2010年8月18日水曜日

ゲッサン15号(2010年08月号)

今月号はなぜか、そわそわして前半を急ぎ足で読んでしまった。

  • 『Waltz』 (10話)岩西の人生哲学が語られつつチクタクに契約を持ちかけたり、他方では、苺原にそっくりの男が苺原の振りをしてバイト先の横暴な店長をいなしたり、バイトを止める旨を伝えたりする話。 とうとう首折り男が登場。 たしかに苺原とそっくりだけど、これが現実の出来事なのか、実は苺原が携帯に独り言をしゃべっていて脳内回想してるだけなのかまだ分からないと思った。 長髪の男が首折りなんじゃないかって前に書いたけど、よく考えたら苺原そっくりという特徴があったんだよな。 でも長髪の時は変装してた可能性もあるといえばあるし。


  • 『とある飛空士への追憶』 (11話)シャルル達が島を出発した途端、敵の罠にはまり危機に陥る話。 冒頭で敵側の優秀なパイロットがシャルルを褒めるんだけど、原作通りとしても、このタイミングで主人公を持ち上げるシーンを入れるのは自分的に盛り下がった。 持ち上げなくても優秀なのはちょくちょく描かれているのであえて目立つように描くのをくどいと思ったからだ。 あと、シャルル達が敵に挟み撃ちされた時に機体を横回転させて逃げたけど、引きの全体の絵が少なく自機のみのコマが多いので、どういう位置からどんな方向へ逃げ方をしたのかなどが分かりづらかった。


  • 『QあんどA』 (15話)庵堂弟がよそ見をして足に怪我をし入院。 忍がお見舞いに行くために遊歩に庵堂弟について色々聞くのだけど、遊歩は嘘を教えて話がややっこしくなりそうな予感、という話。 やっと気づいたけど、この漫画ってあだち風ギャグ漫画なのか。 ギャグ漫画という視点で見ればこの漫画の現状を理解できる気がする。 面白いかどうかは別として。


  • 『ここが噂のエル・パラシオ』 (15話)エル・パラシオのみんなで夏祭りに行くけどまたプロレスしたりドタバタする、という話。 忠輔と桜花と陽向の三角関係の話は陽向の心の動きだけ進んでるなあ。


  • 『いつか空から』 (1話)新連載。 主人公の高校生が実は宇宙人で、他人に変身する能力がある事が両親の口から発覚する、という話。 正直面白いのか面白くないのかよく分からなかった。 雑誌の表紙を飾った連載の1話目としては面白さや気がかりとして引っかる要素が何もないのが心配になる。 この作者は主人公の男の子が女になる的な話は既に一度描いてるんだけど、設定に思い入れでもあるのかな。 女装男子ブームに乗っただけだったりして。 個人的にはこの漫画家は、「今日から俺は!!」を読んで以来吉田聡を薄めてライトにした漫画を描く人っていう印象が良くも悪くも拭えなかったんだけど、この漫画は大分違うし、10数年読まない間に作風が変わったのかなと言う気もした。


  • 『ハレルヤオーバードライブ!』 (14話)合宿最後の日の練習で、小雨が自分の隠れたポテンシャルを麗と冬夜に見せつける回。 麗は小雨の歌と演奏を間近で見て惚れ直すわけだけど、冬夜は小雨の能力がハルの影響ありきの力であると見抜いてて、冬夜もハルのことは好きだけど、 小雨のように自分の気分で演奏能力が簡単に上下しないレベルにいるわけだし、ハルという下駄を無くした時に小雨はどうなっていくか、が次のこのバンドとしての山になるのかな。

    ところで、演奏が良い感じの時にタイトルと話数が見開きで入るという演出は、この漫画で既に一度やってるし、二度目はさすがにくどいと思った。 あと、小雨が月に向かって「はぁー」ってため息をつくコマが、吹き出しがトーンにかかって見づらすぎて完全に失敗だと思う。


  • 『BULLET ARMORS』 (2話)トレマ狩りをしている街に来たイオンが、自分がトレマ使いとバレて街の人間に嫌われるんだけど、街の子供を助けた事で街の人間と仲直りし受け入れられる、という話。 ありがちな話でそれなりに面白くはあったけど、トレマ使いが嫌われてる理由とか、避けられてる空気感を毎回もっと出さないと、トレマ使いのイオンと周りの人間の関係性がいまいちピンと来づらいんじゃないかと思った。

