2011年5月6日金曜日

ゲッサン16号(2010年09月号)

  • 『まねこい』 (31、32話)ハルの幼なじみである有井の機転で、冨永先生が拒否し続けていたハル達の部活旅行の引率を引き受ける、という話。 話の収まり方は悪くなかったし、主人公が自分の努力で何とかしようとするのはいいけど、こういうハルがピンチの時に猫太郎に助けてもらいつつ反省や成長をするっていうパターンが完全に捨てられているなあ。 これならこの作品に猫太郎はもういらないも同じじゃないか。 あと、旅行に行くか行かないかで話を何号も引っ張りすぎと思った。 毎度2話連載の漫画で4ヶ月もかけてやる話とは思えなかったし。

    この部活旅行に行く話では、新キャラの登場と有井の掘り下げをやっていたけれども、旅行の折衝を引き伸ばさないと描けないのはどうかと思う。 ってかもう世間では夏休み終わるし。 ところで、巻末の目次ページに載っているホンチーの画はかなり可愛いんだけど、これって本編からの転載なのかな。 だとしたらかなり前の連載と思うけど、ヒロインなんだし今の本編でもああいう風に可愛く描けばいいのにと思う。 『今日のあすかショー』は月スピの再録なので感想は省略。

  • 『QあんどA』 (16話)幽霊である庵堂兄の策略で、遊歩の兄がホラー大賞に入選したり、遊歩達が合宿で露天風呂を覗かれずに済んだりと、弟の入院が延長した以外は都合良く話が進んだ回。 毎度の事だけど、庵堂弟は話の中心にいるのに脇役同然で全然活躍してないよなあ。

  • 『いつか空から』 (2話)前回、両親から自分が宇宙人とのハーフで、悪い宇宙人と戦え、と言われた主人公が、友達のピンチを助けようとしたら、なぜか自分が若い頃の母親に変身してしまい、逆に友人達に助けてもらうはめになった、という話。 今回は結構面白かった。 宇宙人が侵略や危害を加えに地球へくるのではなくいたずらをしにくる事とか、今現在の姿ではなく若い頃の母親に変身してしまうのは、年齢をイメージしないと自分と同じ年齢の人間になってしまうからだとか、そういう設定のひねり方がちょっと良かった。 ただ、セリフで「軽い」って言葉を使い過ぎだと思った。 前回全然無かったのに。

  • 『FULL SWING』 (4話)介護施設で働く陽子といい加減な生活を送る彼氏が、陽子の職場の青年を通して仲直りするという話。 月並みな話なんだけど、作品の間っていうのか、雰囲気が悪くなかった。 この漫画家は登場人物にうっすら影を感じさせるのが味だと思うけど、それが今回上手く言った感じ。 もう少し仕事や同棲に生活感があれば更に良かったかも。

  • 『信長協奏曲』 (16話)信長の妹の市が浅井長政との縁談を嫌がっていたのを、顔と正体を隠したそっくりさんじゃない本当の兄である信長の助言によって受け入れるという話。 自由奔放な市が凄く魅力的で良かったんだけど、サブローは信長の天下統一のために他人を道具としか思ってないような感じがあってちょっと引っかかった。 他人の心の機微に対しても悪い意味で大ざっぱというか、史実通りに話を進めるために信長に扮したサブローの株を下げてしまった感じがする。 それにしても市は美人に描けてるとは思えないのに本当に魅力的に受け取れて凄いと思う。

  • 『とある飛空士への追憶』 (12話)戦闘機が14対1で圧倒的にシャルル達の不利だったにもかかわらず、敵のエースが仲間を下がらせ1対1の勝負を挑んで来たので何とかなりそうかも?、という話。 今回も敵がシャルルを絶賛していた。 面白いんだけど、漫画が面白いと言うよりもセリフ?が面白いという感じ。 今回は戦闘機がかなりマシに描けてたけど本人が描いたのだろうか。

  • 『ハレルヤオーバードライブ!』 (15話)タンポポがメタりかに入部したり、部長を好きになったりした過去のいきさつ話。 女の子達が可愛く描かれてたけど、キャラクターデザインのせいもあってか全体的に登場人物の表情の変化がハンコ顔気味で単調に感じた。

