2011年8月30日火曜日

ゲッサン22号(2011年03月号)

  • 『ハレルヤオーバードライブ!』 (21話)小雨達のライブイベントの最後に冬夜の兄でありハル達の先輩である男が現れて1曲歌を歌い、その後その男がハルと喧嘩になったのを小雨達が止める、という話。  ずっと伏線を引っ張ってきた因縁の元部員が本格的に登場したけども、物語の重要な鍵である禁物なのに、全然魅力が感じられなくて、ただの脇役の小悪党って感じなのが残念だった。 その男がハルの曲を盗んでいた事が今回発覚したので、この盗んだ曲をどう扱うかが今後の軸の1つになっていくのだろうか。 この男とハルがいずれバンドを組む事になりそうな気もする。 相変わらず間や感情の機微を描くのが雑だなあと思った。

  • 『QあんどA』 (22話)色々あって夏祭りの話し合いで、安藤弟達の町内では肝試し大会をすることになった、という話。  遊歩が、昔、溺れた自分を助けたのが本当に安藤兄なのかさっそく疑問に感じ出していた。 今回の展開を読んでいて、お盆の話になっていきなり最終回になってもおかしくない気がした。

  • 『Waltz』 (17話)岩西が指の手術をしてもらう事になり蝉と別れ、蝉が岩西からの連絡をホテル待つ間、苺原は首折り男の真似をして殺人を繰り返していた、という話。  蝉が一人ホテルで待ってる間に岩西のことを色々考えてるのが読んでいて気持ちよくなかった。 あと苺原はいくら恩人の身代わりとはいえ、殺人者になるのは安易過ぎないだろか。

  • 『リンドバーグ』 (22話)シャーク達と黒薔薇七銃士隊の戦いの続き。  シャーク中心に話を進めると面白いと何度か書いたけど、前回に続き面白くはなかったな。 結局シャークがエスペランサと直接対峙したるから面白かったのかなという感じ。 黒薔薇七銃士隊の中で能力が最下位扱いのアーチとシャークの戦いの方が、緊張感も迫力もあって面白かったなあ。 今のところ黒薔薇七銃士隊の凄さが伝わってこない。 あと、ニットがシャークに言われて本来の自分の目的をやっと思いだしていたけど、自分の本来の目的と、今の戦乱状態をどう結びつけるのか気になった。 普通に考えて今楽しく大空を飛びたいとか思ってる場合ではないから。

  • 『とある飛空士への追憶』 (18話、終章(最終話))シャルルの精一杯の別れの挨拶をファナは胸に抱き、2人は離ればなれに、という話。 とエピローグ。  情感の込められたなかなかに良い終わり方だった。 ただ、情緒的な独白が続く中で、所々簡略化され過ぎに描かれたキャラクターの絵が目にはいるのは興ざめだった。 146ページの真ん中のコマや149ページ一番下のコマなどがそうだ。

    総括として、この作品で率直に良かったと言えるのは16話と今回の18話くらいのもので、全体的に絵の未熟さが目立ったし、その未熟さが作品を読む時の印象に悪い影響を与えた部分が結構あったと思う。 もう少し背景や小物の描き込みに気を遣って欲しかった。 ゲッサン編集部は修業のつもりで描かせたのかもしれないけれども、飛行機が活躍する作品でメカが全然描けないというのは致命的過ぎた。

    あと、空中戦で命の奪い合いをしているわけだけれども、シャルルとファナが小中学生くらいにしか見えないのがもう少しどうにかならなかったのかなと思った。 あと、この作者の読み切りが既にゲッサンで掲載されているようだけれども、また背景の殆ど白い漫画なのだろうか。

  • 『ぼくらのカプトン』 (34~36話)バレンタインの日に、主将が自作のチョコを持ってきて貰ったと見栄を張ろうとしたら、自分のチョコが無くなっていた代わりに謎の別のチョコがカバンに入っていた、という内容の謎と答えの2本と、後輩が柔道部と揉める話の1本。  チョコの話はけっこう面白かった。 女性マネージャーーもやっと魅力的に見えた。

