2011年5月21日土曜日

ゲッサン18号(2010年11月号)

  • 『アイドルA』 (5話)休載したヤングサンデーに不定期連載されていた、1話完結形式の漫画との事。 人気アイドルが、自分とそっくりの幼なじみの男の子に扮して野球選手となり、アイドルと二足のわらじを履いて頑張る漫画。 ヒロイン側にとってかなり都合の良い設定になっているけど、男の子の方が自分の夢ややりたいことを見つけた時に2人の関係は終わるのかな? 『QあんどA』よりこちらの方を連載して欲しいなあと思ってしまった。 失礼な話、久しぶりにあだち充の漫画を読んで満足したっていう感じだ。

  • 『ハレルヤオーバードライブ!』 (17話)小雨のギターが壊れたので、まもなくあるライブのために、部室にある曰く付きのギターを借りようとするが、ハルが貸してくれない、という話。 今回背の高い新キャラ部員登場。 新キャラの楽器店の娘もいるのに、小雨が借りられる予備のギターが1つしかないというのに違和感があった。 他の楽器担当でも使わなくなったギターの1つくらいあってもおかしくないし。 あと、ハルはあっさりギターを渡しすぎと思うし、話がとんとん拍子に進みすぎて、何か物足りないなあ。 主人公が葛藤しなさ過ぎと思う。

  • 『とある飛空士への追憶』 (14話)ファナが敵機を撃ったおかげで助かった話。 今回、シャルルが敵を褒めたり、敬意を表して挨拶したりしていたけど、先月号での過信やミスがかなり印象悪いものだったので、あの事は反省してないのか、と感じてしまった。 シャルルの性格が前回と断絶してるというか、シャルルが物事を以前の考えと繋げて考えずに、その時々の思いつきだけで生きてるみたいに見えてしまう。

  • 『ここが噂のエル・パラシオ』 (18話)エル・パラシオのみんなで海へ行く話。 ほとんどファンサービスみたいな回で、忠輔が、桜花にオイルを塗ったり溺れたのを助けたりして2人の親密度が増すのだけど、2人の関係に対して陽向が反応するように描かれないので、これまでの陽向の嫉妬描写はなんだったのかと思った。

  • 『Waltz』 (13話)首折り男に助けられた苺原が、蝉に連れられ逃亡してる途中で帽子男に遭遇し、再び一人で逃亡することになった苺原の携帯に首折り男から連絡が来る、という話。

    どんどん話が錯綜してるけど、首折りは苺原とは完全に別人だった。 醜態ばかりさらしていた苺原に挽回のチャンスが来そうな気配。 今回蝉が、帽子男に拉致された一般女性の顔を殴ったけど、あれ必要なシーンだったかなあ。 この漫画はストーリー展開自体は面白いけど主人公の蝉には自分は魅力を感じない。

  • 『バレてるよ!ジャンボリーヌ』 (2話)頭の大きな城の内が今度はパーマをかけて登校して、また中嶋が目立てないという話。 1話よりは面白かった。 城の内と生活指導の先生との、城の内が甘えるような関係の描き方はいかにも女性が描いた漫画って感じだ。

  • 『QあんどA』 (18話)主要登場人物達が合宿に行ったら台風に見舞われた、という話。 行き当たりばったりな話の進ませ方で、かつ、予想されうる展開はことごとく裏切るという、なかなかシニカルな仕立て。 庵堂弟だけは遊歩の裸を見てしまって続く。

  • 『FULL SWING』 (6話)前回登場した元暴走族の青年が、上京して板前の修業をしながら、隣に住むアニメのキャッらクターデザイナー志望の女の子と親交を深める話。

    アニメーターではなくいきなりキャラクターデザインの仕事をしようとしていたり、メイド喫茶で働いて、業界の人間と接点を作ろうとしてる事にかなり違和感を感じた。 女の子が川に向かって泣き叫んだりするのも、原作者のせいか、展開として古いと思ったけれども、駄目な状態から諦めずに頑張っていくという話の締め方は良かった。 前回のエピソードの方が面白かったかな。