  • 『Waltz』 (11話)苺原が首折り男に、匿われた家から一週間外出するなと言われた後で、自分を学校で虐めていた相手から誘いの電話がかかってきたり、他方、蝉は殺し屋の仕事の続行を決意したり、チクタクに首折り男の殺害依頼をした帽子卿は異常犯罪者で新たに女性を襲ってしまう、という色々交錯した回。 いやあ漫画としては面白いんだけど、何度も書いてるけど蝉のリアクションが苦手だ。 男に対して女性的な反応をさせるのが読んでいて気持ちよくないのだよな。 それにしても首折り男は本当に良い人?かも知れなかったり、色々重層的に話が展開して先が気になって良い感じだ。 関係ないけど、こういう登場人物達が別々の場所で同時展開するような構成を『まねこい』でも読みたい。

  • 『妹先生 渚』 (4話)夏休み中に、渚のクラスの日高が大人に対して反抗的だった理由が明らかになる話。 相変わらず登場人物達の感情表現がちょっとオーバーに騒がしく感じてしまい、作品を読むのに集中しづらい感じなのが勿体ないかも。 今回もページ数が少ないけど先々月あったような話の進み方に対する違和感は感じなかった。

  • 『GOVERNMENTS』 (読切)賞金稼ぎ?の話。 例によって、『妹先生渚』が今月も22ページでその後にこの短編があった。 もちろん、ゲッサン14号と同じく巻末の目次にこの漫画は載って
    いないので、『妹先生 渚』の少ページ分の穴埋め掲載かと思われる。 今回も、編集長代理の読み切りへの紹介文は無し。 

    8ページにしては纏まってたかなあ。 ただ全ページを使って主要人物2人のパーソナリティを説明していて、その説明と物語の進行を上手く絡めてたのは良いけど、賞金稼ぎ?の2人の行動がスムーズに運びすぎて緊張かがほぼ無かったのが気になった。 画はこなれた感じで安定してるんだけど、画も物語も既視感を感じてしまい特に印象には残らなかったかな。 新人なのでもう少し新鮮味が欲しかったというか。 そのうち連載化しそうな感じがしたけどどうなるんだろうか。

  • 『BULLET ARMORS』 (3話)イオンが新しい街へやってきて、トレマ掃討作戦に巻き込まれたり、旅をするトレマ使いのセレナに出会う話。 壊し屋に襲われたり色々な事が起こるのだけどなんかピンと来なかった。 相変わらず背景を描かなすぎだったりキャラを雑に描いてる所があったり成長途中という感じ。 これからジャンプ漫画みたいに仲間がどんどん増えそうな予感。

  • 『アオイホノオ』 (28話)ホノオが本免許試験をしている頃、庵野・山賀・赤井達は山賀の妹の来訪と、SF大会からの仕事の依頼とでバタバタし出した、という話。 ホノオのエピソードを簡潔にして庵野達のエピソードをじっくり描けばいいのに。 自動車免許編は自分的にかなりだれてきた。

  • 『よしとおさま!』 (16話)戦後の孤児のような生活をするよしとおと一緒にサビ丸が暮らしだしてからよしとおの記憶が消されるまでの記憶を、現在のよしとおが思い出し、目覚めるとまた忘れてしまった、という話。 先月のサビ丸の冷たい表情に関係したような展開はなくて、あれはなんだったのかと肩すかしを食らった気持ちだけど、今のサビ丸がよしとおの事を本心ではどう思っているかは今後の持ち越しなのかな。 サビ丸に同情させようという方向は自分的に好きじゃないなあ。

  • 『ぼくらのカプトン』 (16~18話)まず16話は、雨に濡れた女子高生のブラが透けているのを見たくて、主将が雨の日にわざわざ自転車で通学した、という設定が、これ歩いても見れるしんぜあえて自転車なのか分からなかったし、17話の、後輩が部活に呼び出されたら主将以外誰も来てなかったってのは何回やってるんだって話で、しかも、くり返しの面白さがあるわけでもないし、18話の、綺麗な女の子の飲みかけのジュースを飲みたいって話でマネージャーの飲みかけをみんな嫌がるのはオチのひねりは良いと思ったけど、読者に女子マネージャーがクラブの男子に恋愛感情を持ってるというミスリードが弱いしで、全体的にいまいちだった。 もしかして自転車なのは、ブラが透けてる女性とを捜し回るためなのだろうか?

  • 『アサギロ』 (16話)土方が3人の野盗のうち1人を殺したら、その野盗はもっと大人数の集団の一味だったという事が発覚して、集団で仕返しに来られた土方は逃げるのだけど、野盗の親玉が凶悪な人間で捕まったら本格的にやばそうだという事で続く、な話。

    話は面白いけど野盗との斬り合いがいまいち迫力無くて残念。 刀の構え方や斬り方は、勢いで自分の足を斬らないようなポーズだったように思うけど、事実に基づいて作画してるのかな? 
    それにしても、斬られた仲間の手から血を浴びるように飲んだりとか、野盗の頭が残忍だったりとか、脇役をこんな残酷さで妙に目立たせて作品のバランスは大丈夫なんだろうかと思ってしまった。

    ところで、作者が巻末のコメント欄で、そのコメントの締めきりを愚痴っていた。 色んな雑誌で時々漫画家がコメント欄に対する愚痴を書いているけど、それは読者には関係ないんで内々で処理して欲しい。

  • 『いつかおまえとジルバを』 (24話)猫一行が海へ行く話。 なんだけど、地球は丸いかどうか長老とジルバが言い合うだけなので、もっと海にちなんだネタがあっても良かった気がした。 猫達が海へ行った感じがしないっていうか、海から連想して出来上がっただけのような話っていうか。

  • 『ここが噂のエル・パラシオ』 (16話)陽向が忠輔と桜花の関係に気を病んでいたせいで、練習中に怪我をしてしまい、でも立ち直る、という話。 長々落ち込まれても困るけど立ち直るのが簡単すぎると思った。 話として何も盛り上がらない立ち直り方だったし。 素人の忠輔なりにプロレスを勉強してるっていう事と陽向の立ち直りを、もっと関連付けられてたらいいのに。 ところで、今月の扉絵のカラーだけを見ると、まるで面白そうな漫画に思えてくる不思議。

  • 『マコトの王者』 (16話)大地に入ったマコトがベルトを奪取し、天堂に入ったマコトの練習中にハッパをかけに来る話。 コンパクトに纏めるには仕方ないのかも知れないけど、マコトの勝ち方があっさりし過ぎだし、大地の妹達との関係をもうちょっと描いて欲しかったかなあ。 天堂に入ったマコトの方は、練習シーンのブラジャーネタが、読んでいておもしろいと思えなかった。

  • 『忍びの国』 (16話)天膳が平楽寺に攻め込み、お国に危機が迫った直前に無門が助けに来る、という話。 大きな話の流れとは別に、今回の話のキモは、お国が自分の弱さを知り夫となるべき無門の強さを知る、という所なんだけど、お国は簡単に助けられてしまうし、無門に都合良く運び過ぎなのが展開のいまいちさになってると思う。 何度も書いてるけど、無門が無敵過ぎるのでハラハラしないし。 あと兄弟の死をきっかけに伊賀から寝返った忍がやっと出てきたけど、脇役扱い過ぎて悲しい。 ゲッサンのサイトのコメントで、作者が4巻で完結と書いていたので、全20話くらいになるのかな?

  • 『イボンヌと遊ぼう!』 (17話)怖がった事のないはじめのために、みんなでお化け屋敷をして怖がらせようとする話。 ありがちな話をありがちにこなしてしまったって感じ。 イボンヌの仲良しグループを見てると、面白いことをする才能のない人達が一生懸命面白いことをしようとして毎回失敗するような切なさを感じてしまう。

     今回の話と関係ないけど、この漫画がほのぼのしてるのは、男女のグループ内に恋愛要素が入ってこないからなのかなあと思った。 今まで読んできてイボンヌが先生である必要性は無いと思えるのだけど、もしイボンヌも生徒だったとすると、別の明らかに大人の先生が出てきたり、はじめとイボンヌの関係に恋愛めいた要素が出てきたりして作品やグループの雰囲気が変わるのかな。 いや変わらない気もする。

