、野球部の女子マネージャーが必死に励ましたり説得したり、自分のトラウマを話したりして野球をまた始めさせるような話運びをしているわけだけど、結局この女の子の説得では野球を再開することはなくて、前の高校の先輩達に会って話をすることで野球をまた始める、という、この女の子がいてもいなくても同じような扱いなのをどう解釈すべきなのだろうか。

    パターンをわざと外して、簡単に人を説得なんて実際できないよね、というある種の物語のパターンの変化球やリアリティとして受け取るべきか、女の子を生かし切れなかったと受けとるべきなのかよく分からない。 どちらにしろ、話をただ絵に書き起こしただけのような感じがして、登場人物達が生きてる印象が薄かったな。 原作を規定ページ内にまとめるのが難しかったのかな。 主人公に対して、先輩やOBからの中傷やプレッシャーの描写がもう少しあった方がトラウマの強さが出たかも知れない。


  • 『まねこい』 (57~58話)沖田が椛の軟派な彼氏にキスされてショックを受ける話と、沖田が荒場木にキスしたり、ホンチーがハルの親友の薗田に自分の歌を聴いてもらって、歌が下手だと教えてもらう、という話。

    またシリアスな方向に舵を切ったな。 ハルの友達をホンチーに音痴と伝えさせる場面で出してきたのは意外だったけど、展開としては面白かった。 あと、沖田が荒場木とキスしたのは、望まない形でのファーストキスの口直しと思うけど、このまま沖田と荒場木が付き合う展開になるのかな。

    それにしても、ハルがわざと風邪を引いて、それをさらにホンチーに感染させてカラオケ大会へ出場するのを止めるという作戦は、真面目なホンチーに対する態度としても、話の展開としてもひどいと思ってたけど、脇役を色々動かすために、主人公を作中出さないようにする必要があったのだろうな。 でも恋愛描写がシリアス展開になっているのにハルの作戦だけが初期のような漫画チックで、リアリティのバランスがおかしいと思う。


  • 『リンドバーグ』 (29話)シャークとマティアスの決闘が始まったが、その前にシャークはニットに遺言のような言葉を残し、親友の形見である短剣を渡すのだった、という話。

    決闘が始まる前までは凄く面白かったけど、リンドバーグに乗って剣で斬り合う決闘は大味なアクションになりそうだ。 あと、ニットが急に自分のせいで決闘するはめになって見たいな事を言い出して違和感があった。 それは、ここ数話はずっとシャークとエスペランサ達との因縁を延々描いてきたし、シャークはエスペランサの部下を何人も殺しているから、決闘もニット関係なくありうると思えたのと、シャーク達が王都へ行く目的の一つにニットの父親探しもあったっぽい事を忘れていたからだった。 いやでも、やっぱり、黒薔薇七銃士隊を何人も殺してるのを見てるニットがここで急に自分のせいで云々とシャークに言い出したのは無理があると思う。

    あらすじで、遺言のような言葉を残す、と書いたけれども、シャークの台詞はこれを切っ掛けに死ぬか、空賊団から抜けるのではないかという描き方だと思えた。 あと、王都にいる、リンドバーグを改造しているマスクの男は、ニットの父親ではなくシャークの親友で死んだはずのアルベルトかも知れない。 あれ、マスクの男って名前出てたっけかな。


  • 『バレてるよ!ジャンボリーヌ』 (17話)中嶋達と言葉をしゃべる羊達との戦い。  羊を使って色んなギャグをやっているけど、いまいち弾けてない印象。 主人公である城ノ内と中嶋に魅力が全くないので読み進めるのもしんどい感じ。

  • 『マコトの王者』 (29話)入れ替わっていた二人の中身が元に戻り、試合も大地マコトの勝利で決着がついた、という話。  若い大地の体から自分の体に戻った天童が、自分の肉体の老いを感じ、この体で今まで戦っていた大地を王者に相応しいと認めたり、ボロボロの体でも、自分を応援する声援の力によって、支えられ立ち上がる事が出来ることを学ぶ描写が良かった。 目を大きく描くのが、は虫類っぽく見えて苦手なのだけど、話はそれなりに面白かった。 次回辺りで最終回なのかな。

  • 『ぼくらのカプトン SEASON 2』 (1~3話)主人公でサッカー部主将の柴田や3年生が、部を引退して新シリーズに。 3年生がいなくなったサッカー部の、いつもと特に変わらない悲喜こもごもな話。  相変わらず部員同士でくだらない雑談や妄想をしてるけど、その雑談が読んでいて引っかかりが弱くて中途半端なのも相変わらず。

    主人公が次期主将の谷口に交代したっていうか、次から前以上に群像劇になるのだと思うけど、前の主人公ですら印象の薄いキャラだったのに、それが作品のレギュラーではなくなてしまったら、残りはさらに魅力のないキャラクターばかりなので大丈夫なのだろうか。


  • 『第三世界の長井』 (26話)磔られ裸にされた長井の股間が光ったのに気を取られたラーメン星人は、うっかり丼を落として割った事で戦意を失い去って行き、裸の長井もまた去っていったのだった、という話。  世界の歪みというものは、重力などの理を無効化するだけでなく、超常現象を普通の事のように思えてくるように、人間の持つ常識も失わせる力があるようだ。

  • 『ココロ、デッサン』 (1話) 4話完結の短期集中連載。 冒頭でいきなり男の子に告白されたのを断った女の子が好きなのは、クラスメイトのロボット高校生だった、という話。 32ページ。

    女の子とロボット高校生は相思相愛なのを伝えてないしお互い気づいてないしで、ハッキリと意思表示しあったりはしないのだけれども、それにしても、2人の恋愛の描き方があっさりし過ぎというか、特にロボット高校生の方は、顔がフリクリに出てくるカンチとガンダムのザクを合体させたような顔で、人型の顔ではないし表情を記号的に付けるために顔をデフォルメさせることもないから、その場その場でどういう感情なのかっていうのが分かりづらくて余計にあっさりして見えるし、一応恋愛感情が高まると煙を出すというギミックもあるけど、説明台詞がなければ本当にただ故障してるように見える。 嫉妬を露骨に顔に出す振られた男の子との対比もあるのかも知れないけど、もうちょっとロボット高校生の表情や行動で感情を示した方が分かりやすかったろうし、腑に落ちたと思った。

    今まで瀬戸ミクモはコメディっぽい短編を描いていたので、今回はシュールな方向で行くのかと思ったら普通の恋愛物だったな。 しかしこの話は続くのか次は別の1話完結の話が展開されるのかどっちだろう。 


  • 『BULLET ARMORS』 (16話)ベイカー連合が騒動の制圧に来る中、イオンはカルトの口からデスレギオンの事や、自分の父親の生存を知るのだった、という話。  敵が父親の事を知っていた、というのは敵と父親の関係を気にさせ盛り上がる展開。 かつてカルトと一緒に行動していたセレナもイオンの父親のことを知ってる可能性があるわけで、この辺をどう調理するのか楽しみ。

    それにしても、イオンにセレナをつれて逃げろと言われたエイブロックは簡単にベイカーに捕まり過ぎ。 あと、相変わらずどこから見たアングルなのか分かりづらいシーンがあって、地上も空も書き込みがほとんどなく背景が白いのが、空間の分かりづらさを増加させてるし、上空に現れた、カルトの仲間のブランチェットが地上のベイカー軍団にレーザー攻撃を仕掛ける画が、ブランチェットの目線も、レーザーを発するトレマの銃口?も地上を向いてなくてむしろ正面に攻撃してるように見えたり、パッと見分かりづらいなぁと思った。 イオンの手からバレットが外れる描写も分かりづらかったし。 画もノって描いてる感じだし、話も勢いよく進むから、分かりづらいシーンがあるとそこで読むスピードも止まってしまいもったいない。

    それと、デスレギオンからもベイカーからも追われることになるぞ、というカルトの台詞が、セレナと行動を共にするリスクとしての重要なキーワードのように最後にもくり返されていたけど、イオンは顔を知られてないだけで既にベイカー達から追われているわけだから、セレナを助けて顔バレしても、今後の行動にそれほど変化はないのではないだろうか。 ベイカーに顔バレする事で目的達成がさらに困難なものになるぞ的な話なら分かるけど、カルトはイオンの目的を知らないし、要するに、カルトのこの台詞はイオンを迷わせる言葉としてちょっとピントがずれていると思う。

    ところで、物質を分解してすり抜ける能力を使うキャラクターが、時坂さんと、この作品のオメガと、違う連載作品で同じ号に同時に出てきたのはちょっと面白かった。 でも、担当してる編集が同じ人で、同時期に同じようなアイデアを作者に提供してただけだったりして


  • 『月の蛇』 (29話)玲綺が飛虎にくっついて離れない事に翠華がやきもきする一方で、戦いに迷いのある飛虎の前に現れた王進は、お前にはまだ蛇矛の声が聞こえていないと諭すのだった。  有能な武人である王進を追い出した人間が姿を現したり、梁山泊との戦いに向けて色んな思惑が噴出しているのが良い感じ。 飛虎の三角関係には翠華の下につきつつ慕っている青磁を絡ませたらもっと面白くなりそうだけど、ややっこしくなりそうだし出さないか。 玲綺と王進は戦争で死にそうな気がする。

  • 『イボンヌと遊ぼう』 (30話)イボンヌが去り、はじめの絵が上達した意外は普通の日常がくり返されていた神保高校にマコ姉が現れ、はじめに宇宙へ行ってイボンヌを励まして欲しいとお願いするのだった、という話。

    はじめとイボンヌは宇宙で再会したので、大学で再会という予想は外れたな。 イボンヌが宇宙へ行っていたのは意外だったけど、話がイボンヌとはじめの恋愛めいた収束をしそうな感じなのがもっと意外だった。 いや、イボンヌが唯一話を出来る相手がはじめなのだから、そういう展開には十分なりえたわけだけれども、その辺の恋愛要素を曖昧にしたまま仲間同士で楽しく過ごすようなエピソードばっかりだったので、少し戸惑ってしまった。 これだと、はじめがイボンヌと地球へ戻って来た時に子供が出来てるくらいまで行ってしまうかも。 というわけで、次回最終回になりそう。


  • 『信長協奏曲』 (29話)信長に扮するサブローは岐阜へ戻り、裏切った浅井の処遇をどうするかみんなで話し合ったり、鉄砲で空いた羽織の穴をおゆきに直してもらったり、帰蝶とデートしたり、を相変わらずの奔放さでしていた。 それを間近で見ていた、敵のくのいちであるおゆきは、何かを胸に秘め、帰蝶に、里へ一時帰ることを願い出るのだった、という話。  蘭丸が生真面目で理屈っぽい性格として出てきた。 子供達が呑気に饅頭を食べたり、子供同士でからかいあったりしてるのが読んでいて小気味良い。 ふと思ったけど、最終回は夢落ちだけはやめて欲しい。


今月は『妹先生 渚』は休載。 先月号の、『妹先生 渚』の最後のページ下には10月号 9月12日(月)発売につづく、と書いてあったし、瀬戸ミクモの短期連載は元々は代原だったのかな?という気がしなくもないけど、新人の短期連載枠が今月から出来たし、ちょっと違うか。

ちなみに、巻末の見開きの次号予告には、5月号から『妹先生、渚』のタイトルは載らなくなっているようだ。 4月、5月号の2連続休載が響いているのかも知れない。 まあ、6月号からは隔月掲載なので、実質隔月連載扱いになっているかも知れないけど。

