2010年7月27日火曜日

ゲッサン14号(2010年07月号)

  • 『BULLET ARMORS』 (01話)ゲッサン新人賞で準グランプリを受賞した後、読み切りの短編を何度か掲載された森茶の新連載第1話。 前に掲載された読み切り作品『BULLET ARMer』の連載化なのだけど、今までの短編よりは面白くなってた。 行方不明の父親の扱いがうっすらハンター×ハンターみたいだけど、始まりとしては悪くなかった。 ただ、絵がまだまだ雑な所もあって、レッズとイオンが会話を続けながら外から室内へ場面が変わるシーンがあるんだけど、会話中テンポが変わらないのと背景がほぼ見えないので、いつ部屋に切り替わったか分かりづらかった。 読み切りの時には、イオンが機械に興味を持った理由が、工場で働く姉が、工場の部品をたまたまイオンに見せたからだったりして、イオンの性格を育んだ背景や家庭の生活感が描かれている所に魅力があったのだけど、新連載ではそういうのが無くなっていて少し残念だった。 メカに興味のある理由はいずれまた別の理由として描かれるのかも知れないし、まあこれからに期待。 しかし相変わらずレッズ・・シンスタントっていう名前は覚えづらいと思う。


  • 『QあんどA』 (14話)大内忍の誕生日なんだけど、高級マンションに住む大内の家の隣が小笠原の家で、大内の下の階が霊感の強い黒隅、そして大内の父親は、遊歩の兄が小説を持ち込んでる雑誌の編集だったり、庵堂兄の弱点が香取線香というのが唐突に発覚したりと、かなり大味でご都合主義な回だった。 テンポと間が良いのでそれなりに読めるけど、目的へ話を進めるための下準備がまだ続いてるような感じだった。


  • 『妹先生渚』 (2話)渚先生のことを気に入った女子生徒が、勝手に撮った渚の写真をネットにUPしたり、ポスターを作って校内に貼ったりクラスメイトにチラシを配ったりなど突飛な行動をして渚を困らせる話。 このエピソードは次週にも続くけど、最後の2ページくらいが急にあちこちシーンが変わってすぐ終わってしまい、漫画のリズムがちょっと妙な感じだった。


  • 『夢のつづき。』 (読切)目が覚めると携帯を持ったまま知らない森に立っていた少年がそこから脱出をする話。 その少年が電話をかけた相手も森の中に現れるので、少年は自分が好きな女の子を呼び出すんだけど、その女の子は、自分が森へ来た理由を知るシーンを描かれることなく、すぐ理解して少年に文句を言うのだけど、それがちょっと違和感があった。 でもアイデアやオチも含めて、まあ投げっぱなしだけど面白かった。 田岡りきという新人の次の作品もまた読んでみたい。

    で、この読み切りは、巻末の目次にも載っていないし、新人の読み切り時には今まではいつも編集長代理の紹介文が1ページあって、その次のページから短編が始まってたのにそれもないし、『妹先生渚』の微妙に物足りない感のあった終わり方からして、もしかして『妹先生渚』が予定よりページ数が減って、その穴埋めで急遽掲載されたのかなあと思った。 今月の『妹先生渚』は24ページで、少ないとも言えないけどギャグ物と『アサギロ』意外は30ページ以上が普通だし。 それはともかくとして、ゲッサンルーキー掲示板のページに、ルーキー読み切りを掲載できなかった、とも書いてあったし、近々掲載予定のルーキー原稿の中に、『夢のつづき。』の原稿の画像もあったので、やはりこの短編はイレギュラーな掲載だったのだと思う。


  • 『ハレルヤオーバードライブ!』 (13話)前回、小雨がハルに膝枕されてるのを目撃してショックを受けた麗を、タンポポが励ましつつ、励ましている会話の中でタンポポがリーダーを好きらしいという伏線が入った回。 入浴シーンがあったしファンサービス回でもあったと思うけど、基本は恋愛話メインに進められていて、麗らを励ますタンポポの言葉は違和感もなく良かったと思う。 やっぱり恋愛物的な展開の方がバンドメインより盛り上がるように思える。


  • 『Waltz』 (09話)蝉と岩西が、何とかチクタクの手から逃れて、蝉は治療室に残され、岩西はチクタクのボスの家に訪問し、首折り男と間違えられた苺原は、警察の取り調べで嘘を付いた後で、大藪(首折り男)に頼まれたという謎の老夫婦に連れられ、知らない一軒家へやってきた、という話。 岩西が自分を殺そうとした相手にさえもビジネスライクに接するのは予想できるけど、苺原が知らない一戸建てに連れて行かれた展開が予想外すぎてびっくりした。 こういう意外性はいいなあ。 前回最後のページに出てきた、チクタクへ仕事の依頼をしたらしき人物(帽子卿)は、今回、ミスリードがなければ出てこなかったっぽい。