  • 『まねこい』 (35、36話)合宿に行く新幹線の中で、ホンチーがみんなのために作ってきた料理を、ホンチーが料理下手なのを隠すためにハルが一人で食べようとする話と、伊勢神宮に行く途中で、手を洗う時の作法を学んだり、奈波が、階段でパンチラを撮ろうとする旅行客からホンチーを守ったりする話。 ホンチーがみんなのためにごはんを用意するのを見越してハルも料理を作ってきたり、奈波がパンチラ撮影からホンチーを守って、その奈波をハルが助けたり、その迷惑客をリアや猫太郎が懲らしめたり、という出来事の連鎖や細かい気遣い合いが読んでいて面白かった。

    ただ、音痴にしても、料理下手にしても、それを隠そうとするというのは、弱点を反省して改良するチャンスを奪ってるとも言えるので、前回隠し事をすることに罪悪感を感じている事が描写されたホンチーと、隠し事をしようとするハルとの意識のズレが、問題として表面化するのだろうかが気になる。 ちなみに、35話の表紙の女性は近藤なのか、髪を下ろした富永先生なのか分からなかった。

    何となく、人間化したリアや猫太郎みたいなのを主軸にした北崎拓的なシリアス要素の強い恋愛漫画も読んでみたい気がした。

  • 『モリタイシサイン会レポート』 横山裕二による、モリタイシのサイン会レポ漫画。 このレポートはこの作者にしては珍しく面白かった。 ブラックな要素を入れた方が面白くなるタイプなのかな。 巻末の「仕事場見たいし!」もこれくらい面白ければいいのに

  • 『リンドバーグ』 (18話)シャークがティルダを人質にしてエスペランサの前から逃げる話。 生意気なティルダも強権を振るう姉のいるせいでか可愛らしくおしとやかになってて、本来はこっちが素なのではと思わせる。 でも散々強気に描かれてきたのにシャークに抱えられてる間もずっと大人しいのには都合が良すぎる気もする。 絵心優先の人かと思ったけど、群像劇が面白いなあ。 シャークを芯にニットを脇に話が展開されてると凄く面白い。

  • 『イボンヌと遊ぼう!』 (19話)イボンヌ先生が授業で使っていた指し棒を無くしてしまったので、みんなで、前回お披露目されたイボンヌの謎の住居を探索しつつ指し棒を探す、という話。 学校生活がネタ切れになってきたので今度からイボンヌの部屋をメインに話を作るのかなあ、という感じ。 謎の部屋を通してイボンヌの謎に迫ったりもしそう。

    個人的に隠し部屋とか好きなせいもあってか、今回の話は面白かった。 探してる最中に見つかるものは特に他愛もないものばかりったけど、物探しが途中からファッションショートとか別の目的にすり替わっていったり、マコだけ物探しの展開が分岐して、2つの組の行動が平行して描かれるのが今までのこの漫画とノリが違ってて意外で良かった。 最後には2つの分岐が一つに戻るかと思ったら別れたままで2つエンディングがあるみたいになってるのも面白いと。 既にギャグ漫画でさえないけど、ほんわかしたまま突き進んでいって欲しい。

  • 『BULLET ARMERS』 (5話)新キャラのブリーダーとイオンが戦う話。 今回から"壊し屋"にベイカー、"トレマ使い"にブリーダーとルビを振ったりせずに、ブリーダー、トレマ、のカタカナのみで統一したようだけど、そもそも前も書いたけど、この用語自体がすぐ意味に直結できる言葉を使ってないので分かりづらい。 こういう言葉遣いを通してしまう編集には疑問を感じる。 

    で、内容については小気味良くバトルが展開されたなって以上の印象は残らなかった。 ただ、新キャラの少年が意識のまだあったベイカーを撃とうとする事に関してだけれども、少年がその助かったベイカーに対して言った「まだ残ってやがったか」というセリフと、他の倒れてるベイカー達も生きているという状態は、この少年のトレマの攻撃力を曖昧にして緊張感を削いでると思う。 