あと、今更だけど作者の村枝賢一って、月刊少年マガジンでも連載持っているのだな。 もし休載の多さが仕事の掛け持ち等のせいだとしたら、作者や編集部に対して擁護できないなあ。 毎月掲載出来ないなら連載するべきじゃないと思うから。 前にも似たような事書いたと思うけれども、毎月連載が必ず載っているというのは、雑誌の最低限のあって当然の重要な要素だと思うし、そういう必ず掲載されているという安心感が購買意欲を支えてる要素の一つだとも思うから。

雑誌が売れなくなって久しいし、小学館の雑誌の売り上げ低下はかなり急激に進んでいるわけだし、そんな状況で不定期掲載を許すというのは、しかも少年漫画の復興を創刊に掲げた雑誌がこれでは駄目だと思う。 ゲッサンは簡単に打ち切りしてないと思うし、連載漫画を簡単に切らずに一定の期間連載させ続ける事自体は新人の成長のためにも悪いことではないとは思うけど、雑誌購読派の読者としては、頻繁な休載に付きあわされ続けるのはつらい。

「ゲッサンしてみる。」はツール・ド・本屋さんのみ。 素朴な書店員との交流をしつつPOPを置いてもらうノルマを着実にこなしたものの、回る書店数を、88軒から108軒に急遽追加で、書店巡りは延長。 何度も書いているけど、読者コーナーを潰してやるべき企画なのだろうか。 不定期連載や長期休載を容認したり、読者コーナーを潰したり、ゲッサンは漫画家には優しいけど雑誌読者の方を向いて作ってないのではないか。

ゲッサンって真っ当なラブコメが少ないかも。 一応は『QあんどA』と『まねこい』がそうなのかな。 でも、『QあんどA』はラブコメってよりも兄弟物のコメディであだち節って感じで、『まねこい』は最初はラブコメだったけど、今はラブはあってもコメディがないと思う。 『アオイホノオ』もトンコさんとの関係は恋愛要素あるけど、話の主軸に来ることはないし、『FULL SWING』も恋愛話もあるけど、登場人物の成長の一要素として出てくるって感じな上に、作品自体が習作を読まされてる感が強いし。 新連載の『時坂さん』はラブコメっぽいからやっと1つ増えたかという感じだ。

少年漫画で恋愛は重要な要素ではないといえばそれまでだけど、男女の恋愛要素が全然ない作品だらけなのに、女性漫画家連載陣が、作中にボーイズラブ要素を出すから、少年誌として読んだゲッサンの読後の違和感が余計にあるのかも。

なんだか全体的に感想が長くなってしまった。 もうちょっとまとめないと駄目だなと反省した。

ゲッサン28号(2011年09月号)

  • 『よしとおさま!』 (28話)父親が会長をしている犬飼グループの次期会長指名を受けるために、よしとおが犬飼家のパーティーに出席させられる、という話。  有力者達の前で犬飼グループの跡継ぎを発表すれば、よしとお暗殺を狙っている勢力も手出しが出来なくなるだろう、という理由が弱いし、事実この機会を狙われる展開なわけだけど、シリアス要素多めだし、いつものようなドタバタのくり返しよりはましな展開かなあ。

  • 『鉄楽レトラ』 (4話)鉄宇がダンススタジオで会ったスタジオの持ち主の孫に、ダンスを教わることになる話。  今回の話は可も不可もなくって感じだった。 その孫が一見女の子に見えるし女性の制服を着ているんだけども、男の子である可能性があるのがなんだかなぁという感じ。

    この孫は双子で、落ちていた男子の生徒手帳はそっくりな双子の別人という可能性がなくもないけども、色んな少年誌青年誌に女性漫画家が増えたり、女性読者受け狙いの作品が増えててるだけに、今女性漫画家が少年誌で女装した男子を描くのには、少年誌という枠としてなんだか抵抗がある。

    あと、耳の描き方にクセがあるのがやっぱり気になるなあ。 り妙にとがっているし、両手をゆるく合わせた図のように見える。 今回は26ページ。


  • 『QあんどA』 (28話)幽霊である庵堂兄が、遊歩の兄の恋愛に協力しようとしたり、遊歩が兄の恋愛にやきもきする話。  兄が好きになった女性と一緒に暮らす男が、その女性の兄弟だという事に遊歩がすぐ気づかないのは、天然としても無理があると思えた。 ただ、自分が海で溺れたのを助けたのが庵堂弟だと思い違いしてた事もあるから、勘違いするのは一貫した性格ともいえるのかな? あと、アシスタントの描いたであろう91ページ下の風景や鎖の絵のタッチがあだちっぽくなくて違和感があった。

  • 『waltz』 (23話)、岩西に殺人依頼をしたコンビニの店長は、若い頃からの異常な犯罪者であり、帽子卿は、その店長に影響を受けた模倣犯だった、という話。  コンビニの店長の正体が分かった回だった。 自分の模倣殺人をくり返す帽子卿がヘマをして首折り男に目を付けられ、その首折り男と帽子卿が争ってる時に、首折り男に自分の顔を見られてしまった事から、コンビニ店長は岩西に首折り男の殺害を依頼するわけだけど、快楽殺人者にも色んな種類の人間があるという事を示しつつ、以前もあった、人殺しと殺し屋の違いという話しをさらに踏み込んで、殺し屋は依頼者の言うことを聞くだけのロボットなのか、という事を描こうとしてるように思えた。 殺し屋にも色んな種類がいるってだけかも知れないけども。

  • 『ぼくらのカプトン』 (52~54話(最終話?))インターハイの準々決勝の最後のPK戦で、主将の柴田が外して敗退する、という話。  感傷的な描き方をしていたけど特に響くような無いようでは無かった。 PKを雑念のせいで外すとか笑えないし、感動もしないし。 そもそもこの作者は微妙な心の機微を表現するのが上手くないと思う。  第一部完みたいな感じだったけど、新章として続くらしい。 でも、この設定でこれ以上話の広げようがないんじゃないだろうか。

  • 『BULLET ARMORS』 (15話)イオンが無意識に使った、オーバーライドというトレマの能力を一時的に進化させる力で、カルトとの戦いは一気にイオンの有利になったが、そこにカルトの仲間が現れたのだった、という話。  敵の味方が現れて優勢と思われたイオンが一気にピンチにになるのは面白かった。 これでワンピースを思い出させるギミックがなければ良いのに。 この作者は漫画しか参照すべき物をもっていないのだろうか。

  • 『ハレルヤオーバードライブ!』 (28話)ゲリラライブ直前に、ギターの楓が行方をくらまして、代打で若葉が参加することになる、という話。  楓が来なくなって若葉が代役をやるとい予想は当たったけど、若葉にギターをやらせるために意図的に楓がいなくなってるっぽいのが予想外だった。

    楓のような、何か隠された意図があって行動している登場人物は、話を面白くするので嫌いではないけど、今回の楓の行動は、展開としてそんなに盛り上がらなかったなあ。 今続いてるエピソードは、若葉の姉からの自立やコンプレックスからの解放的な話なのだけれども、若葉は周りにお膳立てされて行動してばかりなので、あまり自分の意志で行動してる感じがしないのが気になる。


  • 『FULL SWING』 (16話)工場で働く仲良し3人娘の1人であるイチの家は実はお金持ちで、自分と違い、恵まれた環境にいた事を知ったそらは、騙されたような気持ちになってイチと仲違いしたのだが、イチが家出した理由を知った事で、ヒロ子と一緒に手助けしようとする、という話。

    登場人物達が物わかりが良すぎて、あっさり全てが上手く収まってしまい物足りなかった。 この漫画を古く感じるのは、話の設定だけではなくて、実家からの電話に「ゲッ」って書き文字を入れてみたり、話を盗み聞きするのを植物に隠れてだったり、よくありがちで使い古された表現をしているからでもあるのだけど、漫画の原作というのははどの辺まで細かく書かれているのだろうか。 相変わらず「てめぇ」って言葉遣いに違和感を感じる。

    あと、イチの実家が、家というより小学校や博物館などの公共施設にしか見えなかったな。 それは、生活感が感じられない建物だったっていう事でもあるんだけれども、そらやヒロが座っていた庭かどこかの野外スペースも、家の庭ってよりは校舎裏に丸いテーブルやイスを持ってきてるだけに見えた。 それから、登場人物達の服装ももう少し気を遣って描いて欲しいかも。


  • 『ここが噂のエル・パラシオ』 (28話)桜花とアズミの試合当日に忠輔は、試合の不穏さを感じ取ったアズミの所属団体の人間から、無効試合の筋書きを提案されるのだった。

    ここに来て急に試合の裏側であるプロレスのブックの話とかが出てきた。 今まで作中では、プロレスのリングの設置や後片付けなどの裏話は描かれた事があったけど、試合運びの決め事などの裏側は描かれてなかったので、いきなりな感じがした。 ドラマ化されたということで、そのドラマの内容との関連とかあるのだろうか。


  • 『マコトの王者』 (28話)人の絆を邪魔なものとして排除してきた天堂と、家族や仲間の絆によって強くなった大地は、お互いの価値観を賭けた乱打戦にもつれ込むのだった、という話。  2人の中身が入れ替わったことで、家族の絆とか、学ぶことが多かったのは天堂の方だよなあと思う。 だから、やはりこの作品は天堂が主人公になってしまったのもやむを得ないのかなという感じ。

  • 『信長協奏曲』 (28話)サブロー扮する信長一行が敵に寝返った近江を避け、伊勢・終わりを経由して岐阜へ帰る、という話。  岐路の途中でサブローは何者かに狙撃されたけど、部下のリアクションの描き方から見ると犯人は本当の信長である明智なのかな? この作品のこういう悪意や心理の描き方が好きだな。

  • 『ひとかどのまちかど』 (読切)高校生の女の子が、勇気を出して異星人の集まる喫茶店へバイトの面接へ行くと、そこはクラスメイトの男の子も働いていて、一緒にアルバイトをして過ごすことでその男の子の事が気になり出す、という話。 『とある飛空士への追憶』の作画を担当した小川麻衣子の短編。

    主人公の女の子は早とちりしたり色々考えたりはするのだけど、全てがこ女の子の望むように話が進んでいて、何かを乗り越えて成長したって感じがしないなあ。 男の子が物わかり良すぎるから、主人公と全く対立しないし、主人公が困る方向へは話が一切進まない。 そこが読んでいて引っかかったかな。 あと、この女の子の台詞や、モノローグの言葉やリアクションが多すぎて少し煩わしいと思った。 話自体はまとまっていたと思うけど詰め込みすぎだったかも。


  • 『アオイホノオ』 (40話)ホノオが編集者に嘘を付いたことがきっかけで、自分独自の女性キャラを作ろうともがいていた一方、矢野健太郎はホノオが描こうと思っていたジャンルをあっさり雑誌で発表し始めるのだった、という話。  この作品は、ホノオ達が実在の漫画家の名前を叫んで理不尽な文句を言うってパターンが延々くり返されているわけだけれども、それがどんどん薄味で無理に叫ばせてるような印象になっている。 ホノオがメインになると、主人公を丁寧に描くつもりなのか、話が引き伸ばされた感じになるなあ。

  • 『まねこい』 (55、46話)ホンチーが音痴なのを本人に言う勇気がないので、ハルが自分でわざと風邪を引き、それを移すことで、ホンチーのカラオケ大会出場を阻止しようとする話と、歴史研究会の営む喫茶店へやってきたカップルの女の子の椛が楓と双子なのが発覚して、椛の事が好きだった荒場木や、カップルの男の方にナンパされた沖田達の間で今後波乱がありそうな話。