  • 『よしとおさま!』 (14話)よしとおが夏休みに入って強制的にサビ丸の里へ連れて行かれる話。 サビ丸のよしとおに対する台詞やちょっとした男同士の関係の描き方とかに漂うBLくささは読んでいて相変わらず気持ちの良いものではないんだけど、今回は里のみんなを紹介するのがほとんどで、そんなに変な展開ではなくいtもよりは読みやすかった。 この漫画って、結局よしとおがサビ丸に折れて、サビ丸を共感させる話なんだよな。 よしとおは主役のようでいてサビ丸を持ち上げるための道具みたいなポジションなのが疑問だ。 そういえば、サビ丸の里で新キャラのシロ子が出てきたけども、漫画でよくありがちなキャラでありつつも、今までこの漫画に出てきた女性キャラで一番魅力があると思う。


  • 『アサギロ』 (14話)理心流一行が出稽古に出かけ、その先で土方に出会うという話。 土方初登場だったけど、これもまた我が強くてなかなか魅力ある人物だった。 みんなキャラが立っていて、それぞれ何考えてるのか分からないって感じが面白い。 突然気になりだしたんだけど、こういう和物の漫画を描いているのに擬音がカタカナなのは美意識としてどういう感覚なのかなと思った。 いやカタカナも日本語だけども。


  • 『とある飛空士への追憶』 (10話)ファナが、島で隠れつつものどかな生活をしてるうちに、つい自分の境遇の愚痴をシャルルに言ってしまうのだけど、ファナの内面には一切干渉せずに、身分や立場の違いから距離を置こうとするシャルルの態度に腹を立て、酔った勢いでわがままを言って困らせる、という話。 ちょっとした安堵感をきっかけに、自分の置かれた立場や恋心の発露などから来る不安が一気に吹き出し不安定になってしまうファナが、ただのわがままではなく、上手く魅力的に描かれていたと思う。 今回はトーンを貼りまくったりしてたせいか、背景のチープさが気にならなかった。


  • 『アオイホノオ』 (26話)自動車教習所で、空き時間に漫画を読みつつ不良っぽい女の子と知り合いつつ、怖い教官に運転を教わる話。 極虎一家を読んで自分の漫画の方向性の話に関連付けてたけど、取って付けた感がなくもないなあ。 この先の重要なエピソードで車が必須になるのだろうか。 まあ無難に面白い感じ。


  • 『まねこい』 (27、28話) ホンチーも歴史研究会の旅行に行けるように、部員みんなでその方法を考える回と、ホンチーの父親に直談判に行く回。 ハルの機転でホンチーも一緒に旅行に行けそうな展開なんだけど、今回のハルの努力に猫太郎は全然関与してないし、猫太郎に助けを借りて解決するって言う設定が破綻してないかなと思ったりした。 猫太郎に頼ってばかりじゃない所を描くのは当然と思うけど、今回関与してなさすぎなのでもっと、実は影で見守ってた的な要素があっても良かったような。 あと、今回もハルやホンチーの顔の造形がかなり緩くなってると思った。 ハルの格好良い絵が一コマもないのは主人公としていいんだろうか。 改めて言うことでもないけどハルもホンチーも脇役顔だよなあ。


  • 『FULL SWING』 (2話)一話完結なんだけど、話が前回と続いてた。 倉田の妹が援助交際をしていて、その彼女に土田が巻き込まれてくって話。 今回の絵柄は現代っぽいっていうか、前回よりも漫画家の絵の領域に引き込めてるように思う。 今回は、まあまあ面白いけどやっぱり間があまりないっていうか、話の転換や気持ちの表現に溜めがもう少し欲しい気がする。 話は予想通りの展開で使い古された話を今やる事に違和感を感じたし、俺の子だ!と叫ぶシーンも無理矢理盛り上げた感があるんだけど、土手で前回死んだ俊のライバルと話をする辺りや終わり方は悪くないと思った。


  • 『ここが噂のエル・パラシオ』 (14話)エル・パラシオのメンバーの留守中に、忠輔がみんなの部屋を掃除するっていう話。 掃除してる中で、忠輔が桜花が誰かと腕組みしてる写真の切れ端を見つけ、陽向は忠輔の写真を持ってるのを見られてないか確認する、っていう比較が面白かったし、普通のラブコメとして今回は悪くなかったと思う。 前も書いたかも知れないけどプロレスしてない時のラブコメ展開の方が面白いなあ。


  • 『ぼくらのカプトン』 (10~12話)話が前回から続いてて、部活をサボった後輩の話が3本で、全部主将に怒られオチなんだけどいまいち。


  • 『忍びの国』 (14話)無門が里へ戻るのだけど、北畠家の名器を担保に織田の人間に賞金首を賭けることで、里から逃げていた他の下忍も動員し、一人ではなく集団で伊賀へ戻る、という話なのだけど、読んでいてどうにも盛り上がらなかった。 無門達が伊賀に加勢することで織田勢はピンチになるけど、どっちが有利になっても得に面白くは感じないのだよな。 というのは、生き残って欲しいと思わせる登場人物がほぼいないから。 あとやっぱり、自分には無門に魅力を感じられないので、妻とのやり取りや、決めポーズとかちょっと白けてしまう。 今後は無門の妻の身に危険が迫るでもならないと無門はピンチにならないのでそういう展開になると予想。