    あと、普通の言葉にこの漫画世界の専門用語をルビとして振ることで、専門用語を分かりやすいようにはしてるとは思うんだけど、トレマとか、ブリーダー、ベイカーっていう用語が一目見て何なのかうっすらでも分かるようなネーミングじゃないのが、この世界に入りづらくさせてると思うしもったいないと思う。 ベイカーやブリーダーじゃなくて、別に壊し屋、トレマ使いでもいいのでは。 いやトレマも分かりづらいんだけども。

    それから、ペンや紙を変えたのかPCを使ったのか分からないけど、妙にに絵が上手くなってる気がした。 線を整理しただけ? で、背景で妙に他より上手いのがあるっていうか、雑ではなく細かく描いている自然の風景が幾つかあるんだけど、あれも本人が描いたのだろうか。 


  • 『妹先生 渚』 (3話)前回の続きで、渚を気に入ってる女子生徒が、なんだかドタバタしてるうちに立ち直って父親とも仲直りする話。 漫画ならではのマジック。 その女子生徒の父親が海へ落ちるギャグは面白かったけど、全体的に喜怒哀楽の表現がオーバー気味な気がする。 作者の持ち味ではあるのだと思うけども。


  • 『ぼくらのカプトン』 (13~15話)急に女子マネージャーが出てきたけど前に出たことあったっけかな。 実際は分からないけどテコ入れだと感じた。


  • 『FULL SWING』 (3話)ボクサーがワガママな女の子に振り回されつつも失っていたやる気を思い出させられる的な話。 今までで一番面白かったかな。 でも話をただコマにして順番に描いてるだけのような、味わいも間もあまりない漫画だった気がする。 今までのような原作を漫画に落とし込むのに苦労したって感じはしないんだけど、漫画がスムーズに進みすぎて読後の印象がほとんど残らないような感じ。 いや残りはするんだけど薄かった。


  • 『よしとおさま!』 (15話) よしとおが村長の家に仕掛けられたガスを浴びてしまい、自分でも忘れていた過去の世界になぜか迷い込んでしまう、という話。 その過去の記憶の中で、よしとおとサビ丸が幼い頃既に出会っていたって事が発覚するけども、前回、ふとした時に普段のサビ丸の口調がよしとおに接してる時と違う事が示されて、今回、よしとおの過去の光景をサビ丸も見てしまい、最後にサビ丸の態度に変化が起こるというふうに繋がっている感じがあったし、これをきっかけにサビ丸のよしとおへの接し方が変わるのかな? でも、またよしとおがサビ丸の気持ちを理解しなきゃいけない的展開になる予感。


  • 『忍びの国』 (15話)無門達が戦に参戦することで、一気に伊賀優勢になる、という話。 無門がひたすら強く、お金に目が眩んだ伊賀勢も強い、という事が示され続けるんだけども、無門と対立構造にある信雄は魅力が無く簡単に劣勢になるし、無門に弟を殺され信雄側に付いた忍びは全然描かれず空気化し、敵ではあるけど伊賀側と直接の対立軸にはいない天膳ばかりが目立つので、話は盛り上がってる事になってるんだけど、人間関係を軸に読むと全然盛り上がらない感じ。 同じようなことばかり言ってる気がするけど、個人的に苦手という感情を置いても、無門って主役の顔じゃない気がする。


  • 『アオイホノオ』 (27話)前回の自動車教習所の続きで、ホノオが本試験に落ちるという話。 このエピソードがホノオを描く上で必要なエピソードとは今の所思えないなあ。 高橋留美子の漫画の分析と教習所のエピソードをタイミングという言葉で繋げているのだけど、漫画に対してのタイミングという言葉の使い方がこじつけにしか思えなくて違和感がかなりあった。


  • 『まねこい』 (29、30話)歴史研究会の旅行へ行くために、引率を副顧問にお願いするのだけども、面倒がられて断られたので、副顧問の弱みをネタに引率してもらおうとする話。 29話の表紙はホンチーと奈波の水着姿だけどもヒロインとしては魅力的に思えないなあ。 このところ登場人物が増え猫太郎がおざなりにされてるし、29話も教師の新キャラが出てきて、今回の2話とも、その教師と少し前に新登場した崎山とのやり取りを軸に話が進むんだけども、崎山というキャラは急にポッと出てきて印象も魅力も薄いし、そんなキャラと今回の新キャラ教師とで話を作られても興味を持てなかった。 というか、崎山は今回の新キャラ教師と絡ませるために前もって出てきたようなキャラって感じもする。 で、新キャラの女教師なんだけども、これが公私混同したただの嫌な人間にしか見えなくて、出してきた意味がよく分からなかった。 あと、クラブの部長の新撰組マニアっぷりなんだけど、新撰組のメンバー名で部員を呼ぶのが話を無駄にややっこしくしてるようにしか思えないし特に面白い要素には思えない。 まあ今更だけども。 次号はゲッサンの表紙が『まねこい』との事だけど、内容がいまいちになっている今、表紙をやるのは逆効果な気がする。 表紙にするのが遅きに失したと思う。 部活メインになってから自分の中で『まねこい』への興味はどんどん下がっている。