    撃たれた他がみんな死んで一人だけ生き残っているというのなら、その1人だけ生かしたら、また仲間を連れて襲いに来るから殺さないと危険だと思うけど、他もみんな生きてるのなら、意識のある残り1人だけまた気を失わせても意味がないと思うし、何よりも「まだ残ってやがったか」は「まだ生き残ってやがったか」という言葉から生死を曖昧にするために変えられたセリフに思えるのだ。

    この少年は、自分の攻撃から意識のあるブリーダーを守ろうとするイオンに対して、甘さが命取りになるんだという話をするわけだけど、こういうシビアな考えをする人間が、ブリーダーを死なない程度に攻撃するとは思えないし、やったらキャラがぶれてしまう。 だから、こういう考えの少年なのに、彼が攻撃したブリーダーがみんな生きているというのは、作品とは関係のない子供に殺人を犯させない雑誌側の規制かも知れないけど、なら、殺さない理由にちゃんと作品内で説得力を持たせて欲しいのだ。 機械や通信機器を破壊すれば当分追ってこれらないとか、殺しはしないけど再起不能にする特殊な弾であるとか。 意志を持つ機械が人を襲い、既にたくさんの人が簡単に死んでしまう世界観なのだから、少年達のバトルでの生死の扱いも曖昧にしないで欲しなあと思う。

  • 『アオイホノオ』 (30話)ホノオが車の本試験にまた落ちる話。 ホノオの妄想で試験が大げさになるんだけども、話を薄く伸ばしてるだけのようで楽しめなかった。

  • 『ぼくらのカプトン』 (22~24話)主将の妹って初登場だったかな。 この漫画は強面の主将が実はただの俗物だっていうのが面白さの肝だと思うけど、ここの所、主将がイメージアップされないのでただの面倒な奴に成り下がって漫画自体の印象も悪くなってる気がする。

  • 『アサギロ』 (18話)土方と野盗のお頭との戦いの他方、沖田はふて腐れて道を歩いていた、という話。 野盗の頭が賢い奴で、土方との戦いが凄く面白かった。

    自分が斬った野盗達が立ち上がり、まだ生きていた事に驚いた土方を見て人を殺した経験が浅いと見抜き、土方が剣で脛を狙った事から侍じゃないと判断する、というお頭の洞察を通して読者に土方の人となりを教えつつ、血糊がついた刀では切れ味が鈍るという事実を加えてフィクショナルな話のリアリティを補強するというのが作中で無理なく描かれていて凄いなと思った。 沖田の刀の意味を、山南達と土方の2人を合流させる事で次回まとめて教えるのかな?こういうのもご都合主義ながら上手いと思う。

  • 『マコトの王者』 (18話)大地の中のマコトが地元の大阪へ戻って、元暴走族の仲間と再会しつつ妹と仲直りして、天堂の中のマコトは、関係がおかしくなった天堂とフィアンセやトレーナーの仲を改善しようと動く話。 今回はどちらも人間関係を良くしようとしてて面白かった。 相変わらず大地のお転婆な妹が子供っぽい感じが出てて良いと思う。 しかし前にも書いたけどなぜ2つに分けてコミックス化したかなあ。 どっちも外伝みたいなものだから片方だけ読むと作品の力が弱くなる気がする。 前回出てきた感じの悪い大地の親戚は、今回大阪が舞台になってからまだ出ていないので次回以降に波乱がありそう。

  • 『妹先生 渚』 (6話)引き続き、渚の生徒とその父親との確執の話で、その少年の複雑な家庭環境が、さらに少し明かされた話。 前回終わり際にあった、渚と少年の父親との対決は次回に持ち越し。 今回は8ページ。 スランプなのかなあ。

  • 『透明人間になった日』 (読切)父親が、息子の誕生日に透明になれる薬をプレゼントする話。 ゲッサン2010年7月号に『夢のつづき。』という短編が掲載された、田岡りきの短編。 父親のちょっとしたセリフがオチへの伏線になってたのがビックリした。 4コマ漫画みたいなオチだし、終わってから先の先が気になってしまう所もあるけど、8ページで良くまとまっていたと思う。 この人も連載で読んでみたいなあ。