  • 『マコトの王者』 (14話)前半は、大地の中に入った天堂が、チャンピオン戦で予想外に苦戦を強いられ、後半は、大地の真ん中の妹が風邪にかかり、末っ子も不安になってる所へ、天堂の中に入った大地が心配して励ましに来る、という話。 後半の末っ子を励ますマコトが凄く良くて、今時の漫画にありがちな妹萌えみたいな感じじゃなく、ちゃんと自分の妹に兄として接してる、励ましてる、って感じが出てて読んでいて温かい気持ちになった。 それにしても末っ子の顔が平たく圧縮されすぎて歪んでるのはどうんかして欲しかった。


  • 『イボンヌと遊ぼう!』 (15話)はじめ達が雨宿りをしてる間に、イボンヌが雨音を音楽に変える装置をつくるという話。 ほんわかしてるけど、雨が落ちるポイントに物を置くだけで雨音でメロディーを伴った音楽を作るのにはかなり無理があるのではと思った。 ところで、今回妙にイボンヌの足の描き方が気になってしまって、ちょっと艶めかしく描いてるのかな?と思っていたら、イボンヌの履いてる靴下が、片方のゴムが緩んでるのか知らないけど段違いになっていた。 しかも、それが話に一切絡んでもないまま終わってびっくりした。 なんだったんだろう。 調べたら前回は黒で、前々回は黒のニーソックスで、どちらも段違いでもなかったし、 イボンヌにずぼらな設定ってあったっけかなあ。 それともああいう段違いなファッション? 謎だ。


  • 『第三世界の長井』 (13話)前回は休載明けで、いつもと比べて半分以下の6ページだったし、煮詰まって原稿を落としかけたのかなと思ったのだったけど、今回は7ページで、結局この漫画のページ数が減っただけなのかも知れない。 KOEIのネタが何なのか全然分からなかったし、相変わらず言葉尻で遊んでるのがおもしろいとは思えなかった。 ただの読者がこういうことを言うのはおこがましいのだけど、打ち切りにするのも漫画家を守る1つの方法なのでは。 このままではずっと収拾は付かずに迷走し続けると思うのだけども。


  • 『リンドバーグ』 (14話)ティルダの従者ロメロの罠で、ニットの載ったリンドバーグが怪我を負ってしまう回。 波乱はあったけど、ティルダが銃をよけて後ろのリンドバーグに弾が当たる?シーンとか、ニットとロメロの機体がどういう飛行でぶつかりそうになったのか、とか、コメットの怪我してる部位のやたらなアップであるとか、絵を見ただけでは状況が分かりづらかった。 アップが多いし背景を白く抜いてる事も多いので、どこが上で下かなど、一目見てすぐに空間が分からないってのが今回凄く気になった。 空間が分かりづらいと絵のハッタリもいまいち生きないだろうしもったいないと思う。


  • 『楽神王』 (14話)楽人はアルモーニカから本当の敵を教わり、その後で空間の狭間を抜け弟を倒す、という展開。 弟があっさり負けを認めたのも拍子抜けだし、楽人が兄弟喧嘩感覚で弟を倒したのも違和感があった。 バトル物で主人公を争いの嫌いな性格に設定にすると、戦う動機の作り方や、戦う事の説得力を作るのが難しいのかなとか考えた。 ところで、カルディネの使った楽譜は命ではなく血を使って強くなる楽譜で、カルディネはどうも死なないようなのだけど、そういう緩さも含めてカルディネが礼音に負けたの事もどうも盛り上がりに欠けたと思う。 どことなくあと数話で漫画が終わってしまう予感がしなくもない。


  • 『いつかおまえとジルバを』 (22話)体の隠れている部分を想像力で補って興奮する、という話。 女の人に対する妄想を猫に当てはめるのに無理があったと思う。


  • 『月の蛇』 (14話)飛虎の過去話。 自分のせいで仲間が死ぬというありがちな話をありがちに描いてしまっていていまいちだった。 殺しをしないと生きていけないというシビアさが伝わってこなかったのが残念。 さらわれた子供達で作られた盗賊?の逃げられない感じや過酷さが省略されているので、どうせ殺しをするのなら、上の人間を殺して逃げればいいのにって思ってしまうから。 あと最後の登場した男が「おいら」って言葉を使ってるんだけど、「おいら」って言葉が似合う顔じゃないと思うんだよなあ。


  • 『信長協奏曲』 (14話) 信長(に扮したサブロー)が美濃三人衆を寝返らせて美濃を奪取する話。 藤吉郎が成り上がってきて面白くなりそう。 登場人物達の顔が面長になりすぎてる気がするんだけど、美人設定のお市が信長の妻より美形に見えないのが気になる。 今回は、藤吉郎が信長の草履を暖めたという有名なエピソードの使われ方など、久しぶりにこの漫画がおもしろいと思えた。

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