  • 『楽神王』 (16話)楽人が連れてこられた異世界で、音楽に何があったかや、シンダカートがどんな暗躍をしていたかが語られて、そんな最中に礼音の助言もあって、楽人が楽神王を呼び出すことを決意するという話。 毎回だけど、顔が歪んだり目鼻立ちのバランスが良くないんで
    もうちょっと丁寧に描いて欲しいと思う。 あと、ヴェリタの部下が久々に出たと思ったら、ドメーニカの超巨大楽神の攻撃で辺り一体ごと消し去られてしまったのだけれども、楽人達のいる場所の風景が全然描かれていないので、部下達がどの方向からやって来たのかや、超巨大楽神がその場所のどれくらいの広範囲を攻撃したかという攻撃力の凄さなどがよく分からなくて困ってしまった。 背景を略した顔のアップやバストくらいまでのコマが多過ぎるし。 それにヴェリタがパルーソに簡単に文句言われたり、今までの重く恐ろしいキャラ作りは何だったのかと言わんばかりの安っぽいキャラ化してしまって悲しかった。 相変わらずドメーニカ側には人の気配がしないし、話や話の流れ自体は面白いと思うけど、絵としての見せ方がかなり物足りなかった。

  • 『月の蛇』 (16話)若い頃の飛虎が、王進の下で腕を磨く最中、蛇矛にまつわる物語が明かされる、という話。 飛虎の過去編終了。 蛇矛にまつわる言い伝えの中の、強さを求める2人に蛇矛が与えられた事の意味がよく分からなかったけど、後のエピソードで明かされるのだろうか。 強さに見合う武器が無くていつも武器がすぐ壊れてたとかなら分かるのだけども。

  • 『第三世界の長井』 (15話)実写画像を出してきたけど、少しも面白さに繋がっていない気がする。 作者の父親とかなのだろうか。 今回も言葉尻を色々いじってて読みづらかった。

  • 『リンドバーグ』 (16話)シャークが交戦し、ニットがゴールに差し掛かったその時、巨大飛空船と共に女王エスペランサ登場、という話。

    こんなに漫画のコマ運び上手かったっけ?ってくらい良かった。 前回と比べたらゴチャゴチャせずに見やすくなった気がする。 でも遠景ぎみのコマになった時に主要キャラなのか脇キャラなのか分かりにくかったり戦闘時の空間が分からなかったりは相変わらずで残念。 あとティルダの顔のバランスがおかしいのが美形キャラだけにもったいなかった。 今回もシャーク側をメインに話が進んだけど、エスペランサが現れて、シャークがエスペランサの下を去った理由が次回明かされたりするのかな?


ゲッサンルーキーとして何度か短編読み切りを掲載されていたかんばまゆこが次号から新連載とのことだけど、かんばまゆこはルーキーの中では画がかなり下手なものの、一番独創的な漫画を描いていたし、ギャグ漫画としてそれなりに面白かったので妥当な連載決定だと思う。

今月から巻末で、「ぼくの!わたしの!もぐもぐ一週間。」という、漫画家の一週間の食事事情を簡潔に描いた1ページ連載が始まった。 ゲッサン10号に一度だけ掲載された画家のレシピを紹介する「ちょっと腹ごしらえ。」のコーナーは再開される事がなかったけど、それの別アレンジ版みたいな連載だろうか。 まあ、自炊しない人や、オリジナル料理の無い漫画家ばかりだと、レシピを紹介する連載は成立しないだろうし、一種の日記形式なら連載として成立しやすいのかな。 でも内容はただの簡単な食事日記なので読んでいて特に面白いとは思えなかった。


というわけで、ゲッサンの感想も再開。
この号の感想は、ちょっと記憶が曖昧だけども、大分前にメモをし終えていたので、改めてこの号のゲッサンを一から読み直しはしなかったけど、次号からまた新しく読み始めるので、半年以上の空白が何か感想に影響を与えるかも知れない。 まあ感想を書くのは義務とは違うのだけども。

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