  • 『アサギロ』 (15話)沖田が土方に興味を持ち、試合に誘う回。 今回は事件が起こる前のネタ振り回という感じで話は可も不可もなくだった。 沖田の刀がチンピラ三人組に盗まれるんだけど、チンピラの1人が刀を地面に放り投げた後、それを土方が拾うシーンがコマの流れとして急な感じがして、漫画内の空間や時間感覚が分かりづらかった。 刀を捨てたコマに「馬鹿侍に持たせておくにはもったいねえ刀だ!」というセリフがあるのに違和感を感じた。


  • 『怪、刺す』 (読切)女友達が2人旅行でホテルに泊まったら、温泉で不思議な現象に出くわす、という話。 これまで短編の記事に挿絵が幾つか入るという形だったものが、今回はコミックス化という事で漫画として登場。 実話告白物のセオリーにのっとって、原因不明の投げっぱなしENDなんだけども、投げるにしても、事情を知ってそうな仲居さんに話を聞かないで終わるっていうオチをずるく感じてしまった。 登場人物が、避けられない理由ではなく自分達で謎を謎のままにしてるからそう思ったんだと思う。 でも怖くて聞きづらいというのは分かるんだけども。


  • 『マコトの王者』 (15話)天堂に入ったマコトがトレーニング開始と、大地に入ったマコトが試合で逆襲を開始した回。 マコトがジョーンズにカウンターを入れた見開きなんだけど、右に説明的なコマを3コマ入れたせいで肝心の見開きのカウンターパンチのインパクトが薄れてしまったと思う。 見開きでバーンってハッタリを効かせる前にカウンターをした理由を読まされてしまいパンチがヒットしたインパクトが数テンポずらされるっていうか。 あと、天堂のトレーナーである町村が、顔を赤らめたり女性っぽいリアクションをしてたのが、今回の女性用エプロン着用で、作者の意図だという事が分かった。 こういうのって本筋への興味を散漫にさせかねない余計な要素だと思うのだけども。


  • 『楽神王』 (15話)兄弟対決が終了した途端、戦争に非協力だったはずのシンダカートが大挙来襲して、ルーチェ側とドメーニカ両方に攻撃をしかける。 そんな最中にドメーニカの王であるヴェリタが部下を引き連れシンダカートに反撃、という話。 兄弟が和解する前半は、死にかけた人も出ているのに戦争がぬるい兄弟喧嘩に収斂してしまったな、もう盛り下がってくばかりだな、と思ったんだけど、両軍を潰そうとシンダカートがやって来たり、影の主役っぽいヴェリタが遂に参戦、という展開が、話の流れとしてそんなに意外ではないものの、漫画的には予想外の話の盛り返しでびっくりした。 これは案外それなりに盛り上がって終わるかも。 ただ、シンダカートが大群で来たのに目立ってるのは1人だけだし、攻撃に集団で制圧しようとする迫力がいまいち感じられないし、ドメーニカの方も、ヴェリダは良い感じで怖そうだし、楽神のバトルが見やすいのは良かったけど、背景がシンプル過ぎで戦いの緊張感を感じられなかったのが物足りなかったし、あと、誰がどの辺で戦ってるとか空間を分かりやすくして欲しかった。 それにしても礼音と一緒に来たオルケストラは完全に空気になっていて、礼音とギスギスした時の盛り上がりはなんだったんだろう。 群像劇がいまいち上手くいってなくてもったいない。


  • 『月の蛇』 (15話)飛虎の過去編の続き。 強い男に完敗し鼻っ柱を深く切られた飛虎が、その男に殺されずに新しい名前を与えられ違う人生を生き始めるっていう話。 前回も書いたと思うけど、飛虎の過去はあっさりし過ぎていて、背景を描いたことで逆に薄い人物になってしまった感がある。 牢の中で寝ころんでいる飛虎の絵がシンプルに描き過ぎて軽いのも、敗北や死ぬかも知れない感じが伝わって来なくて勿体なかった。