    脇役の話を広げようとしてるし、歴史研究会を中心に話を進めるようにした時点で群像劇にしたかったのだろうなと今更思った。 でも、登場人物達の誰にも興味が持てない。 前はもっと主人公のハルに興味が持ててたのかさえ記憶にない。 

    荒場木の恋愛話は苦い過去がありそうな分ハルとホンチー、奈波の三角関係よりは面白みがありそうだけど、荒場木自体魅力があるキャラクターなわけでもないので面白く感じられるのかどうか。 ってかカップルの男の方と荒場木は顔の傾向が似てるから、椛は似たタイプが好きって事なんだな。 椛に喫茶店のチラシを渡した山崎は、椛を見て何かに気づいてたけど、これは単に楓に似てるって思っただけかな。


  • 『バレてるよ!ジャンボリーヌ』 (16話)城之内の妹争奪戦の続き。 他の参加者と別行動を取った中嶋は、手を舐めることで嘘を見破る生き物の質問に答えさせられるのだった、という話。  台詞で笑わそうとしいてるけど、絵が笑いに貢献出来てない事が多いと思う。 それにしても、風雲たけし城をつまらなくしたような展開が長すぎる。

  • 『アサギロ』 (28話)次こそ沖田に勝つべく試衛館に通い稽古を続けた永倉は、いつの間にか道場に馴染みだし、盟友の宇八と袂を分かつことになった。 一方同じく道場へ来ては沖田に再戦を拒否されあしらわれている、北辰一刀流伊東道場の藤堂平助は、藤堂を疎ましく思う伊東大蔵から、厄介払いに間者として試衛館へ潜入せよとの命を受けるのだった。  藤堂と藤堂を軽んじる伊東夫妻の関係の描き方とか好きだなあ。

  • 『サボテンの花』 (読切)瀬戸ミクモの短編。 思いを寄せていた学校の教師が結婚したのを知った内気そうな女の子が、先生へサボテンを送る、という話。 

    本当にそのまんまの話で、サボテンを送るってのは一種の告白なんだけど、話が落ちてないっていうか、淡い恋心の話だから主人公はそんなはっきりと先生との恋愛を意識してないだろうけど、それでもその少女が先生に対する思いをを諦めたかどうかみたいな、先生の結婚に対してどうしたいかという意志がサボテンを送る以外に描かれないと話として収まりようがないのではないだろうか。 主人公のキャラも含めて全部が曖昧すぎるように思えた。 そもそも主人公が内気ってことしか分からないし。 サボテンを送った後の女の子の表情が見れた方が良かったかも。

    あと、学校の先生がサボテンの花言葉を言うシーンがあるなら、花屋の店員が花言葉を教えるシーンは重複するしいらないのではないだろうか。  なんていうか、主人公がただの脇役になっている作品だった。


  • 『妹先生 渚』 (12話)クラスになじめていない光路郎の息子が、助けたスズメと渚に影響を受けつついじめを乗り越える話。 32ページ。  スズメを擬人化して小さい妖精のように描いていたので、少し戸惑ってしまった。 少し検索したら、前作の『光路郎』にもそういう表現があるとの事。 最終的に光路郎の息子がいじめっ子達を助けて仲直りって展開で、よくある話ではあるけど、渚を脇に回して光路郎の子供二人を中心にした方が、漫画として面白くなりそうと思った。

  • 『ちろり』 (3話) 夏になり、薄物を着て店に出ることになったちろりが、自分が薄物を着ていることに戸惑いながら給仕をする、という話。

    ちろりやマダムを中心として、表情の変化を逐次丁寧に描いてるのは分かるし、ちろりを魅力的に描こうとしていることは、薄物を着ているマダムや、自分が着ることになる薄物を見ている時のリアクションの描き方で分かるのだけど、でもやはり、日常のささいな出来事や物の描写が大味というか、細部を丹念に見る事で何かを発見するような魅力のある書き込みではないのだよな。 たとえばマダムの首筋や胸元のアップを描いたコマとか。 人物にも着物にも、あっさり描いた以上のものを感じられないのが描写としてもったいない。 ちろりの表情のめまぐるしい変化も、ちろりを繊細に見せているというよりは、リミテッドアニメのドタバタした感じに近いように思える。

    着物なり、アンティークな家具なりの描写に執着が感じられないと、こういう懐古調の雰囲気を楽しむ作品は面白みが出ないように思う。 ちろりやマダムを曲線的に描こうという執着心はあるようだけども。

    あと、今回は最大の問題点があって、それは、今後も出てきそうな資産家?の青年が、ちろりを見初めるという描写があるのだけれども、ちろりがマダムとやり取りをしつつ薄物に一喜一憂した時の絵と比べて、その時のちろりが可愛らしく見えない、とう事だ。 特にテーブルに水を出す姿や恥じらうちろりの顔のアップには、青年に恋心を抱かせるような魅力には乏しいように思えた。

    マダムとちろりの女同士のやり取りを楽しそうに描いて、ボーイミーツガールをいまいちノって描けてないような感じは、作者の資質なのか今回たまたまかは知らないけど、今後変わってくるのだろうか。


  • 『リンドバーグ』 (28話)エスペランサの愛人であるマティアスが、シャークに決闘を申し込む、という話。  ありがちな登場人物のリアクションや展開だったけど、話がシンプルで分かりやすく面白くはあった。 特にロズリンの言葉遣いや海賊とのやり取りなど。 それにしても面白い回はやはりニットが空気だなあ。

  • 『第三世界の長井』 (25話)ラーメン丼を持った女と長井の戦いの続き。 7ページ。

    帽子の男が色々独白していたが、この男の役目は、因果律の崩壊によって現れた超常現象を, 世間の目から隠す事らしい。 人間も大量に殺しているとのことだが、21話で帽子の男は自分を神と名乗っているので、神的な立場として、寿命を終わらせるように殺していたということだろうか。 その神というのが比喩なのかよく分からないけれども、1話から読み返すと何か分かるかも知れないが面倒過ぎるのでしない。

    帽子の男は神的な形而上の立場を降りた事で、形而下での、その後興味本位で観察していた長井の物語に巻き込まれている、というのが、帽子の男を中心にした場合のこの作品の大まかな筋だと思うけど、長井が新しい神になって終わりみたいになりそうな気がする。

    あと、24話の感想で、長井の手足に麺が刺さるのが残酷と描いたけれども、22話で博士が長井に、ラーメン星人との戦闘で手足の一本は覚悟しろと、伏線的に語っていたのだな。気になることがあってゲッサンを読み返して気づいたのだった。


  • 『月の蛇』 (28話)禁軍・節度使と、梁山泊が全面的に戦う事になった一方で、飛虎は、林冲に負けた時のショックで戦意喪失していた。 そんな飛虎の前に昔の知り合いである玲綺が現れ、同時に、飛虎の師匠である王進も東京に潜んでいたのが発覚するのだった、という話。  飛虎がさらに強くなり復活するための下準備と、翠華と飛虎の関係を進めるための女性キャラの投入といった感じの回。

  • 『イボンヌと遊ぼう!』 (29話)イボンヌが何かを胸に秘めたままはじめを夜の散歩に誘う話。  普通に考えてイボンヌが教師を辞めるか転任するのだろうけど、前に予想した通り、最終回は大学で再会しそうな気がする。

  • 『エースの秘密』 (読切)超能力を使った変化球で試合に勝ち続けていた野球部のエースが、幼なじみのマネージャーを助けるために超能力を使いすぎて試合で使えなくなってしまう、という話。

    『信長協奏曲』の作者の読み切りで、主人公のピッチャーが飄々としていて図々しい所など、『信長協奏曲』のサブローに近いものがあった。 前に読んだ吸血鬼の短編に比べたら遙かに面白いけど、主人公よりもマネージャーや、その友人の女の子の方が目立って印象に残ったのと、マネージャーが一応ヒロインであるはずなのに、いまいち可愛く見えないのが気になった。

    あと、マネージャーが道路で転んでトラックに轢かれかけるのだけど、歩道を歩いていたはずなのに横断防止策(防護柵)?を挟んだ向こうの道路で転んだのなら歩道から柵をまたぐなりして道路を横切ろうとするコマが必要なわけで、そういうコマがないから急に道路にワープして転んだ感じになってて不自然だった。

    こういう現代物の画を見ると、小山ゆうよりも伊藤潤二に似てるなと思った。



「ゲッサンしてみる。」はツール・ド・本屋さん。 この企画は「ゲッサンしてみる。」とは別に連載でやればいいのにわざわざ"ゲッサン読者ページ"と銘打ってるコーナーでページ増までしてやる意味って、読者からのおたよりをチェックしてページを編集するのが面倒だからなだけじゃないのだろうか。 この漫画のどこが読者ページなのか。

『ゲッサン編集部こぼれ話」によると、次号から大攻勢をかけ、この半年で多くの作家の作品が参戦や戦線復帰するとのこと。 正直、いい加減購読し続けるのがしんどい誌面状態なので、マシになってくれるといいなと思う。

この号は感想を書くのを長期間にわたって何度も中断したせいで、連載作品を改めて全部何度も読み返すことになってしまった。 何度も再読して新鮮味が薄れたせいか、初読時に何か書きたいことが沸き上がった作品も、再読して何も感じなかったり、何を書きたかったか全く思い出せなくなったりして、感想を書くのに凄く困った。

もちろん、再読して新たに気づくことや書きたいことを思いつく事もあるけど、割合で言えば特に何も感じずに再読し終えることが圧倒的に多かった。 当たり前かも知れないけど、感想は、対象に興味や集中力のあるうちに書いておくべきだなと思った。

ゲッサン27号(2011年08月号)

  • 『あいどるA』 (6話)圭太と入れ替わったあずさは、絶好調の鳥羽島率いるスワローズをノーヒットノーランで仕留め、あずさのそのありえない力の秘密が圭太にあるのではないかと、あずさの父親が気づく、という話。

    連載が不定期なせいか、いつになく説明的な台詞が多かったと思う。 そのせいでか、読むスピードが前に読んだ数話より時間がかかったような変な感じがした。 圭太が、あずさの父親に今の夢は何か聞かれてはぐらかしたり、威勢の良い抑えのピッチャーが結局出る幕なく終わったりするのがあだちらしいと思った。


  • 『ハレルヤオーバードライブ!』 (26、27話)愛葉の妹である若葉のギターが上手かったことから、小雨は自分のバンドへの加入を誘うが、姉や自分の髪へのコンプレックスや、以前のバンド仲間とのトラウマがある若葉はその勧誘を断ってしまうが、優秀な年上の兄弟を持つ苦労という共通点を若葉に見い出した冬夜は、自分の身の上を彼女に話しつつ、それとなく若葉に自分達の次のライブでやる曲の音源と譜面を渡すのだった、という話。

    26話の方は、生徒会役員の動きやしつこい勧誘にページを割いて、若葉自身が断った精神的な背景が描かれなかったので、若葉の内面が描かれた27話と、2話続けて読めたのは良かった。

    小雨達の部が生徒会に潰されようとしている危機的状況や、未だにどういう思惑があって現れたのか分からない楓の存在も平行して描かれていて、話に膨らみがあって良いのだけど、小雨以外が動いてる方が話が面白いなと相変わらず思う。 なくてはならない存在になりかけている楓はゲリラライブ当日に来なくて若葉が代役で出るって展開になると予想。