  • 『よしとおさま!』 (18話)よしとお達の学校が学園祭の最中に新たな刺客が登場。 しかもその刺客はサビ丸の師匠だった、という話。 またサビ丸が苦しんで同情を誘うような展開。 久しぶりによしとおの妹が出てきたけれども、やはり絵がアッサリしすぎて魅力がどこかないなあと思う。 前も書いたと思うけども。 可愛いけど何か足りない。

  • 『忍びの国』 (18話)信雄が無門に殺されそうになった時に大膳が助けに現れる、という話。 前回、無門が大膳との戦いを中断して、信雄を殺しに行き、今回はその無門に大膳が追いついて信雄を守るたのだけれども、大膳は、無門が信雄の元へ行っている間に何人もの忍びを相手に戦ってるのに追いつくのが早過ぎる。 それと、無門も大膳も強すぎて戦いに魅力を感じない。

  • 『いつかおまえとジルバを』 (26話)ジルバ達が墓場でおかしな運動会の予行演習をしてると、捨て猫のマリーも参加したがるという話。 マリーがジルバを好きになってるけど、この設定っていつからだっけか記憶にない。 ジルバと人間の関係を描くより猫同士の話の方が面白いかも。 

  • 『月の蛇』 (18話)飛虎が王進の弟子と戦い、翠華は顔に火傷のある男に捕まってしまう、という話。 王進の弟子だった男が使った奥義は九天夢幻という技で、九という名のつく通りに漫画でも実際に9回の連続攻撃を、擬音も含めて表現しているのが描写が細かくて良いなとは思ったけど、8回突いて9回目に斬りつけるその、最後の斬りつけるタイミングが、相手の防御がどういう形態になった時に斬りつけるのか分かればもっと良かったのに。 あと、飛虎の勝ち方は力業で勝ったようにしか見えないのも残念だった。 捕まってピンチの翠華は、出かけている青慈が助けるのだろうな。

  • 『第三世界の長井』 (17話)今回は長井が心の声で少ししゃべった以外は言葉を発しなかったせいか、今までよりは読みやすかった。 けど、自意識過剰なヒーローや宇宙人がイロモノとして扱われるっていう大枠の展開が、相変わらず、たとえば長井の変な線のタッチや、読みづらい台詞回しや、時々出てくる覚える必要があるのか分からないやたら多い漫画の設定その他のせいで、全然集中して楽しめない。 何度も書いてる気がするけどもっとネタを減らして整頓して欲しい。

  • 『楽神王』 (18話)楽人達が協力して奏でた音楽と楽神王の力で巨大な楽神を倒した後、シンダカートの本拠地であるコペルキオへ行き、封印が解けたマラーニモと戦う、という話。 マラーニモの顔がエヴァンゲリオンの初号機っぽかったな。 楽人と礼音が安易に仲直りして以降はただ話を進めてるだけのように思えてしまって面白くないなあ。 次回マラーニモの奏者が現れて恨み辛みを吐きそうなので少しだけ期待。

  • 『信長協奏曲』 (18話)サブローが、足利義昭を将軍にするための朝廷との折衝を、本物の信長にしてもらった後、岐阜城に戻る話。 明智に扮した本物の信長が最後まで良い人なのか野心を剥き出しにするのかが、今後気になるポイントかな。 前は本物の信長がサブローの身代わりに、というか本来の信長に戻って死ぬかと思ったけど、明智も3日後に殺されなくてはいけないので、サブローは本能寺でタイムスリップして現代に戻り、本物の信長は明智のまま死ぬって感じなのだろうか。


ゲッサンは掲載順に最初から読んでいるのだけど、この号は、最初の『アイドルA』がそれなりに面白かったせいもあってか、楽に読み進めることが出来た。 あと今月号は「ぼくの!わたしの!もぐもぐ一週間。」の2回目が掲載されていた。 今回は森茶が担当。

別冊付録のお祝い漫画等の感想は書かないけど、面子的には物足りない気もしつつ、北見けんいちや、武論尊など、ベテラン陣の描いたものがあたたかい感じで良かった。 しかし、小学館はゲッサン以外であだち充40周年記念をちゃんとやったのだろうか。

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