  • 『イボンヌと遊ぼう!』 (16話)みんなで花火をして遊ぶんだけど、風のせいで花火を全部焼失してしまい、それをイボンヌが機転を利かせて場を収める、という話。 それぞれのキャラの個性が一応活きてたし、悪くはないんだけど、もうちょっと盛り上がる何かがあればいいのに。


  • 『第三世界の長井』 (14話)今月号は9ページ。 新しい敵などが出てきて長井がおたおたするっていう話。 博士のセリフはそれなりに面白かったけど、詰め込みすぎて間がもっと欲しい感じ。 ところで帽子の男は、話の進行と説明をしてるだけでさっぱり面白みがないなあ。ふと、バッファロー吾郎が大昔にオールザッツ漫才でやっていたコントを漫画化するとこんなゴチャゴチャした感じになるのかなと思った。


  • 『リンドバーグ』 (15話)レース決着の回。 もっとレースの話を続けるかと思ってたけどあっさり終わったなあ。 ニットは怪我をしたリンドバーグのサポートにプラモを使ってなんとか完走するんだけども、今回の話はシャークや他のキャラの動きを追うのがメインで、ニットのレースを再開するシーンは全部省略され存在感が薄かったのが主役として気になった。 シャークがいきなりエスペランサを殺そうとしたり、シャークの過去が少し描かれていてそういうのは面白かったけど、予想通りにしても、ルゥルゥは嫉妬深く勝ち気なキャラとして描いて来たのに簡単にニットの味方になり過ぎだと思う。 ティルダもニットと簡単に仲良くなりそうな気配だし、この漫画は人間関係が重層的になりそうで希薄にしか描けてないのでは。


  • 『いつかおまえとジルバを』 (23話)ジルバがブラジャーを拾って喜んでたんだけど、仲間の子猫を助けるためにブラジャーが犠牲になってしまうという話。 無難にまとまって可も不可もなくという感じ。 


  • 『信長協奏曲』 (15話)ふとした失態から信長(に扮するサブロー)が明智や沢彦和尚に出会う話。 いや最高に面白かった。 まさか明智光秀が信長とそっくりの顔立ちで、しかも明智に扮して現れるとは。 この発想は予想していなかった。 本物の信長がどうなるのかずっと気になってたんだけど、こういう方向で現れるのは本当に驚かされた。 それ以外の信長(サブロー)と帰蝶のデートのちょっとしたやり取りに醸し出る帰蝶の愛情とか、サブローの相変わらず脳天気な性格の面白さとか、何気ない部分も良い感じだった。 本物の信長は今も体が弱いようだけど、もしサブローが本能寺で明智と入れ替わっても、歴史的に見て明智もすぐ死ぬわけだし、明智は生き延びていた説で話を進めるんだろうか。 気になる。 しかし帰蝶は本物の方と一緒に殉じそうだなあ。 今回はもの凄い大きな転換点の話だったけど、これからかなり楽しみ。


今月号には、巻末に、「連載陣のしてみる日常。」が久しぶりに復活して、その代わり?「ゲッサン編集部こぼれ話」が無かった。 「こぼれ話」は、いつも先々月のプレゼント当選者発表の下半分に掲載されているのだけど、今月号は、先々月が1周年記念でプレゼントが多かったのか、1ページ全部結果発表だった。 ページの都合上仕方ないのかも知れないけど「こぼれ話」もできれば続けて欲しいなあ。 あと、今月号はめずらしく?新人の短編が掲載されなかった。


あずまきよひこも参戦!月刊サンデー“ゲッサン”に勝機あり? (日経トレンディネット)
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20090421/1025609/?ST=life&P=3
ゲッサンは「創刊から3年後に単年度黒字を目指している。」との事で、今は2年目に突入してるけど、このままでは黒字化はかなり難しいんじゃないかと思う。 だから3年後に休刊するか、編集長代理が更迭されて中身がごっそり入れ替わりそうな気がする。 3年目に超人気漫画家が連載開始するなどの勝算はあるんだろうか。 ってか『ミル』や『ザワさん』はゲッサンの方が合ってると思う。 何度も同じような事言ってるけど。

まだ買ってはいないけどもう次号が発売されてしまってるし、今回も更新が遅くなってしまったな。

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