  • 『よしとおさま!』 (27話)よしとおの義理である葵のお庭版になったシロ子の服が、鼠皇との戦いでボロボロになったので、よしとおとサビ丸、葵とシロ子の4人で服を買いに行く、という話。  美形のシロ子がレギュラーに加わり、よしとおとの恋愛関係が発生しそうな事から、やっと、少年漫画的なラブコメになってきたなという感じ。 まあ今回よしとおは空気も同然だったけれども。

    エピソードの中で、シロ子の体と葵や百舌の服のサイズが合わないっていうのが、ある種のユーモア表現として出てくるのだけど、これが少し分かりづらくて、特に最初に出てくる葵の服のサイズが合わないってのが、どの部位がシロ子と合わないのかもっと説明的な絵の描写があって良いと思った。

    最終的に百舌のスカートのウェストサイズが合わなかった事と、その直前の百舌の(葵の服とは)「逆の意味でサイズが合わない」って発言から、葵の服がシロ子にとってバストの部分が合わなかったようだと分かるけれども、服は普通に胸以外の体の大小で合わなかったりもするるわけだし。 葵のサビ丸への思いやシロ子の気遣いがクドい位説明的な描写をされているので、服合わせの部分の分かりづらさが余計気になったのかも。

    あと、そもそもよしとおの父親は金持ちなはずなので、葵が服を借りに来るという事に違和感があった。 葵もよしとおと同じで親の金を使うのを避けてる設定ってあったっけかな。まあその辺は葵がサビ丸に会いたいからという事で片付けられるか。 今回はラブコメっぽくなったけど、また何もなかったように葵もシロ子も暫く出てこずにBLっぽい話になるんだろうな。


  • 『ちろり』 (2話)久しぶりに来た喫茶店の馴染み客が、マダムらと世間話をしつつ、初対面したちろりの人間性を値踏みする話。

    今回初登場した馴染み客の老人の生活感が薄いと思う。 もう少し店主との何気ない会話の中で、どういう仕事や生活をしてるのかにじみ出てる方が、今回の話に説得力が出るように思う。 奥さんが死んだ以上の情報がないってのは、ふとした人間味の味わいを楽しむ漫画の描写として弱いのでは。

    なんだか存在感の薄い登場人物が、ちろりというヒロインを無理に持ち上げてるように受け取れてしまった。 この老人はストレートに淋しいと言ったけど、べらんめえ口調だし、もっと強がらせても良かった気もする。 なによりちろりにいまいち魅力を感じられないのが残念。


  • 『鉄楽レトラ』 (3話)主人公と妹との過去のいきさつが語られ、鉄宇が妹と和解しつつ、前向きになるために、まずフラメンコをやってみようと決意する、という話。 表紙込みで74ページ。

    短期集中連載のせいか、妹のエピソードの語り口や和解が急な感じがした。 早く解決したわりに妹との関係とフラメンコをやることになる展開がいまいち上手く絡めてないっていうか、スムーズじゃなかったと思う。 妹の台詞が雑に思えたし、兄を持ち上げるためにしか存在していない人物にしか見えないのだよなあ。 今後別の役割があるかも知れないけれども。 自分のせいで妹がいじめられてたと今頃気づくのも妹の設定を後付けっぽく感じさせるし。

    あと少年の心の機微の描写が少年っぽくないかな。 面白くはあるのだけれども少年漫画ではないと思う。 主人公が自信を持てるようになってからヒロイン役と再会してENDかな。


  • 『ぼくらのカプトン』 (49~51)御幸高校サッカー部のインターハイ出場が決定して、雑誌で特集されたり、1回戦が始まったりする、という話。  49話の、商店街の人が、主将が雑誌に小さく写っていたのを無理に拡大してブロック状になってる写真をポスターにしたのは少し面白かった。 50話の宿泊先でのアダルトチャンネルの話は、相変わらずこの作品の下ネタはリアリティが無くて取って付けたようだなと思ったし、51話の女マネージャーが、チームを応援して少し涙をこぼすシーンは、この女マネージャーに魅力を感じないのでピンと来なかった。

  • 『Waltz』 (22話)岩西が依頼した殺し屋の活躍によって形勢は逆転し、岩西はチクタクに帽子卿との殺しの契約を破棄させる事に成功する、他方で、帽子卿に閉じこめられた蝉と、首折り男に扮した苺原が殺し合いになりそうになった途端、岩西の依頼主であるコンビニの店長が、チクタクの女リーダー?の首を持って登場するのだった、という話。

    岩西の方はあっさり片が付いて岩西自身も蝉のいる所へ来るから、結局最後の舞台は帽子卿の別荘ってことか。 萌えキャラの殺し屋である蜂がノーパンである事の必然性が全くないように感じたが、編集から女性キャラとファンサービスを出せと言われて仕方なく出したのだろうか。 蜂はチクタクにあっさり掌底を食らって完全に使い捨てっぽい扱いだった。

    色々忘れてることがあるので数号前をチラチラ読み返したけど、2011年05月号の19話で、岩西に殺しを依頼したコンビニの店長は、自分を人殺しだと言い、愛のために人を殺し、最も軽蔑する行為は愛を金に変えること、と言っている事から、コンビニの店長は殺しを金に変える殺し屋という家業を嫌っているという事になる。 だから、岩西や蝉を含めた殺し屋全員がこのコンビニの店長の殺しのターゲットになっているという事になりそうだ。 

    ただ、本物の首折り男は、無償の身勝手な善意によって人殺しをしていたフシがあるので、なぜこのコンビニ店長が殺したがってるのかが謎だ。 岩西はコンビニ店長に全ての責任を被せて逃げる予感。


  • 『BULLET ARMORS』 (14話)セレナが人間ではなかった、という展開の続きで、セレナは元人間だったのだけど、ブリーダー率いるトレマ軍に殺されかけた後に改造されたのだった、という話。

    セレナの悲しみが伝わってくる過去の描写は悪くなかったけど、イオンの腕のバレットが巨大化するのは、ワンピースのルフィの手がギガント化して大きくなるのと変わらないし、ただでさえワンピースの影響が見られる作品なのだから、もと違う方向のアイデアやひねりが欲しかった。


  • 『バレてるよ!ジャンボリーヌ』 (15話)ひな子争奪戦の続き。 挑戦者達は二人の金剛力士像の妨害に苦戦するのであった、という話。  正直この話を何話もかけてする必要を感じないわけだけど、もしかして、ネタ切れで話を引き伸ばしてるのだろうか。

    阿像が神経質ですぐ叫びがちで、吽像が窃盗癖のある最低の性格という設定は、この作品の中ではマシな設定の部類だったと思う。


  • 『FULL SWING』 (15話)定時制に通っている溶接所の社長が、会社での社員教育と別れた自分の息子の教育とのずれに悩みつつ、受験を失敗してやる気を無くした息子に道を示すために、自らも大学受験を決意する、という話。

    さわやかな感じで終わってるけど、今回の主人公の社長の決意が見えただけで、社長の生活はほとんど何も変わってないのだよな。 一話完結物にしては今回はちょっと完結してないって言うか緩かった。 工場に新しく入ってきた内気な女の子と同僚の関係にもページを使ったので、その分主人公の話が短くなったのだろうけど、でも話としては、大学受験に失敗した息子を励ましつつ、父親の学歴が低いせいだという言い訳をできないようにするために、息子が落ちた大学自分が受験する、という設定が面白かった。

    平行して語られる内気な女の子のエピソードもありがちだったけど、悪くなかった。 この漫画家の、短編ではないオリジナルをまた読んでみたいなあ。


  • 『QあんどA』 (27話)遊歩の兄が美人編集者とデートするプランを徹夜で考えたり、庵堂弟が偶然人助けをしたり、遊歩と庵堂兄の関係がうっすら分かったりした話。  ちょっと散漫だったかな。 でも遊歩の兄に対する内面を掘り下げていて面白かった。

  • 『アサギロ』 (27話)前回の終わり際で、他流試合に来た宇八郎に山南があっさり一本取られたのは、宇八郎の戦い方に勝負とは別の意図を読み取ったからだった。 しかし、宇八郎を負かした山南は、自分を北辰一刀流の免許皆伝と見切った永倉に警戒していたのに簡単に完敗してしまう。 永倉はその次に、噂で聞いた近藤と手合わせ願おうとするのだが、その前に急遽手合わせする事になった沖田を舐めてかかり、沖田の突きの一撃で気を失ってしまうのだった。

    久しぶりに山南の解説力が発揮された回だった。 あらすじで書いたけれども、沖田が永倉に勝つまでの戦いの積み重ねが面白い。 宇八郎、山南が負けたのも、理由があって真剣勝負をせずに負けたのだと描いていて、勝ち負けを単純な強い弱いに還元させなかった事で、負けた側の価値をあまり下げさせない構成が素晴らしい。 ただ、試合の描写自体はあっさりしていて物足りなかった。

    山南は永倉の剣に自分が学ぶべき何かを感じ取ったわけだけれども、次回永倉がまた試合しに現れた時にその答えが出てくるのだろうか。


  • 『まねこい』 (53、54話)音痴のホンチーが学校のカラオケ大会に出ることになって、ハルは初めてホンチーの信用を裏切って、歌が上手いと嘘をつき続けて来た事の責任の重さを知るのだったが、それでも本当のことを話したくなくて、猫太郎に助けてもらおうとしては失敗をしたりするのだった、という話と、奈波の事を好きなクラスメイトが初登場したり、荒場木が楓先輩を好きなのは、過去に楓先輩に似た女性を好きだったかららしいというのが分かる話。

    なんかホンチーに対するハルの行動が急にドタバタな感じになったし、迷走している。 今までハルはホンチーに嘘を付いてきた事を何とも思っていなかったのに、一気に状況を把握し過ぎじゃないかなあ。 そういう、自分のずるさに気づいたりの心の機微を丁寧に見せて欲しかった。 ハルはホンチーに本当のことを言う事から逃げ続けて、現状はただの嫌な奴に思えるけど、結局音痴なのがホンチー本人もハッキリ知る所となって誠心誠意謝って終わりかな。

    あと奈波の事を好きなクラスメイトが出てきたけど、この青年が、奈波が痩せる前から好きなのだろうか。


  • 『アオイホノオ』 (39話)岡田の家へ行った庵野達が、岡田の言葉の魔力に心を動かされたり、ジャンプ編集部にもうすぐ漫画の原稿が出来ると嘘を付いてしまったホノオは学園ラブコメに実際に取り組もうとして、自分が女性を全く描けないことに今更気づいて、女性漫画からキャラをパクろうとする、という話。

    岡田の親が偽ブランド品を作って金儲けしてたって話は事実なのかフィクションなのか分からないけど面白かったけど、ホノオはただただ愚かにしか思えず、魅力を感じられなかった。 この漫画はどんどん主人公のホノオが魅力ないものになっていくなあ。


  • 『ここが噂のエル・パラシオ』 (27話)桜花とアズミによる、ベルトと忠輔を賭けた試合が近づき、試合の準備をハードに続けるエル・パラシオのみんなだったが、その中で忠輔は、エル・パラシオのみんなが自分を大切に思ってくれていると実感するのだった、という話。

    前回思い出しかけた忠輔の過去の記憶は、結局よく分からないままになってしまい、ある程度予想通りの展開だった。 忠輔は自分が記憶喪失なままエル・パラシオで生活してることに疑問を感じていないので、エル・パラシオのみんなに大切にされてると知るって展開も、特になにも思えない。 忠輔の行動がこれを機に変わらないだろうし。