  • 『アオイホノオ』 (34話)卒業後の進路に不安を覚えつつも、授業の課題で映画を見に行くホノオ達の話。  大学の先輩の職種のオチとか、同級生との映画の言い合いが面白かったけど、話のテンポが少し間延びしてる気もした。 あとホノオが何かやっている時に偶然アニメに出くわすってパターンは、事実を元にしてたとしても繰り返され過ぎと思った。 最近だと教習所の授業でのアニメ上映と待合室でドラえもんのアニメが始まるのがあったっけ。

  • 『BULLET ARMERS』 (9話)前回から引き続き、イオン達とベイカー2人組が戦いつつ、その最中、もう1人のブリーダーが現れる、という話。  ほとんどが作者得意?のアクションシーンで結構面白かった。 アクションの盛り上がりと、強い謎の新キャラ登場と、なぜベイカー達がブリーダーを執拗に狙っているのかを語ろうとする感情曲線が、上手く重なり合って、ありがちな展開だけど読んでいて盛り上がった。 ただ、ベイカーの女が、戦ってる途中で髪留めを外す意味が分からない。 長髪がばらけて余計動きづらくなるはずだけど、そういう常識的な事を作劇する時に考えてないのだろうか。

  • 『信長協奏曲』 (22話)信長に扮するサブローが部下を四つの軍団に分け、他方で浅井家は将軍足利義昭に同調して織田に反旗を翻そうとしていた、という話。  これからは陰謀話がメインになっていくのだろうか。 木下籐吉郎が名前を羽柴秀吉に変えたけど相変わらず影があって怪しくて良いなあ。 面白かったけど、サブローの性格を今後どう見せていくか気になる。

  • 『まねこい』 (43話、44話)前回砂浜に登場した怪しげな集団の思惑にハル達が巻き込まれる、という話。  存在理由のよく分からなかった山崎が、ただエッチなだけの子じゃなく勇気のある人間だったってのが意外だったな。 文系のグループの中での肉体派だったとは。 山崎はすぐ海老蔵似の男の仲間にボコられていたけど、やっぱりこの漫画はほんわかしつつエロとバイオレンスの扱いがちょっとどぎついなと思った。

    最初から振り幅の大きい作品だと提示されていたわけじゃないけど、なんか、不倫話とか今回の暴力とか、富永先生が地位を利用して美少年を漁ってるとか、ドロドロしてるんだよなあ。 それらを笑いとか軽い感じにいまいち落とし込めていないのが自分が引っかかる所。 色んな他のハードな作品と比べたらその手の表現も軽いし緩いけど、この漫画の世界観では違和を感じさせるっていうか。 初期のハルの心の機微を丁寧に描いてたのは偶然だったのだろうか。 現状では回りの人物を動かしすぎて主人公が全然魅力無いものになってしまってる。

  • 『忍びの国』 (22話(最終話))信雄が伊賀に負けた事に怒った信長は、無門の忠告もあって伊賀を滅ぼした、という話。  結局見たかった傲慢な伊賀がその奢りによって滅ぼされるというシーンが簡潔に片付けられてしまってガッカリ。 自分的には主人公の無門を始めとして、伊賀も織田も魅力的な人物がほぼいないままだった。 少し興味が持てた平兵衛も、序盤に目立ってた割りにはただの脇役でしかなかったし、対立した人間関係の怨みとか情念を上手く読ませて欲しかったなと思う。

    連載話数は最初からある程度決まって連載が始まったと思っていたけれども、最後は詰め込みすぎで、無門の生死を曖昧にするにしても中途半端さが拭えない終わり方に思えたし、話数が数話削られたりしたのだろうか。

  • 『ばれてるよ!ジャンボリーヌ』 (9話)中嶋が城ノ内の家に行く話。  城ノ内の家は大きない屋敷で家業がヤクザだった。 相変わらず特に面白くもない展開が続いて終わるわけだけど、城ノ内を特異なキャラにし過ぎたせいで、このさくしゃの持ち味の緩いギャグが殺されてるのではないだろうか。 ギャグより変な見た目が目立ってしまうというか。 面白くない人は何やっても面白くないというか。

  • 『コバルトブルー360』 ゲッサンに何度か8ページ読み切りを掲載されている雪丸の本格44ページ読み切り。 父親の死後生きる気力を失った少年が、ある島の寮へ移住した事で起こる心の変化を描いた作品。  父親の死後1年引き籠もっていた少年の物語って所がいかにも雪丸っていうか、相変わらず感傷的な設定で話を始めるんだなと思った。

    ただ今回の作品は上手くページ内にまとめられなかったのか、ページ数は多いのに話運びが性急で間が詰まってて、今までの作品で上手く描けていた登場人物達の内面描写が雑になった印象。 少年が寮に着き玄関を開けるとそこに少女が立っていて驚きもなく普通に会話を始めたり、バスケをやってる人を見てすぐに誰なのか名前まで分かるとか、その後主人公もバスケをやるけど肝心の主人公が動く部分が略されてるとか、悪い意味でご都合主義に見えるし、省略の仕方が上手くないと思う。

    少年が母親や自分の境遇をどう思っているかを少年本人が語るシーンが作中省略されているのに、その省略された話の物言いについて、プロのバスケ選手やヒロインが批判するので、読み手としては略されてる部分を知らな状態で、いきなり少年が怒られてるのを読まされて戸惑ってしまった。 これは分かりづらいと思う。 過去に何があったかは一度描かれているから略しても良いだろうけど、その過去に対して少年がどういう言い方をしたかは、その後の登場人物達の関係を描く時に重要なポイントとして使っているのだからそこを省略したら駄目だと思う。

    たとえばヒロインの子が少年に対して「ママにもとうとう追い出された」、「本当に追い出されたなら~」って事を言うけど、これはどうもヒロインの子に少年が母親に追い出されたって言い方をしたようなのにもかかわらず、少年の口ぶりが略されてるし、ヒロインの子がわざと悪意のある言い方をしたようにも受け取りうるので分かりづらいのだ。 それと、集団から外れて個人行動を取る人間が悪いみたいな誤解を与えかねない描写があるのが気になった。

    今まで読んだ雪丸の作品で一番面白くなかったなあ。 編集はスポ魂物を描かせようとしてるのかも知れないけど以前の別冊付録の『LIAR MAN』も熱血部分とのバランスに危うい感じがあったからこの路線は不安だ。

  • 『FULL SWING』 (10話)プロサッカー選手になるのを機に交際していた教え子を捨てた元教師の男が、今もその事を引きずっている、という話。  原作のせいだと思うけど、雨で濡れた女生徒を自分の部屋でシャワーを浴びさせて、その後生徒側からのモーションで教師が関係を持ってしまうっていうパターンが古いし安易な展開だなと思った。 話の中心の1人である女の子がただ一途なだけの少女になってしまってるけど、自分を振った男に対してもうちょっと怒ったりとかひねりがあったら良かったかも。 今回の主人公は前回出てきて予想した借金苦の男ではなく前々回に出てきたサッカー選手だったな。。

  • 『ここが噂のエル・パラシオ』 (22話)かつてエル・パラシオにいたアズミが桜花達の前に現れたのを切っ掛けに、エル・パラシオの過去が少し語られた回。  桜花がアズミと戦おうとしない理由も伏せられたままだし、過去と言っても昔はエル・パラシオには人が多くて引き抜きにあって減ったくらいしか語られてはいないので、ただの引き延ばしに思えた。

  • 『よしとおさま!』 (22話)サビ丸がプライベートな時間をどう過ごしているのか気になったよしとおが、サビ丸に一日任務休みを与えて行動を調査する、という話。  サビ丸がみんなに興味を持たれる、愛される、心配される、というサビ丸を中心とした過保護な展開を続けてるわけだけれども、話の筋が弱いと思う。 サビ丸は作中でなにをやっても大目に見てもらえるし、よしとおはサビ丸の引き立て役でしかないし、本当にただサビ丸に萌えてもらおうとしてるだけのような漫画だ。

  • 『妹先生 渚』 (9話)なんやかんやあって、渚率いる素人同然の剣道部と他校の強豪の剣道部が練習試合をすることとになる、という話。  「泣かせたくない奴がいるんだ」とか、恥ずかしくて読むのがしんどいセリフもあるけど、光路郎の帰国とか色んな事象が絡まり合って読み応えはあったと思う。 光路郎の2人の子供の描かれ方が、フェチ的な方向に行かない雑な可愛らしさがあって良かった。

  • 『アサギロ』 (22話)沖田と土方が野盗の子分達を倒した後、野盗の頭と土方の一騎討ちで決着する話。  野盗と土方のエピソードはそれなりに時間をかけて描いてきた割りには、頭との戦いがあっさりし過ぎだったかな。 土方と野盗の頭の斬り合いに迫力があったんで読後物足りないって思いは少なかったけど、展開が微妙に駆け足だったのが残念。 沖田が、お弓と小菊の遺体に伏して泣いている土方を見て心配そうな顔をしていたけど、沖田は人の死や人斬りを軽視した所があるように描かれていたので意外だった。 侍じゃない女性の死に反応したのだろうか。

    あと、話の最後に沖田が紛失した刀がやっと沖田の元へ戻ってきたけれども、沖田の刀の意味やその重さについては思わせぶりなまま何も沖田が学ばず返却されたので肩すかしだった。 それと、以前山中での土方と野盗の戦いで、何人か斬ったせいで、土方の刀の切れ味が鈍ったりというリアリティを作中で表現しておきながら、今回は野盗を何人も斬った後でさらに野盗の頭を斬っても刀が特に問題ないみたいになってるのには違和感を感じた。 読んでいて混乱するのでリアリティを統一して欲しいかも。

  • 『イボンヌと遊ぼう!』 (23話)マコのお姉さんはイボンヌ達天才を企業や研究機関に派遣する会社の社長をしていたのだった、という話。  唐突にマコ姉が登場したけれども、イボンヌの今後の伏線になっていくのかな こういうエージェントなら、はじめ達が進学してもイボンヌがまた先生や研究者としてはじめ達の前に現れてもおかしくないし、物語の舞台を、高校にこだわらずにころころ変えていけそう。 で、マコ姉の風貌がまた相変わらず中途半端な出来なのだけど、船に着地失敗するのはベタだけど面白かった。 

  • 『いつかお前とジルバを』 (31話)マリーがジルバにバレンタインチョコを渡して、ジルバがボスの座を狙われていると勘違いする話。  今回は珍しく面白かったし、弓がハートを射抜いている絵を見て、自分の心臓が狙われてると思うとか、ジルバの勘違いの発想の飛躍の仕方が納得できて良かった。

  • 『マコトの王者』 (22話)天堂の中に入った大地マコトとジョーンズの試合の続き。  妹の声援で気力が漲ったマコトは、(本当の)天堂にも家族や回りの支えがあって自分の力が出せるのだということを天堂本人に教えるのを決意したのだった、という話。  試合は前回と比べて絵に迫力があった良かった。

  • 『第三世界の長井』 (20話)長井が上書きされる事で周辺に影響を与えてしまうとの事。 設定を全然覚えていないので上書きが何を指すのか分からないのだけど、そういことらしい。 今回はまた設定の話になってややっこしくて特に面白くはなかった。

  • 『月の蛇』 (22話)翠華の許婚の意向によって翠華と飛虎が引き離されたが、飛虎は翠華本人に会って直接どうしたいか聞く事を決意する、という話。  翠華の許婚の妹が梁山泊の人間だったという事が発覚したけど、死んだはずの妹というのが少し意外だったものの、婚約者はやはり梁山泊と何らかの関わりがあったのだな。 あと、所々に入るコミカルな表現がシリアスな話の腰を折ってる感じがして良いと思えなかった。


1月号からプレゼントの当選者総数を増やしたので「ゲッサンこぼれ話」のスペースが小さくなったとのこと。 でも前もスペースが小さかった事ってあったような。 「仕事場みたいし!」はイボンヌの作者である荒井智之が登場。 イボンヌの作風と今回のレポ漫画から、イボンヌの作者は無理しないで出来る身近な範囲内で几帳面な事をする人という印象。 「連載陣のしてみる日常。」は、福井あしびと中道裕大とマツセダイチ。

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