2010年4月30日金曜日

ゲッサン10号(2010年03月号)

  • 『とある飛空士への追憶』 (6話)銃撃シーンなどは、今までに比べたら頑張って描かれていたし、積乱雲を抜けた後や夕暮れの風景は、トーンを使ってそれなりに雰囲気を出していたと思う。 でも海に激突した敵機も、もうちょっと破片に敵機のトーンを貼ったり破片を増やしたりすればいいのにと思った。 今回の話で疑問だったのは、敵の銃撃で飛行機の風防が割れた状態で、しかも銃撃され続けている状態で、座席の前後であそこまでちゃんと会話ができるのだろうかという事だった。 今まで1コマまでも入れてた会話する口に当てる奴が今回一切出てないし、ファナは両手を膝において使ってる素振りもないので。
  • 『QあんどA』 (10話)主人公とヒロインが団子屋で強盗に遭遇する話に楽屋ネタを絡めた、思いつきで作ったような話。 これでいいのだろうか。
  • 『まねこい』 (19話、20話)ホンチーがハルと同じクラブに入る話と、リアと猫太郎が顔見知りなのが発覚する話。 ホンチーのリアクションは天然と受け取るにはあざと過ぎて、逆に嫌味に感じてしまった。 リアと猫太郎が知り合いって事で猫太郎が活躍する機会も増えそうだけど、解決してない事がどんどん増えて話がどんどん広がっているし何巻くらいのつもりで描いているのだろうか。 まとまる頃にはかなりの巻数になってそうだ。
  • 『Waltz』 (5話)首折り男と間違われた高校生は拉致されて、残された主人公が、その拉致した殺し屋集団と殺し合う話。 話は面白いと思うけど、駄々をこねて甘えるような主人公が同姓としてやっぱり苦手。 苦手ばっかり言っててもしょうがないけど。 あと、高校生と首折り男は同一人物で二重人格なのかなあと思えたがどうだろう。 それにしても、主人公のあだ名が蝉とか、時間通りに殺人をする殺人集団の名前がチクタクとか、このセンス本気なのかと思ってしまう。
  • 『ここが噂のエル・パラシオ』 (10話)今回はバニーの敵役として毎回負けているレスラーの気持ちの話。 いつになく試合をじっくり描いていて、試合をしてるレスラーの内面も少し掘り下げられたエピソードだった。 でも、ありがちな話を可も不可もなく漫画にしたような内容だったかなあ。
  • 『アオイホノオ』 (22話)今回の話はオタクと一般層の興味のベクトルが違う的な話なんだろうけど、話が今ひとつピンと来なかった。 というのは学園物というのはほとんどの人が学生生活を経験しているので共感しやすいし設定がすんなり受け入れられるのが魅力だと思うけど、ホノオの友人達へのリサーチの仕方では、学園物が人気なのか恋愛要素が受けてるのかよく分からないと思うからだ。 かろうじてツダさんだけが恋愛じゃなく学園物に反応してるように思えるけど、ドラマが好きなだけで金八以外の学園ドラマには興味がないかも知れないし。 ホノオって結局、漫画を描く事に対して、戦略はあっても描きたいテーマや物語はない人間なんだよな。 そういう人間が右往左往するのがこの漫画の面白さではあるんだけども。
  • 『アサギロ』 (10話)解説者山南の、存分な解説力の発揮で山南と沖田の試合が面白かった。 これからもその解説力で色んな剣士や局面を解説して欲しい。
  • 『いつかおまえとジルバを』 (16、17話)前は四コマの方が面白いと書いたと思うけど、今回の四コマはかなりいまいちだった。 四コマじゃない17話の方はまあまあだったけど、猫が作ったコタツの発想の面白さがよく分からなかった。 前半のコタツのネタ振りが良い感じだったので残念。
  • 『ハレルヤ!オーバードライブ』 (9話) ハルが新曲を考え中に小雨と麗が勝手に恋愛で空回りする話。 演奏シーンが相変わらず読んでいて恥ずかしかった。 日常と演奏シーンの描き方に少しズレがあって、そのズレがまるで無いかのように繋がってるから変な感じがするのだと思う。 知り合いが目の前でいきなり乗ノり出したり本域で演奏したり歌ったりしたら、凄いと思うだけじゃなくなんか気恥ずかしくもなると思うんだけど、その手の繊細な機微はスルーしてるからかなあ。 それと、 主人公はヒロインに構ってもらいたがってばっかりでいまいち魅力を感じない。
  • 『マコトの王者』 (10話)前回、天堂の所属するジムの会長が、次から天堂を弱い選手としかマッチメイクしないと町村に言ったので、今後その事を知った時に、天堂(の中に入った大地)マコトがどう反応するか気になったけど、今回は、天堂(の中に入った大地)が、現状ではその弱い相手にすら勝てない、天堂の体を使いこなせない事が発覚して面白かった。 7話の寸止めスパーリングで天堂の体が思うように動かなかったのは怪我や後遺症のせいだけじゃなく、今まで使っていた体の違いや、その違いから来るファイトスタイルのせいでもあったのだな。
  • 『忍びの国』 (10話)伊賀者が数人寝返り復讐を決意し、自分が信雄に反目することも含めて全て伊賀の壮大な計略の手の内だった、と天膳が気づき、信雄と家臣一丸となって伊賀を攻める事を決意する話。 大筋は面白いけど、結局天膳が一番偉くて天膳の思うままに伊賀を攻めるみたいな話になっていたのが自分にはいまいちだった。 もうちょっと天膳があえて信雄にへりくだるというか、信雄が天膳達に誤り天膳が許すシーンをもうちょっとじっくり見たかった。 ところで今更だけども、どうやら平兵衛ってただの脇役っぽいな。 残念。 今回は無門が出てこないしギャグ要素が無いこともあってか読みやすかった。 あと、いつのまにか登場人物の感情表現を、大げさにはあまり感じずに読めるようになってたな。 慣れもあるだろうけど空回りして盛り上げてる感じがしないから漫画家の描き方も上手くなってるのだと思う。
  • 『リンドバーグ』 (10話)飛行レースがあることや海賊達の隠れ家である島の地形などが『紅の豚』めいてきたけど、ニットは外の世界について驚かなさすぎな気がするので冒険の一過程という感じがしないなあ。 ニットとやたら張り合おうとするマセた女の子のルゥルゥは良いキャラと思う。 ナンナやルゥルゥとか色気のある女性キャラを描けてるし案外普通の恋愛物とか描くと受けたりして。 まあ自分が読んでみたいだけとも言う。
  • 『よしとおさま!』 (10話)刺客である綿貫の再登場話。 よしとおの隣に住むのでこれからレギュラー化するんだろうけど、男の友情ややさしさに対する男のリアクションを恋愛っぽく描くのには相変わらず変な感じしかしない。
  • 『月の蛇』 (10話)翠華の過去と、目的を復讐と知ってなお翠華に協力する飛虎の話。 ありがちではあったけど、翠華の兄との過去はそれなりに面白かった。 ただ、私怨だとしても翠華に協力する飛虎に対して翠華が心を動かされるのを、恋愛と安易に同一させ過ぎかなあ。 そのせいで翠華がちょっと安っぽいキャラになってしまったように思う。 あと、翠華の顔の歪み方が今までの描き方と少し違う気がしたのと、相変わらず翠華の「キミ」呼ばわりと林沖の粗野な口調がキャラに馴染んでないような違和感を感じた。 梁山泊の幹部会議みたいのが開かれていたので梁山泊側が大きく動きそうだけど、反梁山泊側はこれからさらに仲間を増やしたりするのだろうか。
  • 『権力の犬 ポリスワン!』 (10話)内容にかかったタイトルだけが面白かった。 今更呪怨ネタってギャグ漫画としてどうなんだろうか。
  • 『青春グラフィティ』 (読切)惰性で生きてた高校生が目的を見つけるという話。 主人公と女美術教師の目線だけで話が進み過ぎているので、落書きの問題や、他の教師が注意する理由などの一般的な常識と2人の目線のバランスが取れずに一方的な話にしか思えなくて釈然としない読後感が残った。 主人公が殴られてたけど、本当は恐喝する生徒と向き合うべきなのは教師だし恐喝されてる生徒でもあるし、それを主人公に責任転嫁してるようにも受け取れる。
  • 『イボンヌと遊ぼう!』 (11話)バレンタインほのぼの話。 もはやギャグ漫画ではないのだけどこういう方がやっぱり面白いと思う。 マコに関しては新キャラとして生かせないんじゃないか?やっぱ生かせてる?やっぱり空気になってしまったーっていうのがここ数回の状態。 イボンヌ先生は情感が上手く出ていて良い感じだった。 最期のコマの、シンプルな絵柄なのにマツゲがやたら細かいのはどうかと思ったけど。
  • 『ザ!!ビーチスターズ』 (10話)面白いけど強者同士の戦いとしては駆け足過ぎて拍子抜け感が否めなかった。 でも急ぎつつも上手く纏まってたと思う。
  • 『ファミリア』 (読切)人型アンドロイドをペットのように飼うという、わりとありがちな設定を使ってちょっと変な展開をするのが結構面白かった。 やくざキャラをペットのように扱ってるのがありがちな設定に対するずらしなんだけど、扱い方に品があるかも。 今までの新人の読み切り作品の中で一番面白かったんじゃないかなあ。 表現や絵柄が大人しめなのでギャグなのか分かりづらい面があるっていうかメリハリが足りない気がしなくもないけど、次回作がちょっと読んでみたくなった。 やくざ型アンドロイドがどことなく「スミレ16歳!!」のスミレを操ってる人や、俳優・声優の中野裕斗を思い出させるような所があった。
  • 『タイムメール』 (10話)今回はなぜだか読みやすかった。 全体的にセンテンスが短いせいだろうか。 いや普段がどうか記憶にはないのだけども。 今回は新興宗教にはまり家庭も破産した主婦が人生をやり直す話なのだけど、やり直した人生は自分が別の新興宗教の教祖として成功するものだった、という、結局幸せになったんだかよく分からない落ちだった。 破産するよりはマシかも知れないけどずっと上手くいくとも限らないし、そのモヤモヤ感がわりと面白かった。雑誌の終わりのページのコメントで全12話と言っていたからあと2話で終わるって事か。
  • 『楽神王』 (10話)なかなか面白かった。 敵と戦う前の特訓を延々と描いてたら読んでてだれたろうけど、あっさり終えて人間関係を描いたし。 楽人はアルモーニカを一切動かせなくなったので、戦いには参加せず街に残ることになって、これで敵味方に分かれた兄弟の顔合わせは少し伸びる結果になったのかな。 楽人の不調を、新キャラを生かすためだけじゃなく、兄妹対決も無理なく先延ばしにしてキャラの動かし方が上手いなあと思った。 

    楽しい演奏をするには楽しいこと以外も学ばなきゃいけないと楽人が理解したことで、楽人のキャラの軽さが多少マシになったと思うし、両親を失っている楽人の父への思いを聞いて、妻子のいるカルディネが何か決意をし、さらにそのカルディネはみんなに隠している思惑があるようだし、その思惑が、敵とも通じているトラビアレから何かを購入していることで敵側にバレてる(もしくは敵側に寝返った)可能性もあるし、斥候として来た敵は楽人の弟にポジションを追われて後がないしで、本当に、関係性が重層的で面白い。 今後の展開は、カルディネが自爆覚悟で特攻してそれを楽人が止める展開になると予想するけど、どうなるだろうか。
  • 『第三世界の長井』 (10話)最後の2ページは面白かった。 やはりもっと色々整理してシンプルな設定と展開にした方が面白いんじゃないかなあ。 面白さよりも、長井の変な線のタッチや、色んな設定、各キャラの口癖の方が目立ってしまってる。
  • 『No.1海堂』 (8話)前回から続く、ヒロインが誘拐されそれを助ける展開だけど、相変わらず登場人物達が空騒ぎしてるようにしか受け取れなかった。 何でもあり過ぎなので、ピンチがピンチに感じられないし、それぞれの強さや凄さが何も分からないし。 ナンバー2と3と戦ったから話はまとめに入っているのかな。 扉絵だけ見たら面白そうなのだけど。
  • 『信長協奏曲』 (10話)今川義元やその部下を殺すシーンはバッサリ省略されていたのが物足りなかった。 前回までのちょっと怖いような気配の盛り上がりが肩すかしだった感じ。 現代の高校生が過去に来てしまったという設定がどんどん無意味になってるように思えるのだけど、結局この漫画は飄々としたキャラが偶然歴史を作っていくという話を描きたいだけなのかなあ。 戦が終わった後で教科書を見て自分のやった事の記述を発見するのを描いたのは、教科書に従って成功したんじゃなく本人の才覚でやったのだという一種の説明なのだと思った。 回りのキャラに信長を褒めさせるバランスがなかなかいいと思う。 褒めさせ過ぎないっていうか。

今月号は、巻末の「ゲッサン編集部こぼれ話」がなかった。
その代わり「ちょっと腹ごしらえ。」という連載陣がレシピを紹介するコーナーが新しく始まっていた。 おそらく先々月号まであった「ルーキー紹介してみる!!」という新人漫画家の紹介コーナーが無くなった代わりの連載なのだと思う。 1回目の今回は、横山裕二がいわし缶のペペロンチーノを紹介していた。 この人は連載のジルバや巻末のレポ漫画とか、ゲッサンで活躍してるなあ。 あと調べたら、先月号は「ゲッサンしてみる。」の扉絵が無かったのだな。

なぜかこの号は読むのに凄い時間がかかってしまった。

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