  • 『妹先生 渚』 (22話)強豪校との練習試合が終了。二勝三敗で渚の剣道部は負けたが、渚の思いは問題児の梶に届いたのだった、という話。

    岡持の藤井が出てくるくらいまではかなり面白かった。 ひびの入った左手を使って日高がなんとか勝ち、試合を見に来た元部員の三年生に、渚の自分への思いを聞かされ、梶の気持ちが動く辺りまでは本当に熱血漫画って感じで良かったと思う。

    でも梶をスカウトに来た暴力団と光路郎や藤井のドタバタな絡みが、熱血の流れとずれていて違和感が強かった。 暴力団が出てきた事象を上手く収めるためには、プロレスチックでドタバタな展開にするしかなかったのかも知れないけど、読んでいて熱く盛り上がった気持ちを削がれてしまったし、光路郎や暴力団を出さなくても成立させられた話のような気もする。 あと渚の泣き顔のアップとかは押しつけがましい感じで苦手だった。 38ページ。


  • 『マコトの王者』 (27話)2人の試合は、大地の若く健康な肉体の中に入った天堂マコトが、試合運びで完全に優勢に進み、勝利は目前といった所で、天堂の父親がリング前に現れ声援を送る。 すると大地の中に入った天堂の動きが止まり、その隙を突かれて、天堂の中の大地にクロスカウンターに持ち込まれた、という話。

    今回も1話だけの40ページ。 試合が一方的で天堂の中に入った大地の良い所がなさ過ぎた。 作品の途中でテーマが、天堂の家族や人間の絆を否定する生き方が、大地にによってどう変わるかになってしまい、話が天堂寄りになっているのも自分には物足りない。 

    リング前に天堂の父親が車椅子で現れ声援を送ったのだけど、それは自分の息子を声援したのか、また、大地の中に入った天堂が一瞬動きを止めて素直な表情になるのだけど、これは天堂の表情なのか、入れ替わった中身が元に戻った大地の表情なのか、がぼかされて続きが気になる。 もうゲッサンでの連載は終わってるようだけど、盛り上がる展開だったのかなあ。


  • 『ココアの思い出』 (読切)主人公の女の子が、かつて、相手を傷つけるような事を言ってしまい疎遠になった小学生時代の初恋相手と同窓会で再会する話。  今までゲッサンに短編や付録で、『レバー』『博士の愛した人造人間』『少年と人魚』が掲載されている佐伯幸之助の作品。 16ページ。 

    相変わらずキャラクターを描くのはこなれてるのに背景が上手くない。 あと、ショックを受けた時に物を落としたり、恥ずかしさのあまりベッドに俯せになって足をバタバタさせたり、相手が勘違いしてると気づいて大声で笑ったりとか、新人なのにやたら使い古された表現をするのが気になる。 でも、ココアの使い方も含めてこの作者の今までの作品では一番面白かった。


  • 『いつかおまえとジルバを』 (36話 最終回)人間に飼われる事の心地よさや窮屈さを感じつつも、ジルバは連れ去られた野良猫たちと再会し、野良猫へと帰っていくのであった。  今回で最終回なわけだけど、まるで打ち切りのような雑然とした感じだった。まず、話の繋がりが所々分かりづらくて、野良猫を連れ去った姉妹の家が、ジルバを拾った青年の家からどれくらいの位置にあるかとか、ジルバが姉妹の家から出て行った後、次のページで急に野良猫たちが犬に出くわしてて、いつ家から出てきたのか、とか、よく分からないし、野良猫を保護した姉妹もすぐいなくなって出す意味あったか分からないくらいだし、マリーのジルバへの恋心も話として全然生かせず終いだったし、最後まで本当に行き当たりばったりな作品だったなあ。

  • 『月の蛇』 (27話)林冲に完敗した飛虎は、翠華や扈三娘らによって助けられ何とかその場を脱出したが、みんなを逃がすために一人残った扈三娘は、林冲によって、その能力を惜しまれつつも斬られて死ぬのだった、という話。

    前回、翠華を助けに向かう青磁の前に現れたのは、かつて飛虎と同じ牢屋にいた老人で、その正体はこの国の大尉だった事が明らかになるけど、昔の中国軍や政治家の組織を知らないせいか、いまいちピンと来なかった。  飛虎は全く良い所無く敗走したけど、話自体は怒濤の展開で一気に読めたし面白かった。 毎回こういう熱い展開だといいのになあ。


  • 『イボンヌと遊ぼう!』 (28話)以前現れたパンダが再びイボンヌ達の学校へ現れ、イボンヌ達はパンダの行方を必死に追う、という話。  パンダが学校のあちこちを歩き回りイボンヌ達も探し回って、その先々で、特に意外でもない色んなアクシデントが起こるわけだけど、アクシデントにハラハラさせる何かが足りない気がする。 ほんわかしたのは好きだけど、毎回展開が似ていてノリも同じだと読んでいてしんどい。 

    あと、パンダが自分のジャグリングに自信を持っていて褒められたがってるという設定は嫌いじゃないけど、設定が特に面白く生きることもなく、出来事が順番に描かれただけという感じ。 今回パンダがメインでイボンヌは脇役も同然だったし、イボンヌとはじめは会話しないどころか、一切出会わなかったな。


  • 『リンドバーグ』 (27話)ギャローの乗る改造されたリンドバーグが暴走して崩壊し、その隙にシャークはギャローを撃ち殺し、シャーク一行は何とか難を逃れるのだった、という話。  

    改造されて異形の姿になったリンドバーグは、ただ異形の形を絵として見せただけで大した活躍もせず、勝手に暴走してボロボロ崩れてしまうというかなりの肩すかしだった。 あと、ニットがシャークの気持ちを安易に理解し過ぎというか、騙されて連れてこられたニットの葛藤や、シャークを理解する切っ掛けを、これまで作中ほとんど描かなすぎだし、目の前で今人が死んでいるのに、そっちを驚いた顔だけで済ますのにも違和感があった。 ニットも一応主人公ではあるのだから、もう少し感情の機微を丁寧に描いて欲しいなあ。


  • 『信長協奏曲』 (27話)浅井長政に裏切られ、退却途中でで朽木元綱に立ちはだかれた、サブロー扮する信長一行であったが、松永久秀による説得と、サブローが少し前に助けた女児が朽木の妹であったことから、朽木に手厚く保護され無事京へと就いたのであった、という話。

    朽木元綱の妹が、お市のように活発でほがらかな人物で、それ自体は魅力があるのだけれども、作者は兄を慕う活発な妹っていうキャラクターが好きなんだろうか。 小山ゆうもこういうキャラクターは出てくるけど、小山ゆうが描くと、もっと喜怒哀楽が大きくなるだろうな。 この作品は、脇役のちょっとした表情や言動が魅力的でいい。



今月は『第三世界の長井』は休載。
巻末の「ゲッサンしてみる。」は全面横山裕二の新企画の経緯漫画のみ。 四国の書店巡りをして自作のゲッサンのPOPを置いてもらい、そのレポを漫画にするらしいけど、正直、巻末の読者コーナーをこの漫画で埋めるのはやめて欲しい。 多少なりとも連載作家陣の事が分かる「仕事場見たいし!」の方が、まだ読みたいし、そもそもレポ漫画でこの漫画家を重用し続けてる理由が分からない。 話を短くまとめるのがうまいわけでもないし。

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サンデーGX人気作品ためし読み別冊付録

  • 『神様ドォルズ』(1、2話)故郷との関係を絶つべく東京の大学へ進学した匡平の周辺で、連続した殺人事件が起こり、そして、それらの事件はどうやら匡平を追ってやってきた妹や幼なじみと関係があるらしい、という話。

    この作品は読んだことがあるけれど、この2話までの頃は、匡平の妹である詩緒はまだ、大人びた感じに描かれていて子供子供してないし、コミカルなデフォルメ化もそんなにされてないな。 今回改めて読むと、酷い遺体を見てしまったのに、台詞で心境を説明されててもそんなにショックを受けてるようにも見えない日々乃の描き方に違和感を感じた。 あと、アクションシーンが、何がどうなっているか分かりづらかった。 同じ作者の『天にひびき』はかなり面白いのだけど、『神様ドォルズ』は自分にはいまいちピンとこない。


  • 『正義警官モンジュ』(6話)ロボット警官のモンジュが、書店の店先に設置された成人雑誌の自動販売機に恋をする、という話。

    モンジュが恋をする自動販売機が、スクラップ工場で潰される寸前に意志を持っていたらしいことが分かって、その直後結局潰されるのだけど、そもそも電源を外されてるはずの自動販売機がしゃべった事がおかしいと思う。

    モンジュが何で動いてるかは知らないけど、この自動販売機もコンセントを使わない機械だとするなら、スクラップ機で潰す前に電源なりバッテリーなりは爆発や火災対策で外してるはずでなのでは?と思って話に入り込めなかった。 設定が緩くて残念。


  • 『ジャジャ』(1話)中古バイク屋の女店主と下宿人のバイク乗りとのラブコメで、自分がレストアしたバイクを感じの悪い客に売ってしまった事に落ち込む女店主の話。 

    この作品は、今回の別冊の中で唯一初めて読んだ作品だと思うけど、この1話では、主要人物の性格や人間関係などの紹介に焦点を当てて描かれたせいなのか、バイクの魅力がいまいち伝わってこなかったな。 面白くないわけじゃないけど可も不可もないという感じ。


  • 『ヨルムンガンド』 (1話)親が殺され戦争や兵器を憎む少年兵が、武器商人に雇われ、早速自分の兵士としての能力を見せる、という話。 

    普段は無口で大人しいけど、戦闘が始まると的確な行動をしてココを守り、かなり戦争慣れしてることをうかがわせるという、ヨナがどういう人物か1話で分かりやすく描かれてると思った。

    作品自体は面白いんだけど、ただ、引きの画が少なくて風景がほとんど描かれないってこともあって、戦闘描写がこれまた自分には分かりづらいのだよな。 斜線と爆発エフェクト多めで画が荒いし。 同じ小学館の、画の荒々しいアクション漫画という事で藤原芳秀を思い出してしまった。

ゲッサン26号(2011年07月号)

  • 『ハレルヤオーバードライブ!』 (26話)冬夜と青葉が、それぞれ小雨達のバンドの新メンバー候補を連れてくるという話。  これからこの2人を中心に波乱が起きそうな展開で、主人公を軸にするよりは話が面白くなりそうだけど、周りの人にお膳立てされないと動けない主人公のままなのは良くないなと思う。

  • 『FULL SWING』 (14話)最初のエピソードに出てきた眼鏡の女の子とサッカー選手が、バーベキューパーティーを切っ掛けに付き合う、という話。  今まで出てきた人物達が大勢登場して、最後のページの煽り文のように、更に話が発展していくのか、数話続いて最終回になるかまだよく分からないけど、この作品で既に出てきたその後を見たくなる登場人物っていうのはあまりいないので、再登場されても特に何も感慨深いものはなかったかな。 あと、表紙とその次のページの柱に今までの物語が今繋がる的な煽り文を載せているのが、クドいと思った。 それは読めば分かるしネタバレだし、2ページ続けて知らせる事じゃないっていうか、もうちょっと読者の読解力を信じても良いような気がする。

  • 『QあんどA』 (26話)遊歩と陣野の父親の話を通して、陣野の内面や人物像が語られていくという回。  久しぶりに庵堂兄の死を真面目に扱って、あだちらしいさりげないユーモアも冴えてたし、通常のような数ページで終わりそうな話を楽屋落ちのくり返しで薄く引き伸ばしたような緩い感じもなく、久しぶりに読んで充実を感じられる内容だった。 まるであだちがやっと本気を出したかのような回。 次回はまた緩いのに戻るのだろうけど、こういう充実したものを毎号読みたいのだよなあ。

  • 『ぼくらのカプトン』 (46~48話)高校総体の埼玉大会で順調に勝ち上がってくサッカー部の悲喜こもごもって感じの話。  46話は、進学校なのに試合にガッツリ参加してる3年生と2年で引退するつもりの控えの部員達、という設定だけが面白かったけど、残りはありきたりな下ネタや、他校の有名選手が大げさなあだ名を付けられてるといういまいちピンと来ない話だった。 46話の俯瞰や引きの試合シーンや、48話の最後の優勝記念の写真の絵のタッチがかなりラフだったけど、前からこんな絵柄だったろうかと気になった。

  • 『よしとおさま!』 (26話)前回暗殺者集団?の鼠皇と出会ったことで、いつのまにか暗殺対象であるよしとおと馴れあってる自分に疑問を感じた綿貫が、よしとおと距離を取ろうとする話。  何度も書いてると思うけど、この作品の友情の描き方が苦手だ。 男同士の距離感って感じじゃない。

  • 『ちろり』 (1話)着物と洋服が混在した時代を背景に、妙齢の女性がオーナーを務める喫茶店?で、住み込みで働いている女の子の朝の行動を描いた話。  以前読み切りで掲載された漫画の連載1回目。 開店前の準備を、無駄なくキビキビ動いている女の子を見せたい、ってのは伝わるけど、ちろりやその仕事風景にいまいち魅力が感じられないのは、構図やコマ運びが気持ちよくないからだろうか。 別に凄く悪く感じたりはしないけど、アングルの寄ったり引いたりがちょっと雑に思える。 あと、手洗いを省略しているのかも知れないけど、ちろりが掃除をした後で、手を洗わずに食器棚や食器をいじってるのがすごく気になった。

  • 『アオイホノオ』 (38話)庵野達が武田に連れられて岡田斗司夫の家に行く話。  岡田も庵野達のように変わり者だったというエピソードに過ぎないな。 後半出てくるホノオが、相変わらず他人の描いた漫画の重箱の隅をつついては叫んだりするわけだけど、無理に変な所を見つけてはギャグにしようとしてるように思えてしんどい。 ワンパターン過ぎるのでは。

  • 『リンドバーグ』 (26話)狙われたプラモを見つけたジャンゴが咆哮すると、仲間のリンドバーグ達が一斉に黒薔薇七銃士隊の船に攻撃を始めたのだった、という話。 前回の感想で、ニットとプラモが揉めてニットの成長が描かれる的な事を書いてたけど、プラモが素直に言うこと聞いて大した事も起こらずにあっさり終わりそうだった。 人間とリンドバーグとの関係をシャークとニットのリンドバーグへの関わり方の失敗を含めた同一性で語ると思っていたら、エスペランサ側とシャーク側という対立軸に組み込まれているだけで、ニットの成長などは掘り下げられなかった。

    今回、ギャロー空佐のリンドバーグが改造されていたことが発覚したけど、この改造された姿も、ニットが衝撃を受けたほどには見た目が非道いって感じがしなかったのは、リンドバーグが仮面を付けていたからもあると思う。 改造されたリンドバーグを目にしたニットが泣くのにもピンとこなかった。 ただこれでニットにもエスペランサと戦う理由が出来たってことで、この対立構造はニットが結局シャークの過去をなぞってるだけの存在とも言えるけども、ニット自身も今後能動的に動くようになっていくのかな。

    あと、前回書き忘れたけど、ギャロー空佐の取った陣形は、リンドバーグ同士の後部を繋いでしまうので機動力が消えて狙われやすくなるだけではないだろうか。 後ろに飛べるとも思えないし、四方八方に攻撃態勢を取るのなら後ろ同士を繋ぐ必要もなかったと思う。


  • 『8月の面影』 (読切)幼なじみのお姉さんの結婚式に参加するために故郷に戻って来た青年が、もう1人の幼なじみにも久しぶりに出会う話。

    小川 麻衣子の読み切り。 悪くはないけど、主人公の青年と幼なじみの子の存在が希薄というか、いまいちそこに生きてるって感じがしなかったのが残念。 話が性急で間を感じられなかったからそう感じたのだろうか。 あと、主人公の青年と、お姉さんじゃない方の、もう1人の幼なじみの年齢や、主人公との年齢差が分からないけど、2つの初恋を描いてる以上、年齢ははっきりした方が良かったと思う。 作風的に、大人と子供の描き分けがハッキリしてないから余計にそう思う。

    あと、起動エレベーター的なものを出さなくても成立する話なので、そういうSF要素を入れてる理由が分からなかったけど、この設定で連載する予定でもあるのだろうか。


  • 『神さまと。』 (読切)女子高生が土地神と契約して邪鬼と戦う話。  坂ノ睦の読み切り。 土地神と人間が逆だったというミスリードは良かったけど、やはりこの漫画家の描く男が苦手だなと思った。 どこが苦手なんだろうと考えてみるのだけど、造形的には剃って整えたような眉毛や面長な所だろうか。 あと男のノリもイライラさせる何かがあるのだけど、自分の好みの問題なのかなあ。 二枚目がわざと三枚目演じてるようなわざとらしい感じに近い違和感だろうか。 読み切りとしては無難にまとまっててこの作品も連載する気満々なものを感じるけど、連載準備中の作品ってこれなのかなあ。

  • 『ここが噂のエル・パラシオ』 (26話)忠輔を賭けてアズミと戦うことになった桜花は、自分の忠輔への気持ちをまだ素直に認められないのであった。

    今回最後に、桜花の何気ない言葉から、忠輔が自分の記憶を思い出しそうになっていたけど、結局また記憶は封印されるような気がする。 ここで記憶が戻って桜花が忠輔に対して素直になれば最終回になるだろうと思う。


  • 『いつかおまえとジルバを』 (35話)記憶喪失と回復を繰り返すジルバは、記憶が回復した時には、拾い主に隠れて連れ去られた猫達の行方を捜しているのであった、という話。 猫探しを引っ張るなあ。 ジルバが人間に飼われるのに慣れてきたけど、飼い主の人格に問題があるし、このまま飼われて終わりにはならないだろうな。 しかし考えてみるとジルバを慕うマリーという猫を出してきた意味が全くないな。 行き当たりばったり過ぎる。

  • 『Waltz』 (21話)帽子卿のいる別荘へ向かう、首折り男に扮した苺原と、別荘で待ちかまえるチクタクの抗争が始まると思いきや、チクタクの前に現れたのは岩西で、岩西の雇った蜂という殺し屋とチクタクの抗争が始まり、苺原はチクタクのいたのとは別の別荘に隠れているはずの帽子卿を、さも居場所が分かっているかのように見つけたのだった、という話。

    今回は謎の展開をいきなり提示して、次号でその謎を明かすってやり方をして盛り上げてたけど、蜂の正体がいわゆる萌えキャラな少女だったのが、話が終わりに近づいてるここに来て萌えなのかと驚いたけど、でも考えたらこの作品に足りないものがあるとすれば、萌えはともかくとして女の子キャラなのだよな。 セクシー要員は情報屋が一応いるし。 この蜂が、ゲスト的な使われ方なのか、蝉と組む殺し屋になるのかは少し気になる。 あと、フロイラインの寺原の息子が出てきたけど、この作品は何の理由もなく脇の人物を出したりしないので、今回の事件にどう関わってくるのかも楽しみ。

    ところで、この作品の掲載位置が真ん中辺りになるのは始めてじゃないだろうか。


  • 『BULLET ARMORS』 (13話)イオン達が3人がかりで謎の男と戦うがそれでも勝てない。  そんな中、その謎の男はセレナが人間ではないと明かすのだった、という話。  セレナがトレマだったというのは一応衝撃的な展開ではあった。 謎の男はセレナを最初兵器と呼んでいたから伏線はあったわけだけども。 まあこれで高いところから落ちても無事だった理由だけはついたと言える。 でも今回はまたちょっと絵が雑だったり、視点がころころ変わって空間や登場人物達の位置関係がよく分からなかった。

  • 『バレてるよ!ジャンボリーヌ』 (14話)ひな子争奪戦の続き。  登場人物みんながしゃべりすぎだし特に面白いことを言ったりしないし、読んでいてしんどかった。 殺されかけるってシチュエーションが頻出するけど、緊張感が一切無いので殺されかけてるように受け取れないのだよな。 だから助かっても開放感もないし。 もっと絵や演出に説得力が欲しいかも。

  • 『月の蛇』 (26話)飛虎と花栄との戦いが始まろうとした矢先に林沖が現れ、飛虎は林沖と戦うのだが全く歯が立たずに、ついには右眼を斬られてしまう。 その一方、青磁は翠華の元へ行く道中で謎の集団に出くわすのだった、という話。  もう1つの蛇矛を持つ男との一騎討ちが始まったけど、あっさり終わってしまった。 これで仲裁する人が来て飛虎は修業し直しって感じだろうか。

  • 『まねこい』 (51、52話)奈波がリアのアドバイス通りに自分の恋愛相談をハルにして仲を深め、自分を可愛いと言ってもらって喜ぶ話と、ホンチーがカラオケレッスンしなくなった事を怪しむハルの話。

    なんか、奈波が思い切り美形になったことや、ホンチーの変化をあっさりハルに気づかせたりとか、話運びが雑になったように思う。 そこら辺を面白おかしく描くべきだったのではないだろうか。 打ち切りの危険があったとかでテコ入れしたのかな。 前も書いたと思うけど、自分の中では歴史研究会以降は初期に感じられた細かい心の機微を読める面白さは無くなったように思う。 シリアスに進めていくと思ったホンチーの音痴話を軽めに捻ったのは少し良いなと思ったけれども。


  • 『アサギロ』 (26話)新八と宇八郎が、女郎屋の薪割りで知り合った近藤のいる試衛館へ他流試合を申し込みに来るという話。

    話の筋としては他流試合がメインなのだけど、今回の話で細かく人柄を描写されているのは近藤の妻だ。 料理が下手で愛想も悪い武家の娘がなぜ近藤に嫁いだのか。 野良猫が近藤に懐いてるのが手がかりなのかも知れないけど、この女性の器量の悪さや無愛想さは地なのか演じているのか、まだよく分からない。 どこかの女スパイであってもおかしくない気もするくらい、一癖ある魅力的な人物だと思った。


  • 『姉妹だけに?』 (読切)ずぼらで頭の悪い姉と賢く良くできた妹の、いつもやっていそうな家庭内でのコミュニケーション、的な話。

    2011年4月号に掲載された『ハート ディスペンサー』という読み切りを描いた斉藤ゆうの2作目の短編。 相変わらず絵は拙いし、吹き出しの置かれた場所に違和感を感じる。 姉妹は大学生と小学生の設定だけど、姉が高校か中学生でも問題ないくらい設定が生きてないと思う。 上着はセーラー服着てるし。 姉が駄洒落好きなのも含めて魅力を感じられなかったので、妹も対比されて引き立ったという感じがしなかった。 前回の短編の方が面白かったかな。


  • 『マコトの王者』 (26話)天堂と大地の2人のマコトの再戦の始まり。  絵に迫力があるし作者も気合いが入っているのだと思うけど、2人のマコトの気持ちが表情が固くてやや伝わりづらいように思った。 どのコマでも少しハンコみたいに似た表情ぎみになりがちだったのが残念。 叫び声以外2人のセリフを一切廃した試みは、緊張感を感じさせるし上手く行ってるように思った。 どちらかが死ぬような空気を感じる。

    ところで、今回タイトルに"Last Match"という副題が追加されて、今までそれぞれ違う視点から描かれた2話掲載だったのが、今回は1話になっていた。 今回は40ページで、前号は2話合わせて40ページだからページ数自体は2話掲載時と同じなのだけど、このまま最終回になるとして、今後最終エピソードが1話づつ掲載になるのだとすれば、コミックスで、赤編と青編に分けて発売したのはやはりミスだったのではないだろうか。 最終刊はそれぞれどうするのだろう。 この漫画は赤と青を続けて読んだ方が良いと思うから、もしコミックスを出し直す事があれば全部1つのシリーズにまとめて欲しい。


  • 『第三世界の長井』 (24話)前回現れた謎の女の子に長井が攻撃される話。  7ページ。 女の子が放った麺が長井の手足に突き刺さったのが意外な残酷さだったけど、この漫画はなんでもありで危険や生死の基準が分からないのでどう受けとって良いか困る。 色んな要素が多過ぎな事に気が散って、笑えそうな部分に集中できない気がする。 最後のページの「何かが起きようとしている。」という長井のセリフは少し面白かった。

  • 『イボンヌと遊ぼう!』 (27話)イボンヌと谷口さんが、仲間の夢の中に入って一緒に遊んだり、はじめにちゃんとした夢を見せようと頑張る話。 いつもの装飾的な世界でイボンヌが遊ぶ的な展開だったけど、はじめがいきなり白い夢しか見ないとか笑えないことを言い出したので少しビックリした。 最終回で、今まで全ての出来事が、事故で意識不明だったはじめの夢物語でイボンヌは存在しないとかそんな事になってもおかしくない気がしてきた。 最期のコマで、イボンヌがはじめに小説の『罪と罰』を投げて渡していて、このオチが全く分からないのだけど、白い夢と何か関係があるのだろうか。

  • 『信長協奏曲』 (26話)サブロー達が逃走中に、農家の悪ガキを懲らしめたり、溺れた謎の女性を助けたりしてる間、しんがりを務めた秀吉は、明智達の見張る中、本気で浅井軍と撤退戦をさせられていたのだった、という話。

    前回の、逃走中に農家に立ち寄ったサブロー達が農民に襲われる怪しい展開は完全に肩すかしだった。 ただの話の"引き"でしかなかった感じだけど、最終話でサブローが現代へ戻ったら、襲おうとした農民達は、サブローの変な影響のせいで偉人になってそうな気もする。 川に溺れたのを助けた身分の高そうな女性も含めて伏線の感じもするのだよな。 まあ女性の方は確実に伏線だろうけども。

    で、今回の最後も、ピンチに陥りそうな終わり方をしたわけだけども、次回もまた特に何も危険な事はなく展開していきそう。 同じような安易な引きを使って欲しくはないのだけどなあ。 そういうことをしなくてもそれなりに面白いから。


『妹先生 渚』はまた休載。

今号の「ゲッサン編集こぼれ話」には、編集者の新人を見守る喜びや励まし、それと遠回しに読者へ新人を大目に見て欲しいという願いが書かれていた。 正直いって、ゲッサンには小学館の漫画雑誌の中でも面白い連載がそれほどあるわけではないと思うけど、現状支持できる点があるとすれば、それは新人にチャンスを与えて育てようとしている所だ。 だから、安易に人気作家を他所から呼んでくるのには、雑誌やコミックスの売り上げや、連載漫画の底上げが必要なのは分かるけれどゲッサンのカラーとして違和感がある。 あと、休載なままの西森博之の『いつか空から』はもうこのまま連載再開しないのではないだろうか。

「仕事場見たいし!」は『ちろり』の小山愛子。 普段から着物を着たり、アンティークな物を集めたりしているとのことで、アンティークフェチなのかな?という感じ。 漫画絡みの話は、以前描いていた卓球漫画は自分が運動が苦手で苦労したって事くらい。 「ぼくの!わたしの!もぐもぐ一週間。」はイボンヌの荒井智之。 朝は甘食か鯛焼きをいつも食べているようだ。 鯛焼きをよく食べているのは、漫画の影響なのか、普段がそうでそれを漫画のイボンヌのキャラに生かしたのかどっちだろう。あと、カツとサブウェイのサンドイッチも頻繁に食べていた。

今回はこの号の感想を書いている途中で1ヶ月くらい空いてしまって、再びゲッサンを途中から読んで感想を書く感覚を戻すのに少し苦労したのだった。 といっても、まだ7月号の感想だし、どのみち全然はかどってはいないのだけれども。

ゲッサン25号(2011年06月号)

  • 『Waltz』 (20話)蝉と、首折り男に扮した苺原と、チクタクの3組が、それぞれの思惑によって隠れ家にいる帽子卿の元に集まろうとしていた、という話。  蝉が、自分が殺し屋だと自覚したのに続いて、今度は自分にとって岩西が特別な存在であると気づきつつあるのが重要なポイントかな。 あと、岩西の依頼主であるコンビニの店長が、電話口で岩西に扮して蝉を騙して呼び出したけど、なぜ岩西の口癖を知っていたのかが気になった。

    作品中で「最後の舞台」というキーワードが出てきたし、応募者全員プレゼントも今回が最後との事で、そろそろこの作品が終わるのだなという事が分かる。 でも売り上げが芳しくないゲッサンの中で人気があるはずのこの作品はすんなり終われるのだろうか。 個人的には無駄に引き伸ばさずに、終わって欲しいけど、一部完という可能性もあるか。


  • 『鉄楽レトラ』 (2話)高校に入っても回りになじめない鉄宇は、ある日の体育が自習になった時に、クラスメイトと揉めてしまうのだが、それを切っ掛けに仲良くなれそうな知り合いが2人できる、という話。

    今回登場したマフラーをして髪を白っぽく描かれた登場人物は、漫画では居がちな人物で、この手の回りから浮いてるような人物が出てくると、大抵その人は特別な人間で主人公よりも能力があって主人公を食うような活躍をしたりするし、主人公より人気が出たりもする。 すぐ思い出せる最近の漫画ではやまむらはじめの『神様ドォルズ』に出てくるアキとか。 マフラーの少年はそこまで浮いた存在ではないけれども。

    今回はちょっとした勇気が良い方向へ転がったという話だったけど、母親の息子への心配の仕方が説明的で違和感があった。 あと、鉄宇と市川がバスケのゴール前に立ってるコマの。ゴールと人物の距離感やパースが変だった。 今回の2話目はいまいち楽しめなかったかなあ。 次号は休載で次々号に3号が掲載とのことだけど、この連載も休載が多くなったり休載したままになったりして。


  • 『QあんどA』 (25話)庵堂家で犬を飼うことになったいきさつが語られた回。 死んだ兄の良い人エピソードと小笠原のずるい性格が交差したって展開で、どっちも裏で工作活動してるけど方向が真逆っていう対比した見せ方がちょっと面白かった。 小笠原が忍に更に距離を取られた以外は特に話の進展はなかった。

  • 『ぼくらのカプトン』 (43~45話) 主将が後輩の女の子に言い寄られてると思ったら、その子は主将の妹で、サッカー部のマネージャーとして入部希望してるだけだった話と、主将と妹が同じ部屋だとか、エロ本をみんなどこに隠してるかを話し合う計3本。  前に主将の妹が突然出てきたなと思ったけど、このためだったのかな。 しかしこの作品の下ネタ話はいつも面白からずだ。 というか、主将以外の部員に魅力がないから何をやっても面白くなりづらいのではないだろうか。

  • 『素敵な面倒さん』 (読切)メデューサの血を引く女の子が、先祖の怨みと呪いを解くために、ペルセウスの子孫に復讐をしようとする、という話。

    とよ田みのるの作品を読むのは初めてな気がするけど、絵柄や雰囲気がとり・みきや植芝理一っぽい所があった。 なんだろうな、腹の立たない面白く無さというか、嫌いな所は特にないけど特に何の引っかかりもなく読み終えてしまった。 ヒロインの、呪いで感情が顔に出せないという設定が、いまいち面白い要素になってなかったかも。 っていうか、感情を顔に出せないという呪いと、嬉しいのに怒ったりしてしまうツンデレ的設定がごっちゃになって分かりづらかった。


  • 『マコトの王者』 (25話)大地と天道のタイトルマッチ直前に2人がそれぞれボクシングに出会った理由と環境によって培った価値観の違いが語られた回。  マコトそれぞれの過去が語られたわけだけど、このタイミングで入れたのは、月並みでありつつも試合を盛り上げる要素として効いていたと思う。 特に大地の過去とそこから得た人生観が、熱血少年漫画的で凄く良かった。

    この作品は2人の主人公の中身が入れ替わり、毎回二話づつそれぞれの視点で話が進むというややっこしい設定の漫画だけど、シンプルに大地のような熱い主人公の漫画も期待したくなる。 っていうかサンデー本誌で勝負できる漫画家だと思うのだけどなあ。 今回大地の妹の台詞的に、大地が死にそうな予感もあって、試合の決着が付いて2人がただ元に戻って終わりじゃなさそうな感じもしてきたので、凄く先の展開が気になったのだった。


  • 『ハレルヤオーバードライブ!』 (24話)小雨達のバンドに愛葉がサポート代わりに入って練習していたのだが、自分に相談もなくサポートした事が気に入らないタンポポは愛葉と喧嘩してしまうのだった、という話。  愛葉の巨乳ネタ続けてるなあ。 愛葉とタンポポの友情が疑似恋愛っぽくて友情に見えないのが気になった。 あと、ヒロインのハルの描き方が珍しく全体的に緩かった気がする。 今回のハルはほとんどギャグキャラだったからかな。 でも違和感があった。

  • 『よしとおさま!』 (25話)鼠皇とサビ丸達の戦いは、鼠皇が撤退したことで終わったのだった、という話。  久々にまともなバトルになったけど、鼠皇の本来の目的であるよしとお暗殺は放置して、ただサビ丸達とちょっと戦っただけで撤退したのが肩すかしだった。 まあでも、この作品の通常回でよくある、よしとおとサビ丸のキックオフのようなラブコメっぽい見つめ合いよりも、こういうバトル中心の方向の方がまだ読みやすいかな。 しかし、シロ子は胸が強調されたり破かれたりその下にスクール水着を着ていたりと、完全に男性読者へのファンサービス要員になっているけど、もうちょっとあざとくないやり方はないのだろうか。

  • 『アオイホノオ』 (37話)ホノオが、電話をかけてきた編集者に、描いていると嘘をついた漫画を見せる約束をしたり、勝手にライバル視しつつ貶している原秀典が、週刊少年サンデーに連載を始めた事に危機感を抱いたりする話。  今回もホノオはあまり不快じゃなかった。

    今回ホノオは原秀典の漫画を内容がないと貶すのだけど、それに関して作者の島本和彦が巻末のコメント欄で、「この漫画は「主人公、わかってないなあ」と読んでくださいね!」と書いていた。 だけど、あだちの「ムフ」やアニメに関する考察とか、ホノオのセリフが作者を代弁してるとしか思えないものもあるので、それらも含めてホノオの行動や台詞を全部「わかってないなあ」と思うのもまた違うのではないだろうか。 


  • 『BULLET ARMORS』 (12話) イオンと謎の男とのバトルにエイブロックも参戦することになった、という回。  一応盛り上がってるし、大駒や見開きを使ったハッタリの見せ方も上手いなと思ったけど、誰がどこからどういう位置に行って回り込んで、みたいな空間の中のそれぞれの人物の配置が読んでいて分かりづらいのでバトルにのめり込めなかった。 イオンとエイブロックが協力することになるのも、筋としては分かるけど、2人の格好のつけ方が読んでいて恥ずかしかった。

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  • 『まねこい』 (49、50話)新学期も始まり、ハルはホンチーとの仲が進展したと思っていたが、ホンチーの方では自分の歌声に疑問を感じ、自分の歌を褒めていた人間と距離を取り始めていたのだった、という話と、奈波がハルに好かれるために、努力して痩せて?登校してきた、という話。

    前回のホンチーの思わせぶりなセリフから、音痴のことでハルと関係がおかしくなることは予想できたけど、ホンチーが、自分が歌が下手なのを薄々気づいてるらしいって設定は急に入れてきたなあと思った。

    合宿は前回で終わって帰宅後から話が始まったけど、事件に巻き込まれた事に関する引率者の責任とか、事件後地元の悪ガキ達はどうなったかとかを曖昧に切り上げたのには納得がいかないな。 そもそもホンチーは親に無理を言って頼み込んで合宿に来た結果事件に巻き込まれたわけで、嘘を付きたくないホンチーなら、流れからいって、合宿での事件のことも親に話して歴史研究会と父親がまた揉めるのではないだろうか。 ハルも、ホンチーの父親に対して申し訳ないと感じている描写が合った方が良かったと思う。

    それに、結局引率の先生の合宿の参加は、美少年好きキャラをアピールさせるためでしかなくなってて、教師として機能していないし。 これからもシリアス方面に展開していきそうだけど、シリアスな話を描くにはこの作品は設定も描写も大味過ぎると思う。

    あと、50話の方だけど、エッチなネタの出し方がやっぱり下品だと思った。 作品自体が最初から下品な内容なら良いけど、なんか流れや作品の雰囲気を壊すようないびつな出し方なのだよな。 それと、合宿行くまで長々話数書けたわりに合宿本編をあっさり切り上げたり、リアが奈波家族に馴染むまでの描写を略したり、急に奈波を細身の美形に?したり、色々話を急いでるようにも思えるけど、テコ入れなのかな。  最後に出てきた女の子が本当に奈波で本当に痩せたのかはまだ続きを読まないと分からないけれども、奈波は美形にしたら作品のバランス的にまずいんじゃないかなあ。


  • 『ここが噂のエル・パラシオ』 (25話)桜花は忠輔を賭けてアズミと戦うことになった、という話。  桜花とアズミ達のバトルを忠輔が止めに入ったりするけど、読んでいて忠輔が邪魔にしか思えなかった。 レフェリーとしても全然未熟な人間がレスラー二人に格好良い事を言ったり行動しても、説得力がないって感じで。 あと今回は、キャラクターの目鼻の大きさやバランスに違和感を感じた。 前からこんなだったっけ?

  • 『FULL SWING』 (13話)幼なじみの警官とやんちゃな女子高生との恋人未満な関係に事件が起きる、という話。  今回のヒロインに起きた事件に対して、どう主人公は動くのか、が話のキモだったわけだけど、主人公の警官が受身で、回りにフォローされ過ぎで、いまいち自分の力でフルスイングしたと思えなかった。 彼女に送った手紙の言葉も物語として説得力を感じられなかったし、犯人を見つけたのも偶然でしかないように思えたし。

      ところで、今までは原作の古い話を漫画家がたまに上手く調理して古くささを気にさせない作品に仕上げているいると思っていたけど、漫画家の演出の未熟さのせいで、より古く感じさせる作品になってるのではないかと考え直した。 間の使い方は上手いとは思うけど、涙の描き方や見せ方、感情が爆発した人間の描き方が上手くないように思う。 


  • 『バレてるよ!ジャンボリーヌ』 (13話)城ノ内の妹争奪戦に中嶋が巻き込まれる話。  特に目新しくもない極端な出来事の連鎖でしかないなあ。 登場人物の全てが脇役にしか見えないし話に興味が持てないのが残念。 

  • 『アサギロ』 (25話)薪割りで出会った近藤から、剣にも通ずる薪割りのコツとも言えないコツを聞かされた新八は、要領を得ぬまま、自分で実際に何度も割ってコツを体得した後、それ以上の剣の極意を求めて宇八と共に近藤のいる道場へ向かうのであった、という話。  新八が、薪を通して何を斬るのかという事を学んだり、近藤らの仲間に加わる切っ掛けが描かれたものの、読んでいて面白いという感じではなかった。 年を取り人格が少し変わってからの新八にいまいち魅力を感じないからかも。 むしろ不気味に言葉少ない宇八の方が怪しさがあって魅力がある。

  • 『イボンヌと遊ぼう!』 (26話)お客が少なくなった昔ながらの駄菓子屋でイボンヌが楽しむ話。  今回はいつものような現実とは少し違った光景ではなく、実際にあるような駄菓子屋を舞台に、駄菓子などが背景や小物として細々描かれていたのだけど、空想的な世界を描くよりはこういう実際にあるものを細かく描いた方がこの作者には合ってるように思えた。 想像力がいまいち豊かではないように思うので。 といっても、そんな細かく描いてはいないけども。 ところで、イボンヌが単独で行動する事が増えて通訳役のまじめの存在が軽くなってるなあ。

  • 『いつかおまえとジルバを』 (34話)前回すぐに記憶が戻ったにもかかわらず、今回話が始まった時にはまた記憶喪失になっていたジルバが、保護された家で記憶喪失と復活を繰り返す話。  本当にあらすじのままで、後は家主の青年がジルバのタバコを吸う写真をブログにUPして炎上したくらいか。 記憶が戻ったりなくしたりのくり返しが特に面白いわけでもなく、ページを埋めるために引き延ばししてうような印象だった。

  • 『妹先生 渚』 (10話)新人剣道部員の日高達と強豪校の柔道部員達との練習試合が始まった、という話。  短期間ではあるけど猛特訓をして足にマメが出来た状態で試合に出場し、渚の作戦通りに動きつつも必死に試合する右来田達と、その試合の熱気に乗せられて、試合を潰す気でいたはずの梶も気持ちが高揚してくる、という展開が、不良の心境の変化としてはありきたりではあるけど、熱く描かれていたと思う。 でも渚のキメ顔とかやっぱりちょっと苦手。 今回は32ページ。

  • 『よろこんでキャット』 (読切)主人公達が初デートに猫とふれあえるカフェに行くと、その店は高額な上に人間のような頭身の変な猫だらけだった、という話。 

    『妹先生 渚』が少ページになる可能性を見越してなのか、かんばまゆこの短編が『渚』の後に掲載されていた。 結局今回の『渚』は少ページにはならずに済んだけど、この読み切りは目次にも載っているので早い時期から載せるつもりではあったのだろう。

    で、この短編は、変な猫、という『ジャンボリーヌ』の城ノ内の大きな頭と同じで、変なルックスのキャラを作っとけばなんとかなるみたいな安易さを感じてしまった。 何かが起きそうで何も起きないし、持ち味の一つではあると思うけど説明的なセリフだらけでクドいし、なにより猫がどう変なのかビジュアル以外にいまいち伝わらなかったな。 8ページ。


  • 『リンドバーグ』 (25話)シャークとジャンゴが仲直りをして、攻撃をしかけてきた黒薔薇七銃士隊と戦う話。  シャークの過去話は、シャークが今こういう行動をしてる理由のほんの片鱗を見せただけで終わってしまっいかなりガッカリ。

    シャークを助けるために、ニットが、前に出した光る翼をもう一度出せとプラモを急き立てるのだけど、その理由が争いを止めるためではなく「シャークの手伝いをするため」ってのに違和感を感じた。 ニットが戦争を安易に肯定してしまっているのは空賊に感化されたって事で片付くだろうし、プラモを身勝手に急き立てるのもニットがプラモの気持ちを考えてないって事で、ニットとプラモの関係性を、シャークとディエゴの関係性と比較してニットの失敗と成長を描いていこうという事だとは思うけど、作中ニットのした良い活躍というものを全然読めていないので、ひたすらニットにイライラしかしなかった。


  • 『第三世界の長井』 (23話)長井の過去が語られたり新しい登場人物が出てきたりするのだけど、セリフと設定を変にこだわった今までと特に違わない分かりづらい話だった。 今回は7ページ。 『渚』が30ページ超えたと思ったらこっちが少ページになっていた。

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  • 『月の蛇』 (25話)扈三娘が翠華を助けるために梁山泊を裏切り花栄と対峙するが、花栄は仲間を2人引き連れていて苦戦を強いられるのだった、という話。  なんか戦いがピリッとしないなあ。 青磁もあっさり飛虎に翠華を託しすぎると思ったし、翠華も梁山泊を殺しまくってる事をすっかり忘れてるかのような危機感の無ささだと思えた。

  • 『信長協奏曲』 (25話)浅井に裏切られた信長に扮するサブローは即座に退却し、羽柴はそのしんがりを申し入れ、浅井は信長が退却した事を知る、という話。

    サブロー達が退却してる途中に数人の山賊に出くわしたのだけど、なぜここでこんなエピソードを入れたのかが分からないのだよな。 山賊は簡単にいなされただけだし、今まで作中省略されてきたサブローの前で人が殺されるというシチュエーションも、このタイミングで出してきたし、おそらく無意味なシーンではないはずなのだけど、サブローが、同じくタイムスリップしてきた元ヤクザの松永にピストルで助けられ、自分も昔警察の人にもらったというセリフを出してきたので、今後サブローの持ってるピストルが重要なモチーフになるので、今一度サブローが持ってるということを情報として提示したかったのかなあ。

    今回、話の最後で、宿泊してるサブロー達を誰かが襲おうとしてるような展開になってたけど、山賊はこの伏線なのかな。 それにしても目の前で自分の仲間が人を殺しても気に留めてない現代人のサブローにはやはり違和感を感じた。 何年も戦国時代で生きてるから感覚が変わったのかも知れないけれども。


今号の「仕事場みたいし!」はマツセダイチ。 編集のワタナベと野球版対決をしていたけど、相変わらず対象が漫画家じゃなくてもいいようなレポ漫画だった。

「ぼくの!わたしの!もぐもぐ一週間。」の4回目は福井アシビの食生活。 ほとんど1日2食でいなり寿司が多め。 あと鍋を3日続けて食べたりしていた。 細い食生活のようなのはやはり新人漫画家なので経済的に苦しいからだろうか。 福井の『マコトの王者』や『まねこい』は毎月2本立てなのが不思議だったのだけど、速筆な漫画家には2本立てにした方が毎月の原稿料が増えて経済的に楽になるから、という理由もあるのかなと思った。

ネットのニュースでチラッと読んだのだけど、小学館以外の複数の漫画雑誌で小説が連載されるようになるらしい。 ゲッサンも創刊から暫くは小説が連載されていて、最近の漫画誌では珍しいし面白い試みで、自分はありだと思っていたのに、その連載終了後は小説の新連載の話は全然なさげだし、結局ゲッサンは何がしたかったのだろうか。 この数年の創刊された漫画誌で先に小説を連載させていたというのにもったいない。 編集部的には小説の連載は意味がなかったという解釈なのかも知れないけど、一つの漫画雑誌を読み進める上でのアクセントとして小説はそれなりに機能していたと思うのだけどなあ。