2010年7月22日木曜日

月刊スピリッツ11号(2010年08月号)

だただらしてるうちにまた時間が経ってしまった。 ゲッサンの方は6月号は読んだけど、7、8月号も既に出てたし、もうすぐ月スピの新しいのも出るし急がなくては。

さて、月スピの08月号であるけど、これがわりと面白かった。 充実した号だったと思う。 といっても今月号は『鼻もて語れ』よりも後に載っている漫画は『森山中教習所』以外連載が終わっても良いんじゃないかと思うけど。

『新・逃亡弁護士 成田誠』 盗みを疑われた女性を成田が助けたら、その人が実際に犯人だったっていう話だけど、その女性の、疑われて本当に困ってるわけでも開き直ってるわけでもないような妙なリアクションや、成田が預かっていたお金を盗んだ時の顔などが怖くて良い感じだった。 女性のその後や盗まれた人達の反応などが描かれずに投げっぱなしで終わったけど、成田は逃亡者なので仕方がないのかなあ。

『ミル』 前回初登場した新キャラの化け猫がやたら可愛い。 今回その猫がメインの話でミルが完全に脇役になってたけど、これからも脇に回る機会が増えると思うと残念。 面白いけどアキのリアクションがちょっと騒がしいかな。

『黒×羊』 女装押しが鼻にはつくけど、角坂と久里の過去が描かれたことで前回よりも久里との関係に奥行きが出て良かったと思う。 でもやっぱり変装の早変わりには人間じゃないような違和感がある。

『ドラゴンジャム』 主人公がバスケをやる理由や緋口との因縁、緋口と大きく付いた実力差、謎のバスケが上手そうな人物の登場、などなど、数話かけるかと思ったことを一気に2話目で詰め込んでかなり面白かった。 急ぎ足な感じがあるけど短期連載なのかなあ。 ライバルに対する主人公の負けっぷりが読んでいて苛立たしくて良い。

『今日のあすかショー』 あすかのリアクションが可愛い。 でもそれだけって感がある。

『8はち』 2話目の方(14話)の「ワープ」のオチが面白かった。

『淀川ベルトコンベア・ガール』 かよと那子の初買い物デート。 那子とクラスメートのトラブルが半ば投げっぱなしになったまま別のエピソードになった感もあって、話の進め方が大味な舵の切り方に思えた。 完全に那子が主人公になってるし。 那子のかよへのやさしさが取って付けたような感じだけど、これが外面を良くしてるだけで本音は出してない的な展開なら面白くなりそうだけどどうなるだろう。 かよの関西弁とか、おもすびころりんの例え話などに違和感があるし、かよのキャラ造形がやはり上手くいってないように思う。

『路上力』 今回はいつもと違う視点と文体で、良く言えば路上観察的、有り体にいれば文学的で、具体的なことにほとんど触れずに多摩川のホームレスについて書いていた。 本来書こうと思っていた事が紙面的にNGだったのか取材自体が失敗したのか、とにかく大ざっぱな内容を文体で装飾して文字数を埋めたような印象。 多摩川で暮らす古株の話が出てきても、その人のイラストは乗ってても今まで書かれてきたような具体的な人物像もないし、収入源や生活の知恵的な事も書かれなかった。 この連載を書いてる人が建てた家が写真で載ってたけど、やはり集落の写真や住んでる人達の具体的な描写などがNGだったのかな。 一応勝手に家建てたり住んでいる集団の話だし。

『森山中教習所』 轟木が社長宅を襲撃したシーンは、この漫画の真面目なんだかふざけてるんだか分からない曖昧さが足を引っ張ってた気がする。 もうちょっとシリアスさが欲しかったかも。 襲撃シーンがなんか変な感じだ、と思ったら夢だったんだけど、前回、清高が熱いすき焼き鍋を浴びた事も何もなかったかのようにあっさり片付いてたし、今月号で山場が来ると思ったら、大きな起伏もなくやるせない感じで終わってしまった。 そういうのらりくらりさが魅力ではあるんだけども物足りないとも思った。 ところで、来週が最終回ということで、終わるのがもったいないって思ったけど、今月の話でも既に、そして人生は続く、みたいな感じで最終回終わってるとも言えるし、次回がアナザーエンディング的なものになるのか、何年後的な話で終わるのか、余計な付け足しみたいになるのかは分からないけど楽しみ。 っていうか、この漫画家にはゲッサンで新連載して欲しいなあ。 ちょっと毛色が違うけど。

『名門女子大生妄想文学』のQ&Aなんだけど、人生で最もエロかった瞬間という質問に対して、小学校の男子のほとんどがブリーフじゃなくトランクスになってたのを発見した時、と答えた事に対して、エロくないですねっていう編集の反応は違うだろうと思った。 男の子の自分の下着に対する羞恥心や自意識の変化の現れをエロスと感じてると、なかなか今までの人とは違う面白い答えをしてるのに、別の俗っぽい答えを引き出してたのがつまらない。

『かばやし』は2本掲載されてたけど、どっちも1コマ目が面白かった。

『ピペドン』は瞼と足立以外の研究室の面子が別の野心や思惑を持っている事が分かって、研究所内での複雑な心理戦になるのかなと思ったら、研究室が火事になり、藻越達の瞼に仕掛けた罠だけでなく緊急性かも全てこの話であっさり藻屑になるという早すぎる収束をしたのに拍子抜けだった。 舞台替えなのかな。


今月号は、『新・逃亡弁護士 成田誠』の原作者とドラマ版の成田役をやる上地雄輔との対談が掲載されていて、基本的にお互い褒め合うことに終始してはいたけど、上地が自分の演技論を語っていたりしてそれなりに楽しめた。 それから、この記事とは直接関係ないけど、今まで書いた月スピの感想の誤字や言葉足らずな所を修正してみた。

0 件のコメント: