2011年8月30日火曜日

ゲッサン23号(2011年04月号)

  • 『QあんどA』 (23話)肝試しでの陣野の悪巧みは失敗し、安藤弟は崖から遊歩に助けられ、遊歩はアルバムで自分を本当に助けた人物が誰なのか知る、という話。  小さい頃、海で溺れた自分を助けたのは安藤兄だけじゃない、と遊歩が知る経緯をあっさり描いているけど、いつものあだちと違って独特のほんわかした暖かみみたいなものが無かったように思った。

  • 『ハレルヤオーバードライブ!』 (23話)ハルが、自分の大切な曲が奪われたいきさつを小雨に話し、小雨はその曲を奪い返す事を決意する、という話。  ハルの独白は良かったけど、小雨はまだそれを受けて立てる人物になれてないと思う。 主人公で音楽の才能があるって事で下駄履かされてるけど、それでもまだ受け止められる器がないように思えるのだよな。 ただ、ハルの曲を浅緋が奪ったというエピソードは思っていたよりちゃんと深刻な話に描かれていて、冬夜も知らずに兄に荷担してしまったとして上手く過去話に絡んでいたし、歌詞がハルの父への思いが込められていたものだったりとか、『希望』という曲のエピソード自体は良くできているなあと思た。 あと愛葉のセリフっていつもつまらないなと思った。

  • 『Waltz』 (18話)蝉が人殺しと殺し屋の違いを自覚しつつ、他方で殺し屋達を殺し回っていたのは首折り男に扮したチクタクの人間だった事が発覚する回。  いやあ苺原が殺してたと思ってたんで完全に騙されたな。 さすがに苺原は簡単に人を殺せる側の人間にはなれないか。

    で、岩西に首折り男を殺す依頼をしたのがコンビニの店長って話は記憶にないのでゲッサンのバックナンバーを漁ったら、3話目に出てきた話なのだな。 その時既に依頼者のコンビニの店長を岩西は怪しんでいたのだけど、さすがに1年半前のこの伏線は、何度も読み返していないし覚えていなかった。 それにしても過去の自分を思い出して恥ずかしがる蝉の頬を赤らめる描写はいらないと思った。

  • 『ここが噂のエル・パラシオ』 (23話)桜花がイズミと戦おうとしない理由は気持ちの問題だった、という話。  隠された因縁じゃなく心の問題かよ! と思ったらショー抜きの本気の喧嘩になってしまうから戦おうとしなかったというちょっとひねった落ちな所は良かった。 しかし何度も何度も書いているけど忠輔の記憶喪失はいつ解決するのだろうか。

  • 『ぼくらのカプトン』 (37話~39話)春休み前、春休み中、新学年、の時期の無駄話。  3話とも男の馬鹿っぽさを出そうとして失敗した感じ。 37話の太った男子生徒の胸を揉むのは気持ち悪いレベルになってるし、パンチラを目撃する39話は話が落ちてないし面白くもなかった。

  • 『FULL SWING』 (11話)名の知れない引っ越し屋に就職した女の子が自分の境遇を卑下し、そこから前向きに考え直す話。  青森=リンゴっていう安易さなどが所々あったけど、今回は話がそれなりに上手くまとまっていたと思う。 それぞれの場所で幸せに生きている人がいるって感じが出ているのが良かった。

  • 『まねこい』 (45、46話)砂浜で出会った怪しい4人組に歴史研究会の女の子達が連れ去られてしまう話。  4人組の威圧感や怖さが上手く出ていてハラハラさせる展開なのは面白かったけど、ハル達のピンチに猫太郎とリアが安易に都合良く使われて、何でもあり化してるように思えて残念。 トラブルは歴史研究会達の力だけで乗り越えて欲しかったなあ。

  • 『リンドバーグ』 (23話)プラモが突然大きな翼を生やして光り出すと、光を浴びたリンドバーグ達はなぜか闘争心を失い大人しくなり、ニット達は難を逃れるのだった、という話。  目のゴーグルみたいのもそうだし、今回プラモの体が光ったのも動物離れし過ぎて違和感がある。 今回ニットの父親らしき仮面の男が初登場。 光に弱いらしく、杖をついてシューという異音もたえず描かれていた事から、何らかの事故で記憶か人格に障害が起きているか機械化されて洗脳されてるのかなと予想。  エスペランサの拷問の結果だったりして。

  • 『よしとおさま!』 (23話)サビ丸が綿貫のお庭番である百舌と一緒に料理を作るような話。  百舌が珍しく表紙や若い頃のシーンで女っぽく描かれていたが作者がペン入れしたのだろうか。 特に表紙の体のラインはいつになく女性的だ。 よしとおを芯に話が作れないから回りを動かしてるって感じがしなくもない回ではあった。

  • 『バレてるよ!ジャンボリーヌ』 (10、11話)城ノ内とその父親の喧嘩に中嶋が巻き込まれる話と、雨で濡れた城ノ内は頭が重くなって這うことしかできなくなり、中嶋に助けを求める話。   10話は前半の城ノ内と父親のやり取りのセリフはそれなりに面白かったけど、それ以外は相変わらずいまいち。 11話は面白くはなかったけどひたすら地面を這ったり転がったりしてるだけなのがくだらな過ぎて嫌いではないなあ。 でもカラーページの単行本宣伝漫画の方がまだ面白いしのびのびしてたかも。

  • 『アオイホノオ』 (35話)コタツでトンコさんとしゃべりながら、大友克洋や高橋留美子をちょっとムキに批判したりする回。  その時代の漫画やアニメの動向を描くのに時間を割いてホノオ自身の物語がおざなりなままって感じ。 まあホノオが話の中心になっても現状では面白くならなそうではあるけど、それは、ゆでたまごを比喩に使ったりしてホノオの内面を説明してはしてるけれども、ホノオの空回りする情念や焦燥感がいまいち描き切れていなくて、そのことが主人公としての弱さになっているからではないかと思う。 テニスか何かの部活の練習などをやっていた頃はまだホノオの血肉を感じられた気がする。 あと、大コマや見開きで漫画家を腐すパターンはいい加減飽きてるし、腐す言葉が全然上手いこと言えてないから余計に面白く感じられない負の連鎖になっていると思う。

  • 『アサギロ』 (23話)視点が変わって永倉新八と市川宇八郎が中心になり、今回は永倉が浪人?を斬ったり女を買ったりする話。  2人の侍の性格の違いが出てて面白かった。 ネットで検索したら、実在の2人は親友同士だったらしい。

  • 『マコトの王者』 (23話) 天堂の中に入った大地マコトはジョーンズに判定で何とか勝って家族やファンに感謝をし、大地の中に入った天堂マコトは心を作ると称して、周りの人間から距離を置き傲慢に振る舞う、という話。  天堂は周りの人間に冷たく接して嫌われないと自分を厳しく追い込む事が出来ない性格な気がする。 やっと2人のマコトが再び戦うことになったわけだけど、いまいち話として盛り上がっていないような気がする。 自分がこの作品に飽きてきただけなのかな。

  • 『イボンヌと遊ぼう!』 (24話) マコ姉がマコとすれ違い続ける話。  前回と続けて、しかも安っぽくマコ姉が出てくるとは思わなかった。 マコ姉が卓球や生け花などをやるのだけれど、変な衣装も含めて面白さが分からなかった。 最終的にお涙頂的な終わり方になってたけど、過程が楽しめなかったのでその流れでマコの悲しい気持ちもピンと来なかった。

  • 『ドナー&レシピエント』 (読切)事故で肝臓移植を受けた小説家が、その肝臓の記憶を受け継いで、元の肝臓の持ち主の死の真相を調べたり願いを聞く話。  交通事故に遭って退院後数日で全力で走るのは、主人公が臓器移植手術をしたばかりである事や足にギプスをしている設定を無視し過ぎな展開だと思う。

    あと、殺された陸上選手の死亡をすぐ公表しなかったり、死体発見場所の公表が作中のメディアでされてないようなのは、マフィア絡みの事件だし陸上?協会がバレたら困る事があるから、というのは予想として分かるけど、じゃあ臓器はいつ移植したのかとか、死の公表よりも移植が先になってる事とか、時系列がハッキリしないので、選手の臓器が遺体発見当時に移植できる状態だったかみたいな部分が曖昧にされてるのも引っかかった。

    ひねった設定を作ったのならそれにリアリティを持たせる描写をもっと入れたらいいのにと思う。 あと、丸みを帯びた暖かい感じの絵柄で分かりづらくなっているけど、どこか人間が冷たい印象を感じた漫画だった。

  • 『オレとあいつの図書戦記』 (読切)図書館で青年と主婦が同じ本を奪い合う話。  この作品は設定に穴がありすぎると思う。 まずどうしても読みたければ借りれば良いのは落ちに使われなくともすぐ気づくし、普通図書館は朝の10時くらいから開館するけど、子連れの主婦が、朝から、青年がバイトの時間であるらしい昼の12時位まで毎日図書館に居るのはちょっと考えづらい。 青年のバイトの時間が日によってまちまちだとか、主婦が毎日図書館に通う理由が別にあるとか、そういう理由がないと設定に無理があるのでは。 あと、四角で囲んだ「諸君らに言っておく」や「戦争だ」などのナレーションは、別に無くても漫画が成立してるし余計だと思った。

  • 『第三世界の長井』 (21話)帽子の青年の正体が一応発覚する話。 でもそれが分かってもこの漫画の話が分かるようになるわけでもないのであった。

  • 『ハート ディスペンサー』 (読切)1人分買っても2つ飲料が出てしまう自販機を巡っての女の子同士の話。  故障した自販機の扱い方っていうか、自販機に対する妄想の仕方が面白かった。 510ページの風が吹いてる道を歩く女の子の後ろ姿とか独特の雰囲気が出てるし、絵はまだまだだけど所々味わいがあるって感じ。 ただ、セリフがこなれてないのか、なんかスムーズには読みづらかった。 言葉のチョイスなのかなあ。 次の作品にも期待が持てそうだけど、この作品は少年漫画なのか?といわれればよく分からない。

  • 『BULLET ARMORS』 (10話)前回現れた謎の男は、かつてあった人類と機械との戦争を再開させようとたくらむブリーダーで、セレナはその武装集団から逃げてきたのだった、という話。  やっとイオンがちゃんとセレナを助けて少年漫画っぽくなってきた。 ベタな展開ではあるけど、この作品で1話全体がちゃんと盛り上がったのは初めてかも知れない。 

    ブリーダーが壊し屋に嫌われているのは、ブリーダーが人類と機械との戦争で、機械の側に立って人間を攻撃したからのようだ。 もう期待していなかっただけに意外に面白くて良かったな。 あと、この謎の男の片腕のトレマは、バレットの片腕ではないようだ。

  • 『人間抑止力 獅子丸』 (読切)特に取り得の無いような少年に特殊な超能力がある事が発覚して、その少年が国家機関に連れて行かれてからの悲喜こもごもな話。  目新しさのない設定ををありがちに展開させたような漫画という印象。 この作者の前に掲載された短編と同じく、絵はこなれているんだけども、読んでいて新鮮味や興味を惹く引っかかりがないというか。

    なんていうか、登場人物達が、大した魅力も人気もないのに面白くて人気者であるかのように振る舞っているタレントを見ているような違和感を感じた。 面白い漫画風に描かれてるけど特に面白いわけでもない漫画って事になるのかな。 色々面白くしようとしたりちょっと良い話に持って行こうとしてるけど、演出も上手く行ってないと思う。 

    そもそもが、人間抑止力という能力が機密事項なら、国の人間が他の生徒達や教師にそれと分かるように少年を連れて行ったのはおかしいし、父親が少年を刺そうとしたのを母親がかばって死んだ事に対して、母親がかばった事以外の、少年の父親に対する愛憎が全く描かれないのも、少年の良心を描くなら避けるべきじゃなかったと思うし、母親が刺される夢を見てる時の少年の寝顔が笑顔なのも、前向きな少年という演出だとしても異常だと思う。 リアリティとユーモアの線引きが上手く行ってないのではないだろうか。

    たとえば、少年が国の人間にあっさり連れていかれていたけれども、その少年が今は一人暮らしなのか施設なのか、親代わりが居るのかとか、そういう背景が分からないまま平気で知らない所に連れてかれて気にしてないのがリアリティとして違和感を感じたし。 そういう、少年がモラルを語る時の説得力になる背景が足りてないかも知れない。

  • 『いつおまえとジルバを』 (32話)野良猫仲間が、野良猫の里親捜しをする連中に連れて行かれてしまう話。  今回は1話で完結してなくて次回へ続くのだけど、逃げ回ってるという、ボスになったマリーを絵で見たかったな。 次回はジルバが株を上げてやっぱりボスはジルバだ的な展開になるんだろうか。 なんとなくもうすぐ終わりそうな気がしてきたが、この作品の、人間の女性に恋する猫という設定は別にいらなかったよなと改めて思う。 

  • 『月の蛇』 (23話)翠華の許婚の妹は、かつて梁山泊と戦って死んだと思われていた人物で、その女は翠華を連れ去り、翠華を一足遅れて助けに来た飛虎と青磁の前には梁山泊の李逵が現れたのだった、という話。  李逵と飛虎が戦うと思っていたら、青磁が戦い飛虎が翠華を追いかける展開になってしまった。 翠華の村を潰した男なので青磁と因縁もあるから分からなくもないけど、青磁の方が翠華に早く追いつきそうな気がしたので。

  • 『信長協奏曲』 (23話)将軍義明が、信長に謀反を促すような密書を各地の大名へ送っているのをサブロー扮する信長が知ったり、サブローと初対面した松永久秀が、現代からタイムスリップして来たヤクザだというのが発覚したりする話。  信長の周辺で色んな思惑がひしめいてるな、というような内容だったけれども、今回のサブローはただの話の聞き役って感じだった。 普通の高校生だったサブローが戦国時代に来て、やがて戦で人を殺すようにもなるという部分を曖昧にしてきた事のツケが終盤に来そうな気もするけど大丈夫なのだろうか。


今月は『妹先生 渚』が休載していたけど、過去の人気作品の続き物ということが話を作りづらい理由になっているのだろうか。 人気作品のキャラクターを汚さないように出すのは難しいのかも知れない。

で、今月号は新人の読み切りが4作品載っていて、ルーキー掲示板のページには、「今月号はいつもよりページに余裕がある」と書いてあったけど、それは『妹先生 渚』の休載が早めに分かっていただけなのでは?と思った。 先月号の巻末コメントに、『渚』の漫画家が剣道部の取材先を探してる旨のコメントを書いていたけれども、取材が足りていないのも休載の多い理由なのだろうか。 というか1話目に剣道を描いているし、剣道の取材するのが遅すぎるような。

そういえば前まで何本も掲載されていた、新人の瀬戸ミクモの作品が最近載ってないなと思って少し検索したら、7月にカプトンの漫画家の所へ来たようななツィートがあったので、アシスタントをして漫画の修業を積んでいるのだろうか。

今回の「仕事場見たいし!」は『ぼくらのカプトン』のあずまよしお。 相変わらず漫画家の、漫画家としての背景を探るようなレポ漫画ではなかった。 そして、10号(2010年03月号)以来久々に「ちょっと腹ごしらえ。」のコーナーが掲載されていて、この第2回目は『よしとおさま!』の四位晴果が「ちっさいシフォンケーキ」のレシピを紹介していた。 細かい説明もあるかなりちゃんとしたレシピだった。 あとは、ゲッサン連載陣の出身地別データが小さく掲載されていた。

しかしこの号のあだち充の表紙はいいなあ。


ゲッサンの感想を書いてる内に、後から読むと訳が分からないからその回の大まかな粗筋も書くようにしたのだけれども、たいがいかなり雑にまとめているので、後で粗筋を読んでもよく分からなくて当初の目的を果たしてないなと思たりする。 でも粗筋をまとめた時にその粗筋から小さなエピソードが幾つも漏れてしまうのはちょっと好きだ。 粗筋も間違ってはいないけど、実際に作品を読むと全然印象が違いそうな感じが良い。 話の筋をちゃんと知りたい場合にはこういう雑な粗筋は不適切だろうけど、まとめ方で色んな粗筋になるのが面白い。

ゲッサン22号(2011年03月号)

  • 『ハレルヤオーバードライブ!』 (21話)小雨達のライブイベントの最後に冬夜の兄でありハル達の先輩である男が現れて1曲歌を歌い、その後その男がハルと喧嘩になったのを小雨達が止める、という話。  ずっと伏線を引っ張ってきた因縁の元部員が本格的に登場したけども、物語の重要な鍵である禁物なのに、全然魅力が感じられなくて、ただの脇役の小悪党って感じなのが残念だった。 その男がハルの曲を盗んでいた事が今回発覚したので、この盗んだ曲をどう扱うかが今後の軸の1つになっていくのだろうか。 この男とハルがいずれバンドを組む事になりそうな気もする。 相変わらず間や感情の機微を描くのが雑だなあと思った。

  • 『QあんどA』 (22話)色々あって夏祭りの話し合いで、安藤弟達の町内では肝試し大会をすることになった、という話。  遊歩が、昔、溺れた自分を助けたのが本当に安藤兄なのかさっそく疑問に感じ出していた。 今回の展開を読んでいて、お盆の話になっていきなり最終回になってもおかしくない気がした。

  • 『Waltz』 (17話)岩西が指の手術をしてもらう事になり蝉と別れ、蝉が岩西からの連絡をホテル待つ間、苺原は首折り男の真似をして殺人を繰り返していた、という話。  蝉が一人ホテルで待ってる間に岩西のことを色々考えてるのが読んでいて気持ちよくなかった。 あと苺原はいくら恩人の身代わりとはいえ、殺人者になるのは安易過ぎないだろか。

  • 『リンドバーグ』 (22話)シャーク達と黒薔薇七銃士隊の戦いの続き。  シャーク中心に話を進めると面白いと何度か書いたけど、前回に続き面白くはなかったな。 結局シャークがエスペランサと直接対峙したるから面白かったのかなという感じ。 黒薔薇七銃士隊の中で能力が最下位扱いのアーチとシャークの戦いの方が、緊張感も迫力もあって面白かったなあ。 今のところ黒薔薇七銃士隊の凄さが伝わってこない。 あと、ニットがシャークに言われて本来の自分の目的をやっと思いだしていたけど、自分の本来の目的と、今の戦乱状態をどう結びつけるのか気になった。 普通に考えて今楽しく大空を飛びたいとか思ってる場合ではないから。

  • 『とある飛空士への追憶』 (18話、終章(最終話))シャルルの精一杯の別れの挨拶をファナは胸に抱き、2人は離ればなれに、という話。 とエピローグ。  情感の込められたなかなかに良い終わり方だった。 ただ、情緒的な独白が続く中で、所々簡略化され過ぎに描かれたキャラクターの絵が目にはいるのは興ざめだった。 146ページの真ん中のコマや149ページ一番下のコマなどがそうだ。

    総括として、この作品で率直に良かったと言えるのは16話と今回の18話くらいのもので、全体的に絵の未熟さが目立ったし、その未熟さが作品を読む時の印象に悪い影響を与えた部分が結構あったと思う。 もう少し背景や小物の描き込みに気を遣って欲しかった。 ゲッサン編集部は修業のつもりで描かせたのかもしれないけれども、飛行機が活躍する作品でメカが全然描けないというのは致命的過ぎた。

    あと、空中戦で命の奪い合いをしているわけだけれども、シャルルとファナが小中学生くらいにしか見えないのがもう少しどうにかならなかったのかなと思った。 あと、この作者の読み切りが既にゲッサンで掲載されているようだけれども、また背景の殆ど白い漫画なのだろうか。

  • 『ぼくらのカプトン』 (34~36話)バレンタインの日に、主将が自作のチョコを持ってきて貰ったと見栄を張ろうとしたら、自分のチョコが無くなっていた代わりに謎の別のチョコがカバンに入っていた、という内容の謎と答えの2本と、後輩が柔道部と揉める話の1本。  チョコの話はけっこう面白かった。 女性マネージャーーもやっと魅力的に見えた。

  • 『アオイホノオ』 (34話)卒業後の進路に不安を覚えつつも、授業の課題で映画を見に行くホノオ達の話。  大学の先輩の職種のオチとか、同級生との映画の言い合いが面白かったけど、話のテンポが少し間延びしてる気もした。 あとホノオが何かやっている時に偶然アニメに出くわすってパターンは、事実を元にしてたとしても繰り返され過ぎと思った。 最近だと教習所の授業でのアニメ上映と待合室でドラえもんのアニメが始まるのがあったっけ。

  • 『BULLET ARMERS』 (9話)前回から引き続き、イオン達とベイカー2人組が戦いつつ、その最中、もう1人のブリーダーが現れる、という話。  ほとんどが作者得意?のアクションシーンで結構面白かった。 アクションの盛り上がりと、強い謎の新キャラ登場と、なぜベイカー達がブリーダーを執拗に狙っているのかを語ろうとする感情曲線が、上手く重なり合って、ありがちな展開だけど読んでいて盛り上がった。 ただ、ベイカーの女が、戦ってる途中で髪留めを外す意味が分からない。 長髪がばらけて余計動きづらくなるはずだけど、そういう常識的な事を作劇する時に考えてないのだろうか。

  • 『信長協奏曲』 (22話)信長に扮するサブローが部下を四つの軍団に分け、他方で浅井家は将軍足利義昭に同調して織田に反旗を翻そうとしていた、という話。  これからは陰謀話がメインになっていくのだろうか。 木下籐吉郎が名前を羽柴秀吉に変えたけど相変わらず影があって怪しくて良いなあ。 面白かったけど、サブローの性格を今後どう見せていくか気になる。

  • 『まねこい』 (43話、44話)前回砂浜に登場した怪しげな集団の思惑にハル達が巻き込まれる、という話。  存在理由のよく分からなかった山崎が、ただエッチなだけの子じゃなく勇気のある人間だったってのが意外だったな。 文系のグループの中での肉体派だったとは。 山崎はすぐ海老蔵似の男の仲間にボコられていたけど、やっぱりこの漫画はほんわかしつつエロとバイオレンスの扱いがちょっとどぎついなと思った。

    最初から振り幅の大きい作品だと提示されていたわけじゃないけど、なんか、不倫話とか今回の暴力とか、富永先生が地位を利用して美少年を漁ってるとか、ドロドロしてるんだよなあ。 それらを笑いとか軽い感じにいまいち落とし込めていないのが自分が引っかかる所。 色んな他のハードな作品と比べたらその手の表現も軽いし緩いけど、この漫画の世界観では違和を感じさせるっていうか。 初期のハルの心の機微を丁寧に描いてたのは偶然だったのだろうか。 現状では回りの人物を動かしすぎて主人公が全然魅力無いものになってしまってる。

  • 『忍びの国』 (22話(最終話))信雄が伊賀に負けた事に怒った信長は、無門の忠告もあって伊賀を滅ぼした、という話。  結局見たかった傲慢な伊賀がその奢りによって滅ぼされるというシーンが簡潔に片付けられてしまってガッカリ。 自分的には主人公の無門を始めとして、伊賀も織田も魅力的な人物がほぼいないままだった。 少し興味が持てた平兵衛も、序盤に目立ってた割りにはただの脇役でしかなかったし、対立した人間関係の怨みとか情念を上手く読ませて欲しかったなと思う。

    連載話数は最初からある程度決まって連載が始まったと思っていたけれども、最後は詰め込みすぎで、無門の生死を曖昧にするにしても中途半端さが拭えない終わり方に思えたし、話数が数話削られたりしたのだろうか。

  • 『ばれてるよ!ジャンボリーヌ』 (9話)中嶋が城ノ内の家に行く話。  城ノ内の家は大きない屋敷で家業がヤクザだった。 相変わらず特に面白くもない展開が続いて終わるわけだけど、城ノ内を特異なキャラにし過ぎたせいで、このさくしゃの持ち味の緩いギャグが殺されてるのではないだろうか。 ギャグより変な見た目が目立ってしまうというか。 面白くない人は何やっても面白くないというか。

  • 『コバルトブルー360』 ゲッサンに何度か8ページ読み切りを掲載されている雪丸の本格44ページ読み切り。 父親の死後生きる気力を失った少年が、ある島の寮へ移住した事で起こる心の変化を描いた作品。  父親の死後1年引き籠もっていた少年の物語って所がいかにも雪丸っていうか、相変わらず感傷的な設定で話を始めるんだなと思った。

    ただ今回の作品は上手くページ内にまとめられなかったのか、ページ数は多いのに話運びが性急で間が詰まってて、今までの作品で上手く描けていた登場人物達の内面描写が雑になった印象。 少年が寮に着き玄関を開けるとそこに少女が立っていて驚きもなく普通に会話を始めたり、バスケをやってる人を見てすぐに誰なのか名前まで分かるとか、その後主人公もバスケをやるけど肝心の主人公が動く部分が略されてるとか、悪い意味でご都合主義に見えるし、省略の仕方が上手くないと思う。

    少年が母親や自分の境遇をどう思っているかを少年本人が語るシーンが作中省略されているのに、その省略された話の物言いについて、プロのバスケ選手やヒロインが批判するので、読み手としては略されてる部分を知らな状態で、いきなり少年が怒られてるのを読まされて戸惑ってしまった。 これは分かりづらいと思う。 過去に何があったかは一度描かれているから略しても良いだろうけど、その過去に対して少年がどういう言い方をしたかは、その後の登場人物達の関係を描く時に重要なポイントとして使っているのだからそこを省略したら駄目だと思う。

    たとえばヒロインの子が少年に対して「ママにもとうとう追い出された」、「本当に追い出されたなら~」って事を言うけど、これはどうもヒロインの子に少年が母親に追い出されたって言い方をしたようなのにもかかわらず、少年の口ぶりが略されてるし、ヒロインの子がわざと悪意のある言い方をしたようにも受け取りうるので分かりづらいのだ。 それと、集団から外れて個人行動を取る人間が悪いみたいな誤解を与えかねない描写があるのが気になった。

    今まで読んだ雪丸の作品で一番面白くなかったなあ。 編集はスポ魂物を描かせようとしてるのかも知れないけど以前の別冊付録の『LIAR MAN』も熱血部分とのバランスに危うい感じがあったからこの路線は不安だ。

  • 『FULL SWING』 (10話)プロサッカー選手になるのを機に交際していた教え子を捨てた元教師の男が、今もその事を引きずっている、という話。  原作のせいだと思うけど、雨で濡れた女生徒を自分の部屋でシャワーを浴びさせて、その後生徒側からのモーションで教師が関係を持ってしまうっていうパターンが古いし安易な展開だなと思った。 話の中心の1人である女の子がただ一途なだけの少女になってしまってるけど、自分を振った男に対してもうちょっと怒ったりとかひねりがあったら良かったかも。 今回の主人公は前回出てきて予想した借金苦の男ではなく前々回に出てきたサッカー選手だったな。。

  • 『ここが噂のエル・パラシオ』 (22話)かつてエル・パラシオにいたアズミが桜花達の前に現れたのを切っ掛けに、エル・パラシオの過去が少し語られた回。  桜花がアズミと戦おうとしない理由も伏せられたままだし、過去と言っても昔はエル・パラシオには人が多くて引き抜きにあって減ったくらいしか語られてはいないので、ただの引き延ばしに思えた。

  • 『よしとおさま!』 (22話)サビ丸がプライベートな時間をどう過ごしているのか気になったよしとおが、サビ丸に一日任務休みを与えて行動を調査する、という話。  サビ丸がみんなに興味を持たれる、愛される、心配される、というサビ丸を中心とした過保護な展開を続けてるわけだけれども、話の筋が弱いと思う。 サビ丸は作中でなにをやっても大目に見てもらえるし、よしとおはサビ丸の引き立て役でしかないし、本当にただサビ丸に萌えてもらおうとしてるだけのような漫画だ。

  • 『妹先生 渚』 (9話)なんやかんやあって、渚率いる素人同然の剣道部と他校の強豪の剣道部が練習試合をすることとになる、という話。  「泣かせたくない奴がいるんだ」とか、恥ずかしくて読むのがしんどいセリフもあるけど、光路郎の帰国とか色んな事象が絡まり合って読み応えはあったと思う。 光路郎の2人の子供の描かれ方が、フェチ的な方向に行かない雑な可愛らしさがあって良かった。

  • 『アサギロ』 (22話)沖田と土方が野盗の子分達を倒した後、野盗の頭と土方の一騎討ちで決着する話。  野盗と土方のエピソードはそれなりに時間をかけて描いてきた割りには、頭との戦いがあっさりし過ぎだったかな。 土方と野盗の頭の斬り合いに迫力があったんで読後物足りないって思いは少なかったけど、展開が微妙に駆け足だったのが残念。 沖田が、お弓と小菊の遺体に伏して泣いている土方を見て心配そうな顔をしていたけど、沖田は人の死や人斬りを軽視した所があるように描かれていたので意外だった。 侍じゃない女性の死に反応したのだろうか。

    あと、話の最後に沖田が紛失した刀がやっと沖田の元へ戻ってきたけれども、沖田の刀の意味やその重さについては思わせぶりなまま何も沖田が学ばず返却されたので肩すかしだった。 それと、以前山中での土方と野盗の戦いで、何人か斬ったせいで、土方の刀の切れ味が鈍ったりというリアリティを作中で表現しておきながら、今回は野盗を何人も斬った後でさらに野盗の頭を斬っても刀が特に問題ないみたいになってるのには違和感を感じた。 読んでいて混乱するのでリアリティを統一して欲しいかも。

  • 『イボンヌと遊ぼう!』 (23話)マコのお姉さんはイボンヌ達天才を企業や研究機関に派遣する会社の社長をしていたのだった、という話。  唐突にマコ姉が登場したけれども、イボンヌの今後の伏線になっていくのかな こういうエージェントなら、はじめ達が進学してもイボンヌがまた先生や研究者としてはじめ達の前に現れてもおかしくないし、物語の舞台を、高校にこだわらずにころころ変えていけそう。 で、マコ姉の風貌がまた相変わらず中途半端な出来なのだけど、船に着地失敗するのはベタだけど面白かった。 

  • 『いつかお前とジルバを』 (31話)マリーがジルバにバレンタインチョコを渡して、ジルバがボスの座を狙われていると勘違いする話。  今回は珍しく面白かったし、弓がハートを射抜いている絵を見て、自分の心臓が狙われてると思うとか、ジルバの勘違いの発想の飛躍の仕方が納得できて良かった。

  • 『マコトの王者』 (22話)天堂の中に入った大地マコトとジョーンズの試合の続き。  妹の声援で気力が漲ったマコトは、(本当の)天堂にも家族や回りの支えがあって自分の力が出せるのだということを天堂本人に教えるのを決意したのだった、という話。  試合は前回と比べて絵に迫力があった良かった。

  • 『第三世界の長井』 (20話)長井が上書きされる事で周辺に影響を与えてしまうとの事。 設定を全然覚えていないので上書きが何を指すのか分からないのだけど、そういことらしい。 今回はまた設定の話になってややっこしくて特に面白くはなかった。

  • 『月の蛇』 (22話)翠華の許婚の意向によって翠華と飛虎が引き離されたが、飛虎は翠華本人に会って直接どうしたいか聞く事を決意する、という話。  翠華の許婚の妹が梁山泊の人間だったという事が発覚したけど、死んだはずの妹というのが少し意外だったものの、婚約者はやはり梁山泊と何らかの関わりがあったのだな。 あと、所々に入るコミカルな表現がシリアスな話の腰を折ってる感じがして良いと思えなかった。


1月号からプレゼントの当選者総数を増やしたので「ゲッサンこぼれ話」のスペースが小さくなったとのこと。 でも前もスペースが小さかった事ってあったような。 「仕事場みたいし!」はイボンヌの作者である荒井智之が登場。 イボンヌの作風と今回のレポ漫画から、イボンヌの作者は無理しないで出来る身近な範囲内で几帳面な事をする人という印象。 「連載陣のしてみる日常。」は、福井あしびと中道裕大とマツセダイチ。

ゲッサン21号(2011年02月号)

  • 『忍びの国』 (21話)無門が伊賀の里へ戻り謀反を起こそうとすると、止めようとしたお国が死んでしまい、その死に衝撃を受けた無門はお国の遺体を抱いて消えた、という話。  前回も書いたけど、このタイミングで無門が伊賀に対立するのが今更過ぎてピンと来ないし、お国も忍や無門の力を理解せず争いに飛び込んで無駄死にしたなという印象。 お国は無門が帰って来た時には既に自殺してるか、伊賀の評定衆に殺されてるかと思ったら違っていたし、無門も伊賀勢と殺し合うかと思ったら何もせずじまいで肩すかしだった。 次回最終回との事。

  • 『QあんどA』 (21話)昔、溺れた遊歩を助けたのが庵堂兄ではなく庵堂弟だったというのが発覚する話。  やっと主人公である庵堂弟に水泳が上手いという長所が出てきた。 遊歩を助けた過去と合わせてこれで主人公らしくなってきたかも。 でも考えてみたら、『タッチ』でも主人公の達也は特に取り得のないような生活をしばらく送っていたんだっけかな。 ボクシングやり出した時期やスイングが速くてバットにボールが当たらないエピソードがどれくらいの話数で出てきたかが思い出せない。

    で、遊歩が昔庵堂兄に助けられたってエピソードだけれど、いつ出てきてたかと思って6話くらいまで調べたら庵堂兄に影響されて陸上始めたって話はあったけど、助けられたエピソードが載ってなかったし今回初出なのかな?  前に読んだ気がするのだけども。 それにしても『QあんどA』の1話を読み返したら凄く面白かった。

  • 『FULL SWING』 (9話)モデルの仕事をしてる女性が、ふとした切っ掛けで知り合った子連れの男と付き合うことになる話。  主役の二人は、まだ付き合う前の惹かれあってる段階のレベルに見えるのに、付き合いをやめるとか一緒に住むとか言い出して、急な話運びに感じられた。 特に子連れの男の方の、ヒロインに対する心の動きが描かれないので、「あなたを好きになればなるほど」というセリフにも説得力を感じなかったな。

    あと、今回のヒロインが、この男を好きになる切っ掛けになるシーンを印象的に見せるための表現とは思うけど、「これ以上自分を嫌いになりたくない」的な月並みなセリフを言いつつ大ゴマで顔がアップになるのは読んでいて恥ずかしかった。 次回の主人子は今回出てきた、子連れの男と一緒に借金を背負った人と予想。 ちなみに今回のヒロインは、前回にも出てきていたのに前話を読み返すまですっかり忘れてた。

  • 『とある飛空士への追憶』 (17話)シャルルがファナの乗る飛空船の所へ戻ってきて、機体を使ってシャルルなりの別れの挨拶をする話。  遠景の飛行機の絵がやはりおもちゃ見えるくらいチープだし、背景や登場人物の服など描き込みが足りてないしで絵的な説得力が弱いように思った。 重要な話で群衆の描き方とか、ディテールの弱点がモロに出た感じ。 シャルルの最後のアクロバット飛行も空間的に空をどう飛んでるのか全然分からないし魅力的にも見えなかったのが残念。

    カラーページや数カットのコマで、飛行機のパースが上手かったり光源を生かした処理がされていた絵があったけど、あれは何かをモデルに描いただろうか。 ファナの感情の変化も上手く表現できてないと思う。 
    前回が良すぎただけにもったいない回だった。

  • 『Waltz』 (16話)蝉に助けられた岩西が、フロイラインの社長を人質に車で逃走しつつ社長に取引を持ちかける、という話。  前回省略された、蝉が縛られた椅子からどう脱出したかが描かれていた。 岩西と社長の駆け引きがなんだかピリッとしなくて、車で道路を逆走した時にも絵に緊迫感を感じなかったな。 今回は岩西に付けられた「蝉」という名前を蝉が受け入れるというのが肝の話だったけど、蝉の岩西への甘えたような態度がまた出てきて苦手だった。

    ところで、切断された岩西の指が手術で戻りそうな気配だけども、IKKIで連載されていた松本次郎の『フリージア』でも、叶が指を撃たれて欠損した後で義指を付けて見た目分からないような展開になってたし、噂でたまに聞くように小学館では指の欠損はNGなのだろうか。 『Waltz』では切断された手自体を描いていないし。

  • 『ばれてるよ!ジャンボリーヌ』 (7、8話)城ノ内の妹が初登場したりする話。  妹も重いカツラを被っていたわけだけど、髪型推しはも初回の時点で十分面白からずだったし、ギャグもさらに緩くなってるようだし読むのがしんどかったな。 学園ギャグ物としても上手く行ってないように思う。 登場人物達全員に魅力がないと思う。

  • 『アオイホノオ』 (33話)クリスマスの苦い想い出を交えつつ、ホノオが大学の課題を教授に怒られる話。  他人が求めているものとホノオのやる事とにズレがある、という事だけ分かれば良いような話だった。 周りの人間の身勝手で理不尽な様が描かれたのは面白かったのでもっと掘り下げて欲しかった。 ところで作品内容とは関係ないが、小学館は雑誌の柱で、やたら有名人の~さんが絶賛とか宣伝したがる所が煩わしい。

  • 『まねこい』 (41、42話)歴史研究会の合宿の続きで、みんなで海水浴に浜辺へ来たら不良にナンパされそうになる話。  猫太郎の不倫話や今回出てきた海老蔵似な新キャラの暴力と、この漫画のモラルの基準がどこにあるのか相変わらず分からないな。 別に残酷な話や情念的な話でも良いんだけど作中の表現に統一感が感じられないのが読んでいて引っかかるわけで。 ラブコメって感じが全然しない。 相変わらず脇のキャラやエピソードに時間を割いて肝心のハルとホンチーの印象が薄いのが残念。

  • 『BULLET ARMORS』 (8話)イオンとセレナがブリーダーだというのがバレて、ベイカー達に命を狙われ逃げまくる話。  やっぱりベイカーやブリーダーって言葉だけでは何なのかピンとこないから言葉の選択ミスだと思う。 バトルでのアクションは相変わらず工夫して描いていてそれなりに良いけど、登場人物達に魅力を感じないので、読んでいて展開に興味を持ちづらかった。

  • 『アサギロ』 (21話)人質にされた土方の知人2人を助けるために土方と沖田が2人で敵地へ乗り込む話。  沖田は近藤に指名されて助太刀になったわけだけど、持ってる刀が竹光だとバレるのがアッサリしすぎていたな。 沖田が貰った刀の意味を知る時もアッサリしそうでなんか嫌だ。 今回は緊迫した状況なのに土方がギャグ漫画のように表情をころころ変えすぎだったのに違和感を感じた。 カラーの抑えた色合いが綺麗で好きだなあ。

  • 『ハレルヤオーバードライブ!』 (20話)麗に助けられて何とか最後の曲は良い感じに演奏できた小雨達が、ハル達先輩のバンドとの圧倒的な力量差を実感する、という話。  ハル達のバンドが何が凄いのか、迫力がある以外よく分からなかった。 この作品は演奏技術や精神状態の話は出てくるけど曲自体の善し悪しって語られてない気がする。 あと動物を迫力の比喩として出すのは稚拙な感じがして今も違和感がある。

  • 『ぼくらのカプトン』 (31~33話)31、32話の敵チームを偵察する話は、珍しくサッカーを掘り下げてて少し面白かったけど、33話のどっちがエロいかってい妄想話は、妄想が安易で良くなかった。

  • 『リンドバーグ』 (21話)前回登場した黒薔薇七銃士隊のキリオがシャーク達への攻撃を開始する話。  前回書いたように、キリオに魅力を感じないので、そのせいか、キリオが中心になった今回の話はピンとこなかった。 キリオ達の空中戦も、アップで描くから相変わらずどういう空間でどう動いてみたいな事がよく分からなかったし。 

  • 『よしとおさま!』 (21話)よしとおの妹の葵に忍の里から女の付き人がやって来る話。  今回はよしとおもサビ丸も回想でしか出てこなかったけど、男性読者向けのテコ入れなのだろうか。 前にも書いたと思うけど、この作者の描く女性は、色気や女性キャラとしての魅力がどこか足りてないと思う。 今回も、所々、葵や新キャラの付き人シロ子が男の女装に見えて仕方なかった。 葵がサビ丸の事ばかり考えていて、命を狙われている母違いの兄のことを大して気にかけてないのは作者がよしとおに興味がないからじゃないかと思うけど、話を広げてると言うことはこの漫画はまだまだ続くと言うことか。

  • 『男前だぜ猫番長!』 (読切)二頭身キャラへ変身できる兄弟が喧嘩をする話。  話も設定も緩くてただアクションが描きたかったので描きました的な漫画。 幾ら8ページしかないっていっても描くものをバトルに絞りすぎだと思う。 絵はこなれていてそれなりに上手いけど、これといった新しい何かは感じられなかったかなあ。 最後のオチもいくらでも取り替え可能で何とでも言えるし。 ゲッサンは『No.1海堂』や『BULLET ARMORS』とか、この手の内容が緩くてアクションにだけ力を入れるような漫画をプッシュし続けるのだろうか。

  • 『妹先生 渚』 (8話)日高達が剣道部に入部することになったのだが、剣道部はとある部員のせいで廃部同然になっていた、という話。  日高達がやられた相手に渚が剣道で立ち向かうという形は、この漫画の第1話を踏襲しているし、、光路郎の作品内への直接的な介入も含めて仕切り直しというか、本編第1話、という感じでもあるのだろうか。 渚のリアクションが相変わらず見ていて恥ずかしかったし、剣道部の問題は後付けなんだと思うけど、問題児を今まで放置していたというのは渚らしくない気がした。 今回は32ページで、この作品の後ろではなく前のページに新人の短編読み切りが掲載されていたし、目次にもちゃんと載っていた。

  • 『イボンヌと遊ぼう!』 (22話)アルパカが寒がっている夢を見たイボンヌは、気になって校庭のアルパカ小屋へ行き本当に寒がっていたのを知り、電源の来てないその小屋で、色んな方法を使って電気を起こし、電気ストーブで部屋を暖めようとする話。  今回はイボンヌと久々の校長先生しか登場しておらず、再びセリフがほとんどない状態で作品が展開されていた。 いつもの仲間がいないせいか中途半端なギャグみたいなものもなくホンワカして良い感じだったけど、電気ストーブにこだわりすぎ。 あと、今回に限ったことではないけど、イボンヌの顔がいつのまにかハンコ絵みたいな同じような固い顔ではなく表情豊かになっていて良いなと思った。

  • 『マコトの王者』 (21話)天堂の中に入った大地マコトが、前王者であるジョーンズと、大地の中に入った天堂マコトとの試合を賭けて戦う話。  ほぼ試合シーンだけのエピソードだったけど、いつもと違い、試合の迫力や緊張感が足りなかったかなあ。 読んだ時の自分の体調や精神状態のせいかも知れないけど、天堂の中に入った大地マコトがピリッとしない試合をしていた、という意図的な表現とは違う鈍さを感じた。

    あと、試合はどんどん進んで行くけど、読んでいてちょっとついていけなかった。 今回作中にこの作品のタイトルである「マコトの王者」という言葉が出てきたけれども、これは作中では初登場かな? 前回も話が性急な感じがしたし、そろそろ作品の終わりが来てているのだろうか。 終了が早まったとか? とにかくこの作品は基本的には地味ながらも良作なので丁寧に描ききって欲しいと思う。

  • 『いつかお前とジルバを』 (30話)ネコミミ娘がバイトしてる神社にジルバが行って、色々ふざけたことをする話。  猫の集団がそばにいるのにネコミミ娘は気づかないで関わらないまま話が終わってしまった。 みんなで最後にウサギの顔になるという、中途半端にほのぼのしたオチとも言えないオチは『イボンヌ』みたいな感じだけども、この漫画に関しては『イボンヌ』と違ってちょっとイライラしてしまうのはなぜだろう。

  • 『ここが噂のエル・パラシオ』 (21話)アズミがエル・パラシオにベルトを取りに来たのは、自分の企画したリーグ戦に桜花を参戦させるための罠だった、という話。  シリアスな展開にはなったけど、正直言って、この作品の話自体が面白いと言えないし、登場人物達にもあまり魅力がないから微妙な謎を引っ張られても、興味が持続せずに、読み続けるのを面倒に感じてしまう。 何が謎なのか覚え続けるのが面倒。 リーグ戦をやると言うことは、まだまだ話は続くと言うことだろうか。

  • 『第三世界の長井』 (19話)数話前に久々に出てきた謎の女は謎のままなにもしないで消えてしまった。 こう書いてるとシュールで面白いような気もするけど、読んでる限りでは面白くはないのだよな。 今回は、長井が変身した時に頭に付いてる丸いものは、生体部品でありそれ独自でしゃべることが出来るということが分かるのだけど、結局おしゃべりな脇役が増えただけで余計分かりづらくなりそう。 誰が出ても何をやっても結局会話だけで話が展開するからラジオドラマみたいだ。 今回は全体的に面白くなりそうでなれなかった感じ。

  • 『月の蛇』 (21話)梁山泊の総統がはっきりと姿を現し残忍な一面を見せる傍ら、怪我をした飛虎の療養のために翠華の許嫁の屋敷に匿われた一行だったが、飛虎が目覚めると、屋敷に仕える老人から、旅は終わりで翠華にはもう逢えないと告げられたのだった。  今回は翠華の許嫁が現れたり、青磁が翠華の復讐を諦めさせ梁山泊から手を引くよう命じられていた事が発覚したりと面白かった。 翠華がここ数回妙に恋愛モードになっていたのは、許嫁との間で気持ちを揺らす展開にするためだったのだな。 飛虎と梁山泊との戦いを読むよりも面白かったかも。 この許婚は梁山泊と裏で繋がってたりして。

  • 『信長協奏曲』 (21話)信長に扮するサブローと足利義昭との関係がさらにおかしくなる話。  サブローのマイペースさが鼻についてきた感じ。 今回改めて思ったけど、誰かが信長に扮するサブローにお願いをする→あっさりOKを出す→お願いした者がワンテンポ遅れて驚く、というパターンを作中で使いすぎてると思う。


この号はなぜか読むのに凄く時間がかかってしまった。
巻末の「ゲッサンしてみる。」のコーナーは、「仕事場見たいし!」しか無かった。 このレポ漫画はここの所増ページが続いてるけど増ページせずに他のコーナーを載せて